ミキモト真珠島
2024年5月25日土曜日
16:07
ミキモト伊雜宮から真珠島の駐車場までは15kmほどと近い。だから寄りやすかったのもある。鳥羽水族館を横目に国道42号を北上し、鳥羽駅南で転回。中央分離帯があると、駐車場へ行くにも少々面倒だな。
前売り電子チケットなら300円安いので、直前に購入しておいた。駐車場から入場チケット売り場までは、ちょっと離れている。
島へはあの橋を渡っていくんだね。
チケットを係員さんに提示したあと、入口に置かれた案内にガッカリした。レストラン、団体利用のため丸一日貸切だそうだ。なんてこった、アコヤ貝が食べられない。結構楽しみにしていたのに。
仕方ない、割り切って他の施設を楽しもう。入場してまずトイレを借りたので、結果的に一般的な順路とは逆方向に進んだ。
御木本幸吉記念館へ続く道は、庭園になっていた。ツツジが奇麗。
次の場所へ向かっていたら、伊勢湾フェリーが入港してきた。渥美半島の先端、伊良湖岬と鳥羽を結ぶ航路。
伊勢国から東国へは、鳥羽から渥美半島へ行くのが最短ルートではあるんだけど、そこは伊良湖
パールプラザもぶらりと見て回る。店内は外国人観光客であふれていた。団体というのは彼らのことだろうか。
嫁はアクセサリーのハンドメイドを趣味としていたり、ジュエリーの類いの知識も持っているので、真珠の品質基準も知っていた。何が価格の違いを生んでいるのか、嫁の解説を聞きながら商品を見る。いつもとは立場が逆転して、それも含めて面白い。しかし値札のゼロの数が半端なくて、とても手が出せない物も多かった。
海女さんの実演時間が迫りつつあったし、団体さんが押しかけてきても困るので、少し早めにスタンドに入った。
海女の記録ってどこまで遡れるんだろうと思ったら、『魏志』「倭人伝」までいけるのね。
好捕魚鰒水無深浅皆沈没取之とあった。国内の文献だと、『万葉集』に採録の「柿本朝臣人麻呂歌集」の歌(巻7-1303)、
(好んで魚やアワビを捕らえ、水は深くても浅くても、皆もぐって取る)
などがある。『万葉集』にみえる「海人」や「白水郎」などの性別は判らないけど、『弘仁式』「主税式」に、潜 きする海人 は告 るとも海神 の 心し得ずは 見ゆといはなくに
とあって、「凡 そ志摩国の御贄 を供する潜女 三十人。
「昔ながらの白い磯着の海女が見られるのはここ真珠島だけ」だそうだけど、磯着は明治末期から昭和中期のスタイルで、それより前は上半身裸だったようだ。どちらにしても寒いので、皮下脂肪が比較的多い女性の仕事だったとか。現在はウェットスーツが主流なので、男性の
実演時間になると、赤い屋根の小さなボートがやってきた。4人の海女さんが乗っている。海への入り方に、それぞれ個性があって面白い。
僕らの前の海女さんはさらに、潜るときのフォームが美しい。アーティスティックスイミングの経験者だったりするのかな。
2,30秒ほど潜って海面に上がったら、取れた貝を見せてくれた。遠くて何かは判別できないけど。
そのあとは真珠博物館へ。真珠の養殖に使われるアコヤ貝とはとか、真珠ができる仕組みや貝の種類といった基礎から始まって、養殖の方法や品質管理など、文字通り真珠だらけの博物展示。嫁にさっき教えてもらったこともパネルと実物で説明されており、より理解が深まった。
フロアが変わると、豪華絢爛な美術工芸品の数々に目がくらむ。法隆寺「夢殿」は、何千個もの真珠が散りばめられ、金銀やダイヤなどの宝石で彩られていた。贅を凝らすばかりでなく、鬼瓦の眼にも石がはめられるなど、精緻な作り込みにも驚く。とんでもないもの作ったね……。
「御木本五重塔」は、大正十五年(1926)の万博に出品されたものだそうだ。こちらは万を超える数の真珠とプラチナでできている。凄すぎてもはや笑うしかない。
昭和初期、御木本真珠店時代のコレクションも展示されている。この帯留が素敵だなぁと印象に残った。
他に、海外のパールアクセサリーのコーナーもあったけど、途端に人が少なくなった。回りながらその理由を察した。
嫁のペースでとはいえ、結局休憩を挟まなかったのは失敗だったね。疲れた。
最後に御木本幸吉の銅像。僕は小学6年の修学旅行が鈴鹿伊勢鳥羽で、この銅像の前で集合写真も撮ったんだけど、まるで記憶に残っていない。何十年も経つと、感じ方や受け取れるものが、当たり前だけど変わるね。妙に感慨深い。
昼食を食べ損なってしまったので、さすがにおなかペコペコ。鳥羽駅周辺にも海鮮が食べられるお店があるようなので、歩いて探してみたものの、アコヤ貝を取り扱っている所は無い。残念。
考えるのも探すのもしんどくなったから、次の目的地に向かいがてら、PAで済ませることに。そこで食べた伊勢うどんは、ただの柔らかいうどんだった。
一つの想定外からガタガタと予定を崩してしまったのは、反省点。だけど、ミキモト真珠島自体は十分満喫できたかな。