界 玉造で神の湯を満喫

2022年11月10日木曜日 14:22

星野リゾートの温泉旅館ブランド『界』、そのひとつが島根県松江市は玉造温泉にある。それが『界 玉造かい たまつくり』。全客室に露天風呂を備えた高級温泉旅館だ。
出雲国風土記の意宇郡・忌部神戸の条に、
川辺出湯。~中略~一濯則形容端正、再沐則万病悉除。自古至今、無不得験。故、俗人曰神湯也。
(川のほとりに温泉がある。~中略~ひとたび湯を浴びればただちに端正な美しい体になり、再び湯あみすればどんな病気もすっかり治る。大昔から今に至るまで、効き目がなかったということがない。だから、土地の人は神の湯と言っている)
とあるように、遅くとも奈良時代から「神の湯」と称えられてきた温泉が、玉造温泉!これを思う存分満喫し、旅の疲れを癒してきたよ。

鹿島神社から玉造までは、少しでも早く行けるようにと、山陰道に乗った。というのも、旅行初日のゆるこじさんたちとの集いの席で、7子さんがレアな地酒を入手してくださると申し出てくださって、それをわざわざ宿まで届けてくださるというのだ。玉造の温泉街のど真ん中に位置する『界 玉造』には、15時過ぎに到着。スタッフの方がお出迎えしてくれたけど、手続きより前に大事なお客さまにお会いせねば。ロビーにいらっしゃるとのことで、いそいそとそちらへ。そうして無事に7子さんに再会し、地酒を拝受した。ほんの短い時間だったけど、直接お礼をお伝えできて良かったぁ。ご足労いただき、改めて本当にありがとうございました。


さて、着くなりバタバタしてスタッフさんにも申し訳なかったのだけど、荷物を整理して、ようやく館内を案内してもらった。ロビーでふと上を見上げると、ウサギのシルエットが。こういうさりげない演出、好きだな。


廊下の隅に置かれた灯りも意匠が凝っていて、ヤマタノオロチと因幡のしろうさぎ。神話モチーフを見かけると、嬉しくなる。他に、古代高層神殿や剣なども。

チェックインはお部屋にて。丁寧な接客のお陰で、慌ただしかった気持ちも落ち着いてきた。
今回の旅行の隠れテーマが、6年前の失敗への再挑戦。源泉かけ流しという某旅館、温泉は良かったんだけど、当たった仲居さんが大ハズレだったからね……あの日、追い打ちのように降る雨の中、バス停から見かけた『界』のお見送りの印象が心の内にこびりついたんだよね……だから、ここなら間違いないだろうと、選んだわけなんだよ。

ウェルカムドリンクとお茶菓子で一服したら、館内を散策。トラベルライブラリーなどの設備や中庭など、あちこち見て回りたかったからね。雰囲気も知りたかったし。
日本酒BARなんていうのもあったけど、時間予約制で、あんまり予定詰め込むと寛げないと思い、パスすることに。


お部屋に戻ったら、ご飯の前にひとっ風呂浴びるぞー!う~ん、やっぱ温泉は気持ちいい。玉造は泉質が良いっていうのかな、肌がしっとりするし、疲労回復する感じあるし。あと、いつの間にかできていた指の擦り傷、お湯が染みるどころか、むしろ入っているうちに痛みが消えたんだよ。返す返すも温泉はいい……。
それにしても、日よけのれんに出雲神話が描かれているのはいいけど、スサノオって大蛇だったっけ?オオクニヌシって兎だったっけ?っていう、それぞれがもはや概念と化したイラスト。クシナダヒメだけはちゃんと姫。面白いから良し。


夕食はタグ付き活松葉蟹会席。二人ともカニが大好きというわけでもないので、づくしはやめておこうと。とはいえ季節だし、一度ブランドカニを味わってみたい。もちろん、島根の地酒とともに。
これから調理するタグの付いたカニを、舟に盛って見せてくれたのが、面白い趣向。
絹糸揚げとか工夫された一品もあって、美味しかった。でもカニが凄く好きになったりはしなかったなぁ。一級のカニを食べてもなお変わらないってことは、もう好みの問題と判ったから、これはこれで収穫。

次の予定まで空くし、また温泉に入る。露天風呂付き客室は、これができるのが大きな利点。

もうひとつ宿泊で楽しみにしていたのが、「ご当地楽」。開催時間の10分前にロビーに向かうも、早くも席には数人が座っていた。
で、最前列は「予約席」と書かれ押さえられていた。これには興ざめ。通常そんなことできないわけで、どうやら特別扱いされている来賓がいるようで。
気を取り直して神楽見物。ヤマタノオロチ伝説が題材というから、石見神楽の「大蛇」のダイジェスト版という感じ。それを『界 玉造』のスタッフが演じるというから驚く。前の人の頭でちょっと見づらいのはあったけど、内容そのものには大満足。娘を食べたり酒を飲んで酔ったりと、オロチは人間が入っているとは思えないほどの動きで、その迫力には恐ろしささえ感じた。記紀と違い、クシナダヒメと一緒に自ら酒を醸したり、オロチと激しく戦ったりするスサノオは、カッコいい。惜しみない拍手を送った。

寝る前にも温泉でゆったり。贅沢ぅ~。

翌朝のご当地朝食は、うず煮、赤天、シジミのお味噌汁と、見た目は地味ながらどれも美味しかったなぁ。
それから温泉街にお買い物へ。『姫ラボ』で女性陣へのお土産をゲット。店員さんが物凄いタマゴ肌で、さすが美肌県・島根だなと。

最初から、チェックアウト時間ギリギリまでゆっくりしようと決めていた。とりあえず出発の準備が整ったところで、まだ少しだけ余裕がある。よし、温泉に入ろう。この思い付きは大正解。わずかな隙間時間でも、温泉につかるとそれだけで気分が上がる。大きな気づきを得たよ。今後も、機会があれば積極的にやっていこ。
お見送りしてくれたスタッフさんが、記念撮影までしてくれた。その際、僕らの大荷物を一人で持ちつつ、シャッターまで押すという、パワーを披露された。慣れてますからとは言うけど、すっごいなぁ。
お世話になりました。

島根旅行最後のスポットは、松江城山公園内にある興雲閣こううんかく。いわゆる擬洋風建築で、迎賓館として使用されていた建物。現在は松江郷土館として、一般に公開されている。
大手前駐車場が満車のようだったので、タイムズ松江一畑殿町駐車場から歩いていくことにした。島根県庁の敷地を通って、松江城南門から南櫓のほうに登っていく。


興雲閣は、単に西洋を模倣したんではなく、折衷様式になっているのが魅力だなぁ。
中には『亀田山喫茶室』があり、そこで休憩。洋梨とシャインマスカットのショートケーキにロイヤルミルクティーと、自分には珍しく甘いものだらけ。素敵な雰囲気の文化財の中でお茶できるって、いいね。


内部は2階も見学できた。特に貴顕室には、絨毯の敷かれた間の他に、畳敷の御寝所もあって面白い。西洋化に憧れてはいても、日本人は畳がなきゃ寛げんでしょ、って考えたのかな~。


観光案内所に寄るために行った広場では、菊花展が開かれており、このしまねっこが可愛かった。

最後に、お土産にする地酒を求めて、すぐそばの島根県物産観光館へ。李白の「やまたのおろち」などを購入できた。
そのまま駐車場に戻ろうとしたところ、隣に『おつまみ研究所』なんていう、ナイスなお店を発見。のどぐろの浜焼きに、観光館では取り扱いの無かった地酒も。ふらっと行って見つかると、余計に嬉しいね。

さあ、いよいよ島根とお別れ。5日間も滞在していると、今まで以上に愛着が湧く。それは嫁も同じようで、離れるのが淋しいと。や~、本当にね……そうなるよね……。
神話ロマンに、奇麗な景色、美味しいもの……島根にはまだまだ知らないたくさんの魅力があることを、教えてもらった。また行くからねー!それまでバイバイ!

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