二上山と高千穂町歴史民俗資料館

2023年5月11日木曜日 16:09

二上山ふたがみやま/ふたがみさんは、宮崎県西臼杵郡高千穂町にある山。天孫降臨の地の比定地のひとつということで、見に行ってきた。

天孫ニニギが天降りした「高千穂」とはどこなのかについては、くしふる神社のエントリーで詳述したけど、町内にも候補が複数ある。『日本書紀』神代下・第九段の一書(第四)に「日向襲之高千穂槵日二上峰」、『日向国風土記』逸文に「日向之高千穂二上峰」とあり、この「二上峰」に着目したのが、二上山ということになるんだろうね。別名二神山。

くしふる神社を参拝した僕らは、ここらで休憩を挟むことにした。西へ車を走らせると、途端に景色が一変する。市街に入ったようだ。


向かった先は、『cafe terrace TAKACHIHOYA(カフェテラス高千穂屋)』。駐車場があるのでアクセスしやすい。狛犬がお出迎え。
空いているお席へどうぞとのことなので、通りに面した窓際を選んだ。テーブルオーダーではなく、カウンターに行って注文と会計をする。なかなか合理的なスタイルだな。配膳はしてもらえる。
店内は、ウッディで落ち着きのあるオシャレな雰囲気。


九州パンケーキチョコバナナを、嫁とシェアして食べた。程よい甘さで美味しい。取り分け用にお皿とシルバーを用意してくださったのが、嬉しい配慮。嫁はカモミールシトラスを、僕はパイナップルジュースを飲みながら、ゆったり過ごせた。
お店の奥には、「神話の里の美術館」と題してガラス工芸品が陳列されていた。僕たちが座った席のそばにも置いてある。これが案外見応えあって、芸術の良し悪しは判らないけど、キレイだなぁって言い合いながら見て回った。


続いては高千穂町コミュニティセンターへ。中が歴史民俗資料館になっているのだ。ここへも、ものの数分で着いた。屋根に千木がいくつも載っていて、神社意識だとしたら妙な感じもする。
観覧料を払って2階展示室を見学。とはいえ、スケジュールの都合上あまりのんびりしていられない。特に興味のある部分に絞って巻いていく。
吾平原横穴墓群あいらばるおうけつぼぐん6号横穴墓は、剥ぎ取り転写法による実物展示。玄室の赤色顔料が残っているのを確かめられた。出土した玉類からも、有力な豪族の存在を窺わせる。
日本に3例しかない鉄造狛犬の内、向山神社の実物と、高千穂神社の複製があった。すっかり錆びているけど、小ぶりなのにゴツゴツとした鉄の肌が、迫力を感じる。
それから、かつては荒立神社にお祀りされていたという、サルタヒコ・アメノウズメの神座像の複製。実物は現在、高千穂神社に安置されているそうだ。
他に、「高千穂荘たかちほしょう」についてのパネル説明などで、知見を整理した。


コミュニティセンターの隣が高千穂町総合運動公園で、二上山はここからが一番良く見えるらしい。
武道館前の駐車場に移動して、南西の方角に目をやると……おお、神々しい!向かって右が男岳、左が女岳とのこと。雲間から射す陽光で、なんとも幻想的な佇まい。
女岳の3合目には二上神社があるんだけど、そちらは旅程に入れていない。神奈備山も、中に入ると木しか見えないんだもん。山容を拝みたいんだよ。


付近に何か案内はないかと、南側の道路を下ってみたところ、『美禄園』という広場があった。説明板の類いは見当たらなかったが、そこの東屋の柱に「ここの山の」と書かれている。気になって近づいてみると、柱の他の3面にもそれぞれ、「刈干しやすんだよ」、「明日は田んぼで」、「稲刈ろかよ」とある。何かの暗号か?と怪文扱いしていたけど、翌日謎が解けようとは、この時の僕たちは知る由もなかったのである。

素敵なお店でちゃんと休めたし、二上山も見つけられたし、詰め込みすぎずいい感じに巡れているなぁ。

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