唐招提寺

2015年6月28日日曜日 14:08
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次は徒歩圏内の唐招提寺。
どうやって行くのが近いかなと思案してると、「これからどこ行くん?」と薬師寺関係者と思しきおじさんに声を掛けられた。唐招提寺だと答えると、それなら早道を教えてやろうと言う。
それを聞くと、玄奘三蔵院伽藍の西にあるトイレは通り抜けできて、向こうの道に出られる、そしたらもう5,6分で着けると。おお、これならわざわざ南の門まで戻らずに済む。
「トイレは男女別々に入ってや~」には笑った。当たり前だけど、そりゃそうだよね。
言われたとおりに行くと、ホントにすぐ唐招提寺に着いた。
今回の旅でも良い出会いがあったなぁ。

唐招提寺は、律宗りっしゅうの総本山。教科書に載るほど著名な傑僧、鑑真和上がんじんわじょうが開いた。ここも世界遺産であり、国宝満載だ。

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金堂。奈良時代建立の金堂としては唯一の遺構らしい。
盧舎那仏るしゃなぶつ坐像を中尊とし、千手観世音菩薩せんじゅかんぜおんぼさつ立像と薬師如来立像を脇侍とする、他に例を見ない組み合わせ。
どれも凄いんだけど、特に千手観音には目を見張った。これも嫁が先に気づいたんだけど。千手といっても、通常42本に省略して作られる。ところがここのは、ホントに千本近くある!大手の間にびっしり小手が伸びてて、圧倒されたよ。作った仏師さん、パねぇッス。

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講堂は現存する唯一の奈良時代の宮殿建築ということで、これまた貴重。

境内を歩き回ってて気になったのが、たくさんの歌碑や句碑が立てられてること。
『おほてらの まろきはしらの つきかげを つちにふみつつ ものをこそおもへ』会津八一あいづ やいち

若葉して 御目の雫拭ばやわかばして おんめのしづく ぬぐはばや』松尾芭蕉

水楢の柔き嫩葉はみ眼にして 花よりもなほや白う匂はむみずならの やはきわかばは みめにして はなよりもなほや しろうにおはむ』北原白秋

『門を入れば 両に稲田や 招提寺』松瀬青々まつせ せいせい
他に井上靖の小説『天平の甍てんぴょうのいらか』の石碑もあり、それだけ鑑真に思いを馳せる文化人が多かったということか。いや、逆か。これほど多くの人の心を震わす、鑑真が偉大だということだな。

ではその鑑真さんに会いに行こう。
開山堂には、鑑真和上御身代わり像が祀られてる。御身代わり像でありながら、お堂はガラス張り。そのせいで、光が反射して姿がハッキリ見えないんだよな~。
本物の鑑真和上像は御影堂みえいどうに安置されてて、毎年わずかな期間しか公開されてないようだ。

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開山御廟にも寄る。
鑑真和上のお墓の前の庭は、木立に囲まれ、苔が茂り、とても静か。そして綺麗。良い所に眠ってはるんやなぁ。

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これだけ見事に苔むしてるのを見ると、京都某所まで行く必要性を失うような気さえする。

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静寂な緑の中は、墓所に相応しい。

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御廟の横の池で、動くものを見た。よ~く目を凝らすと、鯉だと判った。背びれが水面から出るほど水深が浅いけど、頑張って生きてるんだな。

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戒壇。
火災で焼失してから再建されてないらしい。道理でなんかおかしいと思った。

そういえば塔が無いなと思ったら、東塔は跡地だけ残ってるみたい。

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そんなに広くない境内だけど、見所の詰まった伽藍だった。
時間を気にせず回ってたのに、いつの間にやらオンスケに戻ってるぞ。それなら元の計画に沿って行こう。

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