宍粟市の原不動滝へ紅葉狩りに行ってきた。
原不動滝は日本の滝百選に数えられる名瀑で、男滝と女滝とから成る。男滝は落差８８メートルと兵庫県下最大。
そんな迫力のある滝と紅葉を一度に観られたら、さぞ素晴らしいだろうなと。


加古川バイパスに乗って姫路西バイパスを下りたら、あとは因幡街道をひたすら走り、波賀不動滝公園の駐車場に到着。キャパは数十台とそこそこ。無料ってのが有り難い。


駐車場脇の木がもう真っ赤。嫁も早速写真を撮って確認してる。
そこから滝までは徒歩約１５分。
遊歩道の途中にはトイレ完備。意外と汚くなかった。


少し歩くとお地蔵さんがお出迎え。
公園内の紅葉はすっかり見頃だなぁ。


続いて川を渡る。引原川（ひきはらがわ）の支流だろう。この上流に滝があるワケだ。
橋の上から振り返ってみると、風情のある景観が広がってた。


その先には仏像と手水があった。不動明王ってのは見たらすぐ判ったけど、厳密には倶利迦羅（くりから）不動明王だそうだ。近くの案内板に『不動尊の由来』が書かれてた。

言われてみれば、そもそもなぜ不動滝という名なのかというのは疑問に思うところ。で、それに応える話。

その昔、荒行を重ね霊験を得た道範という僧侶が、金色の龍が飛んでいくのを見て、この地でその姿を見失った。その龍こそ倶利迦羅不動明王だと拝し、この滝で荒行を続けた。また、宥雄という高僧が滝の岩上に不動堂を建立した。このことから不動滝と呼び習わした。

という。
いきなり龍が不動明王だって言われてピンとこなかったので、調べてみた。倶利迦羅とは龍王の名前で、不動明王の化身とのこと。これで符合した。
不動明王は密教系の仏なので、こちらも確認したら、倶利迦羅山不動寺というのが石川県にあり、高野山真言宗だった。ビンゴ。寺院巡りで得た知識が、こんな形で役に立つとは。


そこから先は、料金所を通らなければならない。大人２百円。清掃協力費という名目である。


料金を二人分支払って奥の階段を上ると、かえで橋と名付けられた吊り橋を渡ることになる。そんなに高さはないけど。なお、これは帰りに撮った写真なので進行方向が逆。
渡り切ったらまた階段が。その途中から遠くに滝がちょっと見えて、気持ちが高ぶってくる。


奥かえで橋という吊り橋が滝見台。どぉーっという水飛沫の音が大きく聞こえるようになってきた。


これが原不動滝か！３段に分かれて落下する男滝は実に勇壮。水量も多くて凄い勢いがある。


源流の異なる女滝は、男滝と同じ滝壺に流れてる。
この男女が寄り添うような姿から、幸福の滝とか恋愛成就の滝とか言ったりするらしい。その別称の良し悪しはともかく、趣のある光景だと思う。


滝の回りの木々も色付いてきてて美しい。
吊り橋を支えるワイヤーが絵作りには邪魔だな、しかし。しょうがないんだけど。
ちなみに、この橋は行き止まりになってて、向こう側へは渡れない。結構高いから、高所恐怖症の人には厳しい場所だ。事実近くにいた女性が、「心臓バクバクいってる」って怖がりながら観賞してた。

他の見物客が代わる代わるやってくるなか、嫁と僕はしばらく留まって、この大自然の凄味を思うさま感じた。

正午を回ったところで、駐車場近くまで戻ったら、その向かいにある『楓香荘』という宿泊施設内のレストラン、『波賀の里』に入った。宿泊客じゃない一般客も利用可能なのだ。
色々食べたいものがあったので、嫁と分け合って食べることにした。
麦とろ定食は、麦飯とたっぷりの自然薯、鹿肉のタタキ、アマゴの塩焼きと、宍粟市の特産品のオンパレード。
アマゴ釜飯定食は、アマゴが一尾入った芳ばしい釜飯と、刺身こんにゃく……のはずが、サーモンとイカのお造りに差し替えられちゃった。店員さんに頭下げられた。切らしてたのかな。
それは些細なことで、とにかく川魚が食べたかったから、アマゴを目一杯頬張れて幸せ。鹿肉はまったく臭みがなかったし、自然薯はメチャクチャ美味かった。
りんごソフトクリーム割引券を貰ったので、会計ついでにひとつ購入。りんごは波賀町の名産みたい。これも風味が良かった。
会計の時には波賀温泉の割引券を手渡された。あちこち利用してほしいってことなんだろう。使用期限が無いのは良いけど、嫁と二人で使う機会はなさそうかな～。一緒に入れないし。

雄々しい滝と紅葉の美しさに感動し、宍粟の地産品を食す。目にもおなかにも嬉しい一日だった。