平城宮跡歴史公園オープン初日に行ってきた~後編

2018年3月24日土曜日 15:55

第一次大極殿をフェンスの隙間から。大極殿とは、朝儀ちょうぎの際に天皇が出御する施設。平城宮造営から恭仁京くにきょう遷都までを第一次大極殿と呼んでいる。ちなみに、聖武天皇は遷都を繰り返したが、また平城京に戻ってくる。そちらが第二次大極殿。


第一次大極殿内部を、改めて見学。高御座のイメージ模型など、一度見たはずなのに、歴史を知り興味を持つと、こうも見え方が変わるものか。キラキラ輝いてるよ。


大極殿から神奈備、三笠山を望む。みやこの中心から、やまとを見守っている神の坐す山を眺めるという、このシチュエーション。たまらないね……。


次は西へ西へと歩いて、平城宮跡資料館。


幕末の研究家・北浦定政きたうらさだまさが残した、『平城宮大内裏跡坪割之図へいじょうきゅうだいだいりあとつぼわりのず』の複製。偉大な先人の集大成を拝めるだけでなく、当時の地名や御陵の推定などが読み取れ、史料としても興味深い。


奈良時代のビジュアライズは、役所や貴族の食事、書斎、寝室などにも及ぶ。


木簡に、須恵器、建物別の瓦といった出土品も豊富。平城宮跡についてじっくり学べる。


そんなこんなで正午を過ぎた。朱雀門が開門している。回り道せずにひろばに戻れるや。振り返って写真を一枚。


平城宮の正門から出た僕たちの前に現れたのは、せんとくん!言わずと知れた奈良県のゆるキャラ。平城宮跡でせんとくんに会えるなんてね。嬉しくてスリーショットをお願いしちゃった。嫁と僕のテンションの差が浮き彫りに。

さて昼食はどうしよう。ひろばの屋台グルメはピンとくるものがなかったし、天平うまし館のレストランは混んでそう。と、レストランの横でお弁当を売ってる。低温調理の熟成肉とかで、美味しそうだ。『西麻布けんしろう』って奈良一切関係ないけど。
だけど嫁の反応も良かったので、試してみることにした。そしたら、目の前で特製タレをかけてくれて、それを手渡された。その場で仕上げって、結構嬉しいもんだね。


で、このステーキ丼が美味しかったぁ。芝生に座って食べるのも良いな。


食後、そろそろ上映してるかなと思い、天平みはらし館に戻った。平城京VRシアターまで行くと、女性スタッフが扉を開けて中に入れてくれた。
映像の途中からだったから、一周するまで観ることにする。で、15分ほどで終わって、さあ見逃した部分だけ確認しよう、と思ったら、違う作品が始まった。
全部通して観てわかったけど、計3本の映像作品が上映されている。阿倍内親王あべのないしんのうのちの孝謙天皇を主役にしたCGアニメ、若き阿倍仲麻呂あべのなかまろの苦悩を描いた実写映画、唐からの使者を語り部にした平城京と阿倍仲麻呂の話。
阿倍内親王がメッチャ可愛くて、シブい吉備真備きびのまきびとの関係が萌える。実写の仲麻呂役の俳優さんカッコいい。結構冒険した解釈だけど、それぞれストーリーがしっかりしてて、各テーマの学びや気づきを与えてくれる。平城宮や遣唐使の歴史に触れることができる。見応えがあった!
それにしても、野外ステージの天平楽も阿倍仲麻呂メインだったし、遣唐1300周年だからって推しまくりだな。


そしていよいよ、平城宮いざない館へ。その名の通り、訪れた人を平城京跡へといざなうガイダンス施設。
朱雀門ひろばのメインコンテンツといっていい場所のうえ、初日ということもあってか、ここだけ大混雑だった。だからゆったり見学できなかったんだけど、素晴らしい展示の数々であることは、間違いない。


とにかく見せ方が巧い!およそ一般的な歴博や資料館とは一線を画す。


ディスプレイがカラフルで、歴史に興味を抱いたばかりの初学者には、とっつきやすいんじゃないだろうか。


出土品などの考古学的な物ばかりでなく、平城宮跡で観察できる野鳥や、宮跡保存運動に尽力した棚田嘉十郎たなだかじゅうろうなども紹介されている。


復原模型は、この日あちこちでくどいほど見た。でも見ちゃう。

最後に、物販のある天平みつき館を物色。でもざっと回っただけで、面白いものは見つからなかった。単に奈良の土産ってんじゃなくて、ここにしかないものが欲しいな。
みつき館に限らず、全体的に県側はもうちょっと“平城”を前面に押し出してもいいんじゃないの。国の管轄施設は文句なしなんだけど。


帰り際、朱雀大路を見渡してみた。以前と違い、往時の幅約70mを再現した景色は、かつて栄華を誇った京を想起させてくれる。この場こそ、小野老おののおゆの和歌を引用したくなるじゃない。
青丹よし 奈良の都は 咲く花の 匂うがごとく 今盛りなり
あ~……楽しかった……半日遊べてしまった。興味の有無でこうも変わるもんかね。元明天皇とあの時代に惹かれている今、ここは宝の山。
ひとつ気がかりがあるとすれば、初日の賑わいが今後続くとは思えないことだな~。
とはいえ僕個人としては、復原事業の進捗が気になるし、いざない館をもっとゆっくり回りたいし、また行こう!

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