初めての宝塚大劇場で一日遊ぶ
2016年2月13日土曜日
19:38
宝塚大劇場は一日遊べるところだった……!
宝塚歌劇――出演者は女性のみ、彼女らが織り成す煌びやかなステージ。男の僕にも興味があったから、一度ライブで鑑賞してみたいと思ってた。そこへ、最近メディアミックスでのヒットが目覚しい『るろうに剣心』が舞台化されるとのニュースを耳にし、この機会に飛び込んでみることにした。
歌劇自体はテレビでちょっと見たことがあるので、まったくどういう世界か知らないワケじゃない。ただ、生で見たことないし、劇場に足を運んだこともなかった。
ということで、一日かけてじっくり巡ってみたい。嫁の賛同を得て、そんな計画を立てた。
ここでわざわざ語ることでないのは重々承知の上だけど、自分自身のおさらいのために、宝塚歌劇というものを簡単に記そう。
『清く 正しく 美しく』をモットーに、未婚の女性だけで構成される歌劇団は、実に特殊な存在だ。彼女たちは生徒と呼ばれる。宝塚音楽学校を卒業して宝塚歌劇団に入団してからも、在団中は生徒。一般に愛称として、生徒たちはタカラジェンヌとも呼ばれてる。中でも主役を張るのは、トップスターと呼ばれる男役。そしてトップスターに寄り添うトップ娘役がいる。
本公演は芝居とショーの二本立て。レビューと称するミュージカルとダンスの舞台は、大掛かりな装置や華やかな衣装、効果的な照明に彩られる。
歌劇団には5つの組と専科があり、それぞれ組カラーといわれる特色があるらしい。ダンスの花組,芝居の月組,日本物の雪組,コスチュームの星組,コーラスの宙組といった具合。ただこれは強いて挙げるならというだけで、雪組しか和物をやらないなどという意味ではない。
世の女性たちを虜にする“タカラヅカ”。それを体験するのが楽しみだ。
さて。
人気の演目でしかも週末となれば、劇場の駐車場なんてすぐ埋まってしまうんじゃないか。そう懸念したんだけど、よほどのことがない限り満車にはならないらしい。
それを聞いて安心した僕らは車で行き、すんなり大劇場西駐車場に停めることができた。10時半頃の段階では、まだまだガラ空きの状態。
おそらく客層ゆえだろう。おばさま方は運転なんてしない人が圧倒的多数だし、団体ツアーのバスで来訪する人たちも多い。なるほど、考えてみれば混雑しないのは道理だな。
せっかく大劇場近くに着いたのに、わざわざ離れて阪急宝塚駅前まで歩く。駅前の銅像を見たいのと、花の道を通って気分を出したかったからだ。僕のワガママに付き合ってくれた嫁に感謝。
宝塚ゆめ広場にあるこの銅像は、歌劇団100周年を記念して立てられたそうだ。
周囲に観光客が少なくて少々気恥ずかしいが、おのぼりさんなんだからと開き直り、撮影。これまでの旅行でちょくちょく、アレ撮っておけば良かった、って後悔することが割とあるんだよ。
花の道をゆっくり踏みしめて辿っていくと、テンションが上がる。道程から楽しんでいかないとね。
道に置かれたベンチにはメッセージプレートが打ち付けてあった。たぶん寄付した方のものだろう。
また、花壇にはパンジーが咲いてた。この雰囲気、いいね。
バウホールの前に階段があって、下がったところの壁一面には歌劇の宣伝。今からこれを観るんだって思うと、ワクワクする。嫁も嬉しそうにカメラを構えてた。
大劇場の前には、創設者である小林一三翁の銅像。遥か遠くを見据えるまなざしが印象に残った。
そして宝塚大劇場のゲート。来たよ~。
この日は丁度音楽学校の文化祭も催されるようで、こんな立て看板が。あとで、はつらつとした生徒さんたちの姿も見ることができた。なんか得した気分。
11時公演の開演時間とあって、館内は閑散としてる。これならゆったり見物できるというもの。改札がこんなに静かなのも、今のうちだろう。金色に輝いてて綺麗だなぁ。
各ショップを回って、さまざまな銘菓やグッズを眺めてるだけでも楽しい。中でも、ブロマイドが売られてるのを発見したのがエキサイティングだった。『サクラ大戦』のゲーム中で帝劇のブロマイド集めたなぁ、ってのを思い出してだけど。
混雑する前に、公演プログラムだけ買っておいた。作品のあらすじやキャスト、見どころや人物相関図が掲載されてるのと、何より記念になる。各場面の名称と出演者や劇中歌の歌詞まで載ってて、軽いネタバレを含むんだな。
一通り巡ったら、レストランで昼食。2階の和食レストラン『くすのき』へ行くと、満席と書かれた札が出ており、椅子に座って並んでる人たちもいた。あんまり静かだからてっきり空いてると思ったのに。
十数分待って中に通されると、やっぱり空席だらけ。ただ、ほとんどの席に鍋の準備がされており、幕間の予約で埋まってるようだった。
僕らが食べたのは、公演に合わせた特別メニューの『赤べこの牛鍋』。これに2百円プラスして蟹御飯に変更。
牛鍋は、味はまあまあ美味しかったんだけど……出し方に難あり。半調理済みの鉄鍋の下に固形燃料を燃やす形式なんだけど、これが全然煮立たない。鍋がぶ厚いんじゃないかな。完全に調理したうえで、保温のために火を付けるようにしたほうが良いと思った。
感動に満ち溢れた劇場だったけど、コレだけが残念だったな~。惜しい。
『宝塚歌劇の殿堂』という展示施設にも足を運んだ。
第一会場は殿堂ゾーン。殿堂入りした方々の写真とゆかりの品々がズラリと並ぶ。白黒写真であっても現代の感覚で見ても超美人ばかりで、改めてタカラヅカの凄さが解った。古い時代でも、先人に憧れて入団した方なんかもいて、歴史として見てもなかなか興味深い。
最奥には、テレビモニターで宝塚歌劇100年の歩みが流されてて、これも面白かった。
第二会場は現在の宝塚歌劇ゾーン。こちらは写真撮影OKのようなので、遠慮なく撮らせてもらった。
特にキラッキラの衣装が並ぶさまは圧巻。装飾に至るまで細かく作り込んであって、感心した。だって客席からはそこまで見えないのに、ホント細やかなんだから。
開場時間まで少し暇ができたので、カフェテリア『フルール』で休憩。先に座席を確保しておき、トレイを持って取りに行く食堂スタイルってことで、ちょっと戸惑った。
ドリンクと一緒に、公演デザート『クリーム羊羹』を二人で分け合って食べてみた。意外とくどくない甘さ。
そうこうするうちに一回目の公演が終わる時間になり、一気に館内が騒然とした空気に。店も混んできたので、長居せずに出ることにした。
開場5分前には改札前に行列と人混み。午前中に見た景色とはえらい違いだ。列が進み始めたところで、僕たちも改札をくぐった。
その先のホールと階段が、いかにもエレガント。こういう所までムードづくりしてるのが素晴らしい。
僕らの席はS席だけど、2階の4列1と2。ちょっとステージから離れるけど、全体がよく見渡せる。ただ、もう少し真ん中なら良かったな~。
前の座席との高さはかなり差をつけてあり、前の人の頭で視界が遮られる心配なし。足下の間隔も結構広い。集中して鑑賞できる環境だ。
肝心のレビューもスゴく感動した!詳細は別のエントリーに譲ろう。
約3時間の公演が終わる頃にはすっかり陽が落ちて、外は暗くなってた。
駅へ向かう人の波を尻目に、車でさっと帰れた。
初めてってのはあるだろうけど、宝塚大劇場だけで一日遊べてしまった。
行き方や諸々の勝手もだいたいわかったし、レビューは男でも楽しめるし、観たい演目があれば是非また行きたい。