前置き。
友人の結婚式にお呼ばれして、ＧＷに東京へ行くことになった僕たち夫婦。二人で行くのは初めてなので、ついでに観光もしよう。
プランはいつも以上に細部に至るまで練った。理由は、大型連休中の大都会というものを恐れたから。
我々は田舎者である。仕事で何ヶ月か滞在したことがあり、それなりにどんな場所か知ってるつもりではあるが、所詮それは男一人で行動した場合のこと。二人してえげつない人混みに揉まれるのを、覚悟して臨まねばならない。
どの駅の何番ホームのどの辺りから乗ればエスカレーターに近いとか、乗り換えはどんなルートを選べばスムースに行えるのかとか、道順はもちろん、どういう景色が見えていれば合ってることを確認できるのかとか、徹底的に調べ上げた。そうでなければ、不安を消せないのである。
普段より情報量の多いタイムテーブルと、駅構内図など各種マップ（メモ書込み済）を用意し、脳内シミュレーションは完璧。これらを忠実に実行することで、遊びに専念できるはず。
少々大袈裟に書いたけど、綿密な計画を立てることで自分と嫁を安心させられたのは、事実だ。

いつもと違うといえば、行動の仕方。
披露宴で飲酒しないなんて選択肢はあり得ないから、公共交通機関で移動することとする。
式参列用の礼服やドレス、宿泊に必要な品々は、予めホテルへ郵送。当日は手荷物だけ持てば良いようにした。これも初の試みだったけど、結果は大正解。スーツケースを引きずらなくて済むから楽チンだし、空港で預け入れ荷物が流れてくるのをコンベアの前で待つ時間も要らない。馬鹿でかいダンボール箱と送料は掛かるけど、労力と時間に比べたら安いものだ。

さて当日。
４時に起床して身支度し、三宮からポートライナーで神戸空港へ。
６時半過ぎに着き、チケットを発券したらさっさと保安検査場をパスする。
それから、朝食のために『黒レンガ倉庫CAFE』とやらに寄ってみたんだけど、フレンチトースト以外にパンもあると思いきや、ドーナツだけ。食べたい物が見当たらないので、反対側にある『ANA FESTA』でたこむすびめしを買った。
７時１５分のスカイマーク羽田ゆきに搭乗。機内で先のおむすびを食べた。結構美味しい。

旅行期間中、天候に恵まれた。こんなに晴れた日に飛行機に乗るのって、意外と少ない。それに、空路で東京に向かった経験が無い。
そこで、前日になって余興で調べてみたのが、実際の航路。空から何が見えるのかな～って。
今回は嫁に窓際を譲ってもらい、ワクワクしながら窓の外を眺めてた。相変わらず子供だな、自分。
僕らが座ったのは左側。兵庫の街や山々は知ってるはずの所だなと思ったり、上から見る琵琶湖の大きさに驚いたり。


そうこうするうちに、一番見たかったものが左前方に見えてくる。富士山だ。
遥か上空からでもドーンと飛び出して見えるって、凄い。日本を代表する山だってことを、改めて感じる。
冠雪した頂とその山容は、やはり美しい。
ちなみに、ＣＡさんから放送で、富士山が左手に見えることをアナウンスしてくれた。僕はその前から視界に捉えてたけど。待ち焦がれ過ぎ。


駿河湾と伊豆半島の先に浮かび上がるさまは、幻想的ですらある。
短いフライトでも、楽しみはあるものだ。

羽田には８時半に到着。
さぁ、ここからが本番だと、嫁の手を引いて歩き出した。