稲佐の浜で国譲り神話ARを体験
2022年11月8日火曜日
20:14
神在祭においては、全国の八百万の神がこの浜に上陸するといわれ、旧暦の10月10日に
さらに、スマホ用アプリ『ストリートミュージアム』を使えば、ここで国譲り神話をARで観られると聞き、行ってきた!
まず、記紀における稲佐の浜に関する記述を整理しておこう。
古事記には、
爾天鳥船神、副建御雷神而遣。是以此二神、降到出雲国伊那佐之小浜而、抜十掬剣、逆刺立于浪穂、趺坐其剣前、問其大国主神言。日本書紀の神代下・第九段には、
(そこでアメノトリフネをタケミカヅチに添えて遣わした。この二神は、出雲国の伊那佐の小浜に降り立って、剣を抜き、波頭に逆さまに刺し立て、その刃先に胡坐をかいて座り、そのオオクニヌシに尋ねた)
武甕槌神。此神進曰、豈唯経津主神独為大夫、而吾非大夫者哉。其辞気慷慨。故以即配経津主神、令平葦原中国。二神、於是、降到出雲国五十田狭之小汀、則抜十握剣、倒植於地、踞其鋒端、而問大己貴神曰。
(タケミカヅチ、この神が進み出て、「どうしてフツヌシだけがますらおで、自分はますらおでないのか」と言った。その語気が大変激しかったので、フツヌシに添えて、葦原中国へ向かわされた。二神は、そこで、出雲国の五十田狭の小汀に降り立って、剣を抜き、大地に逆さまに立て、その尖端に膝を立てて座り、オオナムチに尋ねた)
カフェでひと休みしたら早速、稲佐の浜へ。
改修工事などをしている関係で、砂浜へ下りるルートが判りにくくなっていた。警備員さんが道を教えてくれたお陰で、無事に弁天島まで行けた。なんて親切ないい人。
駐車場の混み具合から想像できたけど、浜にはたくさんの人たちが。特に弁天島の前では、参拝したり記念撮影に興じる姿が多く見受けられた。夕陽の名所であり、パワースポット扱いもされていることもあってか、人気があるんだね。ここの砂を、出雲大社本殿背後の素鵞社まで持っていって、そこの御砂と交換する形で御利益を持ち帰れる風習も、有名だし。神在月であることも大きいのかな。楽しげな空気なのは嬉しい。
僕にとっては、国譲り神話のメインステージに立てたことが喜び。
さあ、もうひとつのお楽しみ、『国譲り神話AR』を起動だ。『ストリートミュージアム』アプリを使うのが初めてだから、AR開始には少々手間取ったけど。国譲り神話の簡単なあらすじのあと、眼前の浜辺に浮かぶ矢印をタップすると、オオクニヌシがすっくと立ち、空からはタケミカヅチが降りてきた!おお~、こんな動きも付いてるんだ!
馴染み深い神話が目の前で繰り広げられる面白さ!それに、色んな角度から眺められる拡張現実としての面白さも加わって、嫁と二人で大爆笑!冒頭の写真のように、オオクニヌシさんサイドに味方してみたり。
タケミカヅチさんと剣の結合部(意味深)を下から覗いてみたり。神話では笑うシーンじゃあないことは理解しているんだけどね、スマホ片手に砂浜をぐるぐるぐるぐる回って、傍目からは明らか不審者ムーブせずにはいられなかったよ。
周りにいたたくさんの観光客たち、誰もやってる様子なかったなー。メッチャ楽しいから、もっと知られてほしい。
ひとしきりアプリで遊んだら、次なる神話ゆかりの地、
時期が時期だけに、“お仲間”にも出くわしやすい。一眼レフを構える人がいた。
続いては、道なりに
ここにも先客が。
それから
つまりここは、いわば会議室。ああでもない、こうでもないと神さまたちが論じているのかな。定時なんて概念はあるんだろうか。いやいや、全部決まるまで残業でしょ……などと世知辛い想像をしてしまった。
熱心に祈りを捧げる人が列をなしていたので、僕らは遠慮した。神在月ならではの風景だろうなぁ。
最後に、神迎の道の入口にあたる永徳寺坂下大灯籠。八百万の神々は、あちらからやって来られたのかな……と思いつつ、傾きだしたお日さまを見ては目を細めた。
この日の晩食には人気店を考えていたので、開店前から並ぶような状況なのか確かめるべく、お店の前に寄ってから、ホテル提携の駐車場に向かうことにした。16時40分、見たところ人影は無い。それならチェックインしてから行っても大丈夫だろうと判断し、スーパーホテル出雲駅前にて手続きして、部屋に荷物を運び入れた。
狙っていたのは、『献上そば 羽根屋』本店。ホテルから歩き、着いたのが17時15分頃。すると、結構な人だかりが。さっきまで無かったのに。
入口に貼り出された案内によると、店内にてまず受付をするシステムとのこと。入ると、タブレットが用意されていた。名前や人数などを入力し、ひとまず受付OK。また、受付人数に制限があり、達するとそこで受付自体が終了となる。下調べ不足でこのあたりの事情を知らないまま行ったから、受付できただけ御の字か。
お店の前で待つ必要はないそうだけど、入力項目に電話番号が無かったし、心配なので近くにいておきたい。お店の前は人が一杯だったので、少し離れたコインパーキングの近くでしばらく待った。他のお店や民家の前に屯するのは、迷惑だからね。だんだん人が捌けてきたところで、お店の前の椅子に移動。そのうち店内の椅子が空いたので、さらに移って待ち続ける。色んな人が利用するお店だから仕方ないんだけど、ウェイ系のグループが近くにいて、あまり気分は良くない。
結局、17時45分頃には受付が終了。システムを知らなかった人が訪れては、愕然として去っていくのを見送った。「えー、某県からわざわざ来たのに」とわざわざ口に出す人もいた。かわいそうだが、それはあなた方の都合でしかない。10月11月が最も出雲に人が集まる時期だそうなので、ここを外せばお店の状況も緩和されているかもしれないな。
僕たちも本当に食べられるのか不安になってきた頃、ようやくお呼びが掛かった。しかも、通されたのが離れ2階の和室席。10人掛けに自分たち二人だけだ。半個室で静かだし、何より広々として落ち着く。掘りごたつになっていて、床暖房が入っているのか足裏が暖かい。諸々有り難い!順番にどんな席に当たるかわからないから、これは運が良かったとしか。
それでは、出雲そばとともにお酒を飲みたい。メニューには「清酒(地酒)」とあるのみだったので、銘柄を尋ねると、『隠岐誉』とのこと。じゃあ間違いない、それを常温で。ゆるこじさんたちのお陰で、島根の地酒をだいぶ覚えたよ。
おそばの注文は、嫁が割子そば3段、僕が天ぷら釜あげ。これらがメチャメチャ美味しい!大変な思いをして待った甲斐があった!嫁も、「そばってこんなに美味しいものだったんだ」と感動している。割子そばも気に入ったみたい。人気は伊達ではなかった。
こんなに繁盛していながら、店員さんの接客に余裕が感じられたのもスゴかったな。いっぱいいっぱいになって表情が消えてもおかしくないのに、それどころかちょっとした雑談を交わしてくるんだから。食べ方の説明も、お願いしやすかったよ。
良い締めくくりになったけど、結果オーライだなぁ。神社の由緒や史跡の歴史はみっちり勉強していたけど、それ以外の準備がなおざりになっていた。反省、反省。