斐伊神社とオロチの首を埋めた八本杉

2022年11月7日月曜日 14:12

斐伊神社ひいじんじゃは、島根県雲南市木次町里方にある神社。主祭神はスサノオで、ヒハヤヒコなどを合祀する。出雲国風土記に「樋社」が2社あるが、片方が式内社「斐伊神社」で、もう片方が同じく式内「樋速夜比古神社」とされる。現在の斐伊神社は、いずれかの鎮座地に一方を合祀したようで、どちらがどちらかはハッキリしない。
移転した側の旧社地は八本杉はっぽんすぎと呼ばれ、ヤマタノオロチの頭を埋めた場所と、言い伝えられている。

『雲陽誌』の大原郡・日井郷里方の条には、
宮崎大明神。稲田日女をまつる。延喜式には斐伊社、同社斐伊伊波夜比古神社と書す。風土記には樋社、同樋社あり。一社は斯所なり。八岐大蛇の角を埋し所を同樋社とす。老祠官伝云、素戔嗚尊、大蛇を斬りたまひて後、清地へ稲田姫を入たまふとき、爰を通たまふ故に樋速姫命といふ。是則稲田姫なり。

八本杉。八岐大蛇八の角を埋る所、神代よりしるしの杉なり。
とある。

八口神社から南下し、途中でトイレ休憩を兼ねてファミマに寄って、ミネラルウォーターを補充。JR木次線を越えて、線路沿いの狭い路を行くと、斐伊神社の駐車場に着いた。


石段の先は鎮守の森にすっぽり覆われ、隠れている。
東に向かって上っていくと、中ほどで階段が北向きに折れた。見上げると、息切れするほどの段数はない。


石段の終わりに、出雲構え型の狛犬。


まずは拝殿にてお参り。雲南のあちこちで、スサくんにご挨拶してるな。


本殿は当然のように大社造。昔は様式が違っていたかもしれないよね。
本殿の東には日宮八幡宮、西には稲荷神社とそこに合祀された廿原神社。また、東側にあった石段をさらに上ると、火守神社があった。そこから境内を見下ろせるのが、なかなか面白い。


では、もうひとつの「樋社」跡地に行ってみよう。一の鳥居向かいの、小さな踏切を渡る。その名前が「宮の前踏切」だって。いいね~。


住宅地の路地を一区画ほど歩くと、高く突き立った木々が目に飛び込んできた。でっか……思わず口からこぼれていた。それほどの存在感を放っている。


もう神社ではないはずだけど、鳥居があったので一礼してくぐる。敷地の最奥には、「八本杉」の石碑。
杉の本数を数えてみたら、8本ある。別に疑っていたわけではなかったけど、確かめてみたかったの。
鳥居脇の案内には、
須佐之男命は八俣の大蛇を退治し、再び生き返って、人々に危害を与えないように、八つの頭をこの地に埋め、その上に杉を植えられた場所。
と書かれていた。記紀には無い、面白い後日談だよねー!そして、そんな場所に今、立つことができる……ロマンでしかないよねー!
それにしても、2つの「樋社」の近さも気になる。ホントすぐそこなんだよ。風土記に載っているくらいだから、ずっとずっと大昔から2つあったんだろうし。考えても、わからないことはわからないんだけど。

まだまだ巡るぞ。ヤマタノオロチ伝説、楽しい!

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