高野山壇上伽藍

2015年10月8日木曜日 11:14
高野山開創1200年記念イベントは色々。壇上伽藍の中門は、その主要事業の一環で、172年ぶりに再建されたそうだ。金堂の御本尊は、春の記念大法会で歴史上初めて御開帳され、この秋にも再び特別公開が行われてる。
僕らの目当てもこれらだ。この機会を逃せば、次はいつになることか……そう考え、高野山参拝を決めた。

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大門から壇上伽藍まで戻り、まず再建されたばかりの真新しい中門を見上げた。
中門の中には四天王立像が安置され、伽藍を守護してる。

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正面向かって左に持国天。

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右に増長天。
この2体は約200年前に中門と一緒に再建され、中門焼失時に救い出されたのだという。その後、西塔や根本大塔に仮安置されてたが、この度の中門再建で、本来の場所に戻れたと。

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門をくぐって左に広目天。胸元には蝉のブローチ。

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右に多聞天。蜻蛉のブローチが目立つ。
こちらの2体は再建に合わせて新たに造られたそうだ。
中門についてはリサーチ不足で、最初なんで四天王の色が違うんだろうと思った。上記のことをあとで調べて知って、なるほどと腑に落ちた。造立時期が違うからなんだな。てっきり全部新しいのかと。
だから、火難から逃れ、転々と仮安置された末、元の位置に戻されたエピソードには、後追いながら感慨があった。

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門の正面には金堂があり、その手前に3本の塔婆が立てられてる。それには五色の綱が垂れ下がってる。これは結縁綱けちえんづなとか善の綱ぜんのつなといって、御本尊の手と繋がっており、仏の手に直接触れるがごとくお参りできるもの。
御本尊は特別公開されてるのだけど、せっかくなのでここで拝むことにした。

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続いて金堂へ。なんと拝観無料になってた。これも特別な計らいか。
御本尊は薬師如来。1200年間も開かれたことがなかったという、秘仏中の秘仏だ。
それが確かに開帳されてる。ただ……遠い。肉眼では目を凝らさないと厳しい距離。双眼鏡使ってる人を見かけたくらい。用意がいいな。
じっくり拝むのは難しく、早々に出ることにした。

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次は六角経蔵。人力で回すことができて、時計回りで一回りすると、一切経を読んだのと同じ功徳を得られるらしい。
しかし大人数人がかりでないと重くて回らない。近くにご老人たち4人がいて、自分たちを合わせると丁度6人……いや、どう見ても戦力にならないよね。

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とりあえず、嫁も僕も回すふりだけやってみた。「私たちじゃ無理やからねぇ」とおばあさまたちは笑ってた。ですよね~。

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西塔は根本大塔と対を成す多宝塔。保全のため中には入れない。そのせいか、参拝客が少なく静か。
僕らがここに寄った理由は、ビュースポットを求めて。

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壇上伽藍で最もフォトジェニックな根本大塔と、三鈷の松さんこのまつ御影堂みえどう准胝堂じゅんていどう、孔雀堂といった諸堂を一度に収められるのが、ここからの景色。眺めて良し、写真に撮って良し。周りの静けさと相まって、素敵な雰囲気だ。
ちなみに孔雀堂の御本尊は孔雀明王像で、高野山霊宝館に安置されてるらしい。是非とも観たい仏像のひとつなんだけど、その展示は終わってて、別の展示会に変わってしまった。こちらも機会を窺って行きたい。

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根本大塔。空海が真言密教の根本道場として建立したことから、そう呼ばれてるらしい。ここも特別に拝観無料。
それにしてもデカイ。人々が小さく見える。多宝塔は数多く見てきたけど、一番迫力がある。

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この前で自撮り。滅多にやらないんだけど、嫁の広角レンズ搭載カメラを活かそうとやってみた。なので、この写真だけは嫁から拝借。

イベント目白押しのなか、僕が最も楽しみにしてたのはイベントに関係ない、堂内の立体曼荼羅を体感すること。撮影禁止につき写真は無い。
金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅(合わせて両界曼荼羅という)を塔の中に表現してるそうだ。胎蔵界の大日如来を本尊とし、金剛界の四仏が配され、柱には、それぞれ十六大菩薩が描かれてた。
まさに、眼前に仏の世界が広がってて、そのスケールの大きさに圧倒された!あれこれ仏の教えを言葉で語るのではなく、身体で感じさせるという、空海の発想が凄い。自然と感嘆の声が漏れた。
テレビ番組の『ぶっちゃけ寺』でも言ってたけど、一種のアトラクションだね。ホント凄いよ。
両界曼荼羅を混ぜてるのは、“金胎不二こんたいふに”という空海の教えだそうなんだけど、これはいくら勉強してもピンと来なかった。きちんと解釈されてる本職の方に、直接お話を伺うしかなさそう。
ついでに、なぜ西塔が根本大塔と対といえるのか調べてみた。西塔の堂内は、金剛界大日如来と胎蔵界四仏が安置されてて、つまり根本大塔と逆の組み合わせなんだな。そう聞くと、こっちの中も観てみたくなった。だけど、西塔の特別公開はすでに終了。次があれば良いのだけど。

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根本大塔は中も凄いけど外はとにかく絵になるから、つい何度もカメラを向けてしまう。青空に映える朱が美しい。
ただそのせいで、予定以上に時間を食ってしまった。ここからはちょい駆け足で。

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不動堂。鎌倉時代再建の歴史建築で、国宝であり世界遺産にも登録されてる。
国宝だからっていうんじゃなく、佇まいに趣がある。

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東塔。
誰が建てたか以外にあまり情報がなく、音声ガイドを聴いても見所がわからなかった。

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壇上伽藍から金剛峯寺に向かう道は、蛇腹路じゃばらみちと呼ばれる。東西に細長い高野山を空海が龍に例えたことから、龍の腹の部分にあたるこの小道を、そう名付けたそうだ。
空海の素晴らしさを重々承知の上で思うんだけど、この手のネーミングセンスって中二病っぽいよね。変に親近感湧いてくる。

見所満載で、正直時間が足りなかった~。御社みやしろとか高野四郎とか、端折った所も多い。
じっくり回るなら2,3時間は必要かな。次回への教訓としよう。何も一度行っておしまいにすることはないんだから。

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