初めての宝塚歌劇観賞は『るろうに剣心』

2016年2月13日土曜日 22:31
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るろ剣ほどタカラヅカのフォーマットにハマるものはないだろう。僕は以前からそう考えてはいた。まさかそれが実現するとは思いもしなかったけど。
そしてそれは見事な再現度だった!

宝塚歌劇には元々興味があって、機会があれば鑑賞したいと考えてた。そこへ『るろうに剣心』を演ると聞いて、これはもう行くしかないと。チケット取れるか心配だったけど、無事S席をゲットできた。嬉しかったね~。
僕が手配したのは、阪急交通社の貸切公演。当日券が出てたから、どこか余ってたのかな。
ちなみに、嫁はコミック全巻揃えてるほどのるろ剣ファン。好きな作品であるがゆえに、楽しみ半分不安半分だったそうだ。

ここからは、ネタバレを含む、感想などを羅列していこう。

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ストーリーは東京編を下敷きにしてあり、第1幕ではそれをギュッとコンパクトにまとめた内容。原作知ってる人間からすれば、上手くまとめたな~って感心。ただ予備知識ない人には、展開早過ぎてついていけたのかな~と、ちょっと心配もした。
何が上手いって、「けれども拙者は そんな真実よりも 薫殿の言う甘っちょろい戯れ言の方が好きでござるよ」とか、あのセリフ、あのシーンは外せないと思うものが、バッチリ入ってる。きちんと原作を読み込んで、脚本は作られてるし、役者さんも間の取り方が解ってる。作品に対する敬意が払われてたように感じられ、好印象。
第2幕からはオリジナル展開が前面に出てきた。剣心と薫と加納惣三郎の三角関係で、もっと恋愛模様を色濃くやるのを期待してたけど、かなりあっさりしたものだった。この時点での人間関係からすれば、それで間違いないんだけどね。

舞台装置が大掛かりで素直に驚いた。
冒頭の竹林での殺陣のシーンでは、刀を振るうと敵だけでなく竹も斬れる演出だったし、次々と場面転換するのに合わせて、セットもがらりと換わる。観客の目線の誘導も巧みで、気がついたら換わってた。このあたりはさすが、歴史と技術が蓄積されてるなぁ。

幕末から明治維新の歴史を歌をダンスで説明したのが、タカラヅカらしいな。

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緋村剣心がいる!この存在感……というより実在感とでもいおうか、違和感なく剣心が現実世界に現れた。
声も自然で、これはアニメ版で元タカラジェンヌの涼風真世さんが声優だったこともあるかも知れない。もちろん、早霧せいなさんの演技が素晴らしいのは当然として。コミカルな「おろ~」からシリアスな戦いまで、これぞ剣心という姿を見せてくれた。
社交ダンスでは怪しげなステップを披露して、笑いもとってた。

咲妃みゆさんの神谷薫もハマってた。基本お茶目で明るく、イメージぴったり。実写映画版は大人し過ぎたからな。薫はやっぱああでないと。
序盤に剣心と弥彦に歌で、いきなり神谷活心流の奥義教えてたのには、少々驚いた。刃渡りとか、出しどころがないのに披露してくれて、ちゃんと原作読んでるのはここでも解った。

オリジナルキャラクターの加納惣三郎って、薫をさらったり元新撰組隊士だったり、ポジション的に刃衛なんだな。あとから振り返ってやっとそのことに気づいた。
演じる望海風斗さんがイケボで、歌も上手かった。
フランスかぶれだったのは、タカラヅカらしさを出したかったからなのかな。

高荷恵も漫画から飛び出してきたかのようなビジュアル。
演じてた大湖せしるさんは、このるろ剣を最後に退団とか。道理でグッズが売り切れたりしてるワケだ。

武田観柳は良い意味でキャラ崩壊してた。観柳といえば回転式機関砲ガトリングガンだけど、これを歌にしてしまうタカラヅカのセンス。去り際のガトガトとか、面白過ぎ。
本来演じるのは彩凪翔さんなんだけど、体調不良――この時季だからインフルエンザで間違いなかろう――で他数名が休みで、真那春人さんという、元々チョイ役だった方が代役を務めた。で、これが準備期間がほとんどなかったとは思えない演技。しかも、目立つ気満々で、演出とも相俟って笑える。また、観客も代役ってことを良く知ってて、主役以上の大きな拍手を貰ってた。タカラヅカのファンって、ホントあったかいなぁ。

彩風咲奈さんの斎藤一は、牙突ポーズが決まってた。役回りが解説くんになってしまったのは、致し方なしか。

ビジュアルでいえば、月城かなとさんの四乃森蒼紫が完璧。原作そのまんま。小太刀二刀流をダンスで表現したのが、巧かったな~。
御庭番衆の面々はタカラヅカで再現不可能なので、ただの黒子忍者になったのはしょうがないかな。タカラヅカファンはそれでもカッコいいって思ったみたいだけど。

役を配するという意味では、剣心の影ってのを置いたのが、また上手い。永久輝せあさんの演じる人斬り抜刀斎と、不殺を誓った剣心を、同じステージ上で対比させる。これは舞台ならでは。

原作を知る者として、ツッコミどころがないワケでもない。悪・即・斬の安売りとか、人から勧められた酒を飲む迂闊過ぎる剣心とか。特に原作ファンである嫁は声を大にして糾弾してた。
とはいえ、全体としてみれば素晴らしいステージ。だから許せてしまう。

芝居のあとのショーも圧巻!これぞ宝塚歌劇。
ラインダンスは息ピッタリで、元気な掛け声にハッとなった。デュエットダンスはしっとりとしてて、男の僕でも魅了された。大階段を全スターが順番に降りてくるパレードでは、ただただ拍手を贈るばかり。

最後に、阪急交通社貸切公演ということで、雪組トップスター早霧せいなさんから挨拶があった。インタビューの回答はどれも面白かったけど、中でも印象に残ったのは、殺陣で自分が少々ズレても、「斬られてくれる!ありがたい!」。意外と茶目っ気があるというか、親しみやすい人なのね。

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初めて観た宝塚歌劇には、本当に感動した。世の女性たちが夢中になるのも理解できる。
そのファンたちも行儀が良く、マナーが良く、品があり、あったかい。お陰で気持ち良く鑑賞に集中できた。
繰り返しになるが、機会があればまた行きたいよ、ホント。スゴいよ、出演者が全員女性だってこと、すっかり忘れて見入ってたからね。

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