羽田空港に降り立った僕たちは、手荷物を預けてないのでそのまま出口へ向かう。これ、考えてた以上に楽だわ。しかも、さっさと出られることに、優越感に似たようなものを感じる。
とはいえ、僕にとっては初めての羽田。勝手のわからない場所での移動は気が張る。

まずは羽田空港第１ビル駅に行き、りんかい線との連絡切符を購入。天王洲アイル駅まで東京モノレールに乗る。乗客は少なく、悠々座れた。
モノレールも初乗車。鉄道が主流になってる今日、なんで残ってるのかな、なんて窓の外を眺めながら考えた。……レール幅が狭い分、高架の敷地面積が少なくて済むから、とか？結構揺れるから、乗り心地はあんまりだけど。
天王洲アイル駅で降りたら、連絡通路を伝って反対のホームに行き、南口から改札を出る。それから横断歩道を渡って首都高をくぐり、りんかい線の同駅へ。少し離れた乗り換えだったけど、迷うことなくスイスイ行けた。
りんかい線は結構人が多い。東京テレポート駅まではひと駅。旅行最初の目的地、お台場に到着だ。

Ａ出口から出てそのまま進み、僕らはシンボルプロムナード公園に入る。他の降りた人たちのほとんどは、ゆりかもめの青梅駅方面に行ってしまった。男性のリュック背負ってる率が高いような。流行ってんのかな。
広大な公園に人影は少なく、違う出口からやって来た、修学旅行らしき中学生の小グループと出くわしたくらい。名前のとおり、公園というよりは遊歩道と表したほうがしっくり来る。


フジテレビ本社ビルを右手に見ながら西へ歩いていくと、早速木々の向こうに姿を現した。ガンダムだ！
ここからのアングルだと、本物のそれが佇んでるみたい。今にも動き出しそうだ。
少しずつ近づいてくる立像に胸を躍らせながら、遊歩道を進む。


ダイバーシティ東京プラザのフェスティバル広場にそびえ立つ、実物大ガンダムこそがお台場に寄った理由。
正式名称は『RG1/1 RX-78-2 ガンダム Ver.GFT』。ＲＧはガンプラのブランド名『リアルグレード』で、ＧＦＴは……あ、ガンダムフロント東京の頭文字か。

僕はガノタである。ファーストはもちろん好きだが、一番はＶという相当な少数派。ちなみにＶガンダムとは、「戦争というのはそんなに都合よく人を残してくれない」という富野監督の言葉が突き刺さる、鬱展開まっしぐら作品。
そんな僕は、実物大ガンダムが最初に潮風公園に造られたときから、観に行きたくて堪らなかった。チャンスを逃し、次に静岡に現れたときは、前より近くなったから日帰りで行ってこようかと考えたこともあった。再びお台場に建立されたときは、また短期間でバラされてしまうのかと危惧してた。
そしてこの日、ようやく目の前に立つことができた。６年越しの夢が叶った瞬間である。傍から見れば、興奮した子供のようだっただろうと、我ながら苦笑を禁じ得ない。


いざ大好きなものを前にすると、いちいち細かいところに目が行ってしまう。
この胸部ダクトの作り込みや、太陽光が反射する重厚な金属感、小さく描かれたマーキングに、惚れ惚れする。アニメのそれとは全然違うワケだけど、実際に存在したらこういう感じっていうのが、良く表現されてる。


頭頂高は１８ｍ。それを左下から見上げてるのが僕。
やっぱりカッコいい……。


足元に立って見上げると、なおのこと迫力がある。このスケール！
マニピュレーターも良くできてるなぁ。


後姿がまた素晴らしい。スラスターのノズルとか、剥き出しになった間接部とか、ディティールが細かい。
この細かな造形の良さは嫁にも解ったそうで、スゴいと言ってた。理解してもらえて嬉しいよ！


敢えて逆光から狙ってみる。もうちょっとシルエットを濃く出したかったけど、これはこれで。
もう何年も経つ物だから、巧い写真は探せばいくらでも出てくるんだけどね。それでも自分で撮ってみたいもんだよ。


周囲をぐるっと回り、ちょっと離れて真正面から端正なフェイスを。
この頭部が動いたりカメラアイが光ったりする、演出が行われる時間帯があるのだけど、スケジュールの都合でパス。僕はもうその風姿を拝めただけで充分。

ダイバーシティ東京プラザ開店前という早い時間だったからか、思ったほど観光客はいなかった。写真撮るにも互いに邪魔にならない程度。割合としてはアジア人が多かったかな。
ＧＷに戦々恐々としてた僕らは拍子抜け。公園の広さと相まって、まったり過ごせた。


夢中になって見上げてたら１０時になった。
暑さで喉が渇いてきたこともあり、せっかくだからガンダムカフェにも寄ってみる。


僕は桜ハロラテ。暑いと言ってるのに、ホット。期間限定だし、ネタになるからさ～。
口に含むと、ふわっと桜の香りが広がる。熱々じゃなかったから意外と飲みやすかった。


嫁はシャアザク桜フロート。こちらも限定メニュー。陽射しであっという間に融け出し、スプーンで支えないとザクのヘッドが沈む、沈む。どうせならズゴックあたりにしたら良かったのにと、思わなくはない。

ドリンク片手に、台場駅に向かってウエストプロムナードを散歩。楽しいひととき。