神魂神社を静かに参拝

2016年2月19日金曜日 14:40
神魂神社かもすじんじゃは島根県松江市にある神社で、本殿は現存する大社造の中で最も古く、国宝に指定されてる。主祭神はイザナミ。
記録の少ない神社のようで、創建時期は不詳。アメノホヒが創建したと伝えられてるが、延喜式にも出雲国風土記にもそうした記載が無いという。一方で、意宇六社おうろくしゃのひとつに数えられており、格式は高いと想像できる。また、出雲国造家と縁が深いらしく、出雲大社と熊野大社とこの神魂神社の間にも色々関係があるみたい。神魂を“かもす”と読む由縁も諸説あるようだ。
出雲大社との関わりや国宝の社殿、そして謎の多さに惹かれ、ここを参拝することにした。だから、神話との接点は薄いな。

20160219_131620
松江の中心方面に向けて西へと走り、神魂神社の駐車場へ。道路にデッカい看板が立ってたから、曲がる道が判りやすかった。
駐車場に着くと、先客が数台。そのなかに、見覚えのある車種が。黄泉比良坂であとから来た車じゃないか。よもやプランがかぶってるとは。
駐車場から近いためすぐ境内に入れるが、北にもうひとつ鳥居が見える。せっかくなので、そちらから参ろう。

20160219_131839
そう考えて歩いていくと、畑の端にピンク色に咲いた梅の木があった。図らずも梅見ができたよ。綺麗だなぁ。

20160219_132145
一の鳥居の前に着く。
カメラを構えてると、後ろから、こんにちはと挨拶された。振り返ると、若い女性の神職さん。僕らも挨拶を返す。そのまますたすたと神社に向かっていった彼女は、装束の上からダウンを羽織ってた。神職といったって、うん、寒いよね。

20160219_132517
少し間を空けて、僕たちも鳥居をくぐって参道を進み、二の鳥居へ。
ゴツゴツした岩といい太い字体といい、力強さのある社号標だ。

20160219_132832
緩やかな石段を上がっていくと、右手に急な石段、その脇に手水場があった。手水するときに屋根が無い所って久しぶり。

20160219_132951
柄杓が竹でできてて、珍しいと思った。柄が細いから若干やりづらい。

20160219_133417
なかなか角度のある階段を登り切ったら、拝殿にて二礼二拍手一礼。黄泉比良坂のあとにイザナミを拝むという、そういう意味では連続性があるね。

20160219_134441
国宝の本殿の周りをぐるぐる回りながら、色んな方向から眺めてみた。
大社造の社殿をこうして間近で見ることができるのが、まず嬉しい。出雲大社のそれでは、特別に八足門の中に入れてもなお楼門に阻まれたからなぁ。切妻造の屋根の傾斜と千木と、ひときわ張り出した宇豆柱のバランス。やっぱこの造りはカッコいい。

20160219_134846
背後に回ると、組み上げられた木々とそれらを支える数々の太い柱が良く見える。この光景を前にしてワクワクした。どうやら僕は建築というか構造物を観るのが好きみたい。ここでようやく自覚した。

20160219_134054
本殿向かって右側に並ぶ末社。左から、杵築社きづきのやしろ伊勢社いせのやしろ熊野社くまののやしろ、それから釜の社。杵築社は出雲大社の旧名が杵築大社だから、祀られてるのはオオクニヌシで間違いない。伊勢社はアマテラスだろう。熊野社は……和歌山の熊野三山を真っ先に連想してしまうけど、ここが出雲国ということを踏まえれば、熊野大社のスサノオかな。これだけ流造なのはなんでだろ。ともあれ順番に拝礼した。
釜が祀られてるのは、この神社を創建したアメノホヒが、釜に乗ってこの地に降り立ったとされるかららしい。これは社伝によるもので、古事記にそうした記述は無い。判らないことだらけだな、この神魂神社は。でも、判らないことを判らないままにしておくのが、神話の楽しみ方だと思う。

20160219_134536
反対に左側にあるのが貴布祢稲荷両神社きふねいなりりょうじんじゃ。素直に考えてタカオカミとウカノミタマの2柱を祀ってると思われる。……素直に考えてコレが思い浮かぶって、一般的感覚じゃないよね。ついでにいえば、日本書紀より古事記が好きだから、タカオカミではなくクラオカミといいたい。
この社殿には重要文化財との案内があった。だけど重文かどうかより、二間社流造にけんしゃながれづくりという珍しい造りに目が行く。2柱の神々のためなんだろうけど二間社を見るの初めて。神社建築って面白い。

20160219_134759
ふと、この社殿の下にキツネ(?)の像がたくさんあることに気づいた。お稲荷さんがいるんだから、その眷族(使い)がいることは不思議じゃないけど、なんでこんなところに。

神話との繋がりは薄くても、大社造の本殿をじっくり眺めることができたから、訪れた価値があった。観光要素の少ない神社だから参拝客もまばらで、落ち着いて歩けるのも良い。
静かな場所で静かにお参りする。それが一番だね。

サイト内検索