チキンラーメンファクトリーでデートっていいかも

2017年5月26日金曜日 17:35

大阪府池田市にあるインスタントラーメン発明記念館。チキンラーメンファクトリーやマイカップヌードルファクトリーといった体験工房があり、子供はもちろん、大人もメッチャ楽しい!特に前者は共同作業メインなので、デートにも最適かも。

函館から伊丹空港に帰ってきた僕たち。昼下がりでまだ時間はたっぷりある。どうせならどこかで遊びたい。そういえば、この近くじゃなかったっけ、と思い付き、あの人気スポットに行ってみることにした。
それはインスタントラーメン発明記念館。日清食品の企業博物館で入館無料、少額でオリジナルのカップヌードルを作れるコーナーなどがあることから、週末ともなると混雑し、駐車場もすぐ満車になるとか。この日は平日だったけど、気持ちとしてはダメ元で向かった。
記念館は住宅街の中にあり、周辺道路も狭い。こんな所にあるのかと思いつつ車を進めると、警備員さんが誘導してくれた。なーんと、駐車場ギリギリ空きがあるじゃないの。ラッキー!


入館したらまず、『チキンラーメンの誕生』のコーナー。
インスタントラーメンの生みの親、安藤百福あんどうももふく氏がチキンラーメンを発明した研究小屋(再現)に足を踏み入れた。これが良くできてて、ここで見たものの意味を、あとで深く理解することになる。


麺を油で揚げるようすが鍋に設置された映像で確認できた。瞬間油熱乾燥法といって、油の熱で水分を抜く技術なんだって。こうして乾燥させることで長期保存を可能にしたと。“油揚げめん”が保存のためとはなんとなく解ってたけど、乾燥させることこそ目的だったんだって知って、へー!ってなった。発想が天才的。


続いて『安藤百福とインスタントラーメン物語』のコーナー。
百福氏の語録なんかも展示されてて、特に刺さったのがコレ。
味に国境はない。しかし、風土、文化の違いを知らなければ、国境は越えられない。その国の伝統の味に同化してゆく努力が必要だ。
至言である。氏がただの発明の天才でないことを窺わせる言葉だよね。人としても大変立派な方なんだ。


そうして嫁と二人、感心しながら見学してると、背後から突然女性スタッフに声を掛けられた。「お二人で来られたんですか?」
いったい何事かと身構えたが、聞けば、急遽キャンセルが出て2名枠が空いたから、もし時間が許せば、チキンラーメン手作り体験に参加しないか、というお誘いだった。
チキンラーメンファクトリー。参加人数に限りがあるため、通常は事前予約が必要。僕たちは思い付きでふらっと寄っただけなので、当然予約なんかしてない。なのに、その日にキャンセルがあって、たまたま声を掛けられて参加って、こんな偶然あるの?やっちゃう、やっちゃう?と嫁と相談して決定。嫁は最初怪しい勧誘かと訝ったそうだ。
受付のためスタッフさんに案内されていき、手続きをする直前になって、有料である旨を告げられた。や、知ってたけどさ。当然謝ってもらえたけど、女性の顔には安堵の表情が浮かんでて、どうやら枠を埋めたかったのが叶い、嬉しくてうっかり大事なことを言い忘れた、って感じだ。お茶目か。ちなみに料金は大人ひとり5百円。安いもんだ。


受付番号は17と18。18号は女だから嫁に渡し、僕は17号だな。ってなんの話をしてるんだ。
マイカップヌードルづくりをしたか訊かれ、まだと答えると、それなら今から行きましょうと。チキンラーメン体験は1時間半かかり、14時半開始なので終わると閉館の16時になってしまう、とのこと。なんだか慌ただしくなってきたぞ。


受付してくれたスタッフさんに連れられ、マイカップヌードルファクトリーへ。そこの受付でバトンタッチ。ファクトリー内のスタッフの応対は、もはやアトラクションのそれ。テーマパーク並みにこなれてた。
自販機にて3百円でカップを買い、手を消毒したら、テーブルに着いてカップをデザインする。用意されてるカラーペンを使って、自由に描くのだ。ノープランだったから二人とも悩んだ。自らの発想の貧弱さに項垂れつつ、あまり時間を掛けられないなか、なんとか仕上げた。
できたカップをカウンターまで持っていき、スタッフの導きで、ハンドルをグルグル回して麺の上からカップを被せる。カップの上から麺を入れようとすると上手くいかないことから、“逆転の発想”でオートメーション化できたことを、体感できるわけだ。


次はお楽しみの味の組み合わせ選び。スープはカップヌードルカレー、具材はキムチ,ガーリックチップ,特選具材の肉,ひよこちゃんナルトをチョイス。ナルトを最後にして、見栄えを良くしたのがポイント。
写真は後日の実食時のもの。狙い通りの味で美味しかった~。
それからスタッフの手によって、フタをされシュリンク包装されると、まるで市販品みたい。


エアパッケージに入れたら、完成。最後が地味に難しかった。
写真を撮ろうとカメラを出したら、例の女性スタッフさんが快く記念撮影を買って出てくれた。


そのあとはいよいよ、チキンラーメンファクトリーへ。
始まると途中で抜けられないというので、予めトイレを済ませ、会場に向かった。この方とはここでお別れ。要所々々で案内してもらったから、ちょっとしたVIP気分。
行った先には人だかりができてた。その辺で待っていれば良いのだろうか。いきなり勝手がわからなくなった。少し焦ったので、入口付近にいたスタッフにチケットを提示したら、始めるにあたっての説明をしてくれた。これで安心。


番号順に工房に入ったら、U字型の作業台に通された。エプロンとひよこちゃんバンダナを身に付け、しっかり手洗い消毒。雑菌が入るといけないので、カメラに触るのは一段落するまでお預けだ。
やはり子供たちの姿が目立つ。でも、女性同士や外国人連れなんかもいて、参加者の顔ぶれは様々。
ビデオと口頭での説明のあと、各卓専任スタッフに従い、チキンラーメンづくり開始。


これが実に楽しい体験だった。
なにせ小麦粉を手でこねるところから始める。ガチだから結構力がいる。手がベタベタになった。途中で嫁と交代。このように基本二人一組で作業していく。
固まりができたら、麺棒で押して延ばす。延ばしては折り畳む。所謂コシを出すための、これまた力作業。
参加ペアたちの状況を見ながら、適宜スタッフがサポートしてくれた。僕らは二人とも料理スキルありだから、一番手際が良かったかな、と自画自賛。事実、スタッフの手は他に比べて入らなかったし。
できた生地は、製麺機に何度も何度も通してさらに延ばしていく。麺を入れる役とローラーを回す役に分かれ、これも交代してやった。
生地を寝かせる間に、パッケージをデザイン。誰か絵心を下さい……。嫁はひよこちゃんの彼女を創造して描いてた。さすが。周りの大人たちもみんな楽しそう。
また手洗いして、今度は一回ずつスタッフがダイヤル調整しながら、再度製麺機にかける。そうして厚さを均一にしていくのだ。
それから、長く薄くなった生地から麺を切り出していく。一定の速度でハンドルを回す僕と、同じ長さでハサミを入れる嫁。一発勝負だから緊張するわ。
カットした麺はスタッフがわしゃーっと縮れさせてくれた。あれも自分でやってみたいけど。
麺を一人前100グラムずつに分けザルに入れたら、スタッフの手で蒸し器へ。待ってる間にパッケージの続きと後半の説明。
蒸らした麺をボウルに移し、チキンエキスなどを調合したスープが加えられたら、手早く混ぜて味付け。それを円い型に詰める。型には受付番号と同じ数字が刻印されてて、見分けがつくようになってた。


油で揚げる工程は、厨房スタッフがガラス越しにやってくれた。物凄い勢いで水分を弾き出しながら揚げられる。子供らは自分の番が終わっても群がる。見てて面白いもんな、解るよ。


胸元の番号でどの麺が誰のものか判るから、スタッフが指差して教えながら、写真を撮る時間もくれた。なんて親切な。


パッケージに入れてもらったら、完成!
最後に、チキンラーメン工場での製造過程などを紹介する映像を見た。それはまさに、今自分たちがやったことと同じ。つまり実際の工程を、この工房で追体験したわけだ。
そして思い起こされるのが、百福氏の発明に至る展示内容。すべては繋がっていた……!得も言われぬ感動が押し寄せてくる。
さらに、お土産として市販されてる通常のチキンラーメンと、頭に巻いたバンダナも貰えた。通常版は食べ比べてねってことだし、ひよこちゃん好きだからバンダナも嬉しい。これだけ詰まって5百円は安過ぎる!


時計はすでに16時を回っていた。ミュージアムショップで買い物することなく、館を出ることに。展示ブース見学も、中途半端になったな。


それにしても安藤百福さん、あなたを本当に尊敬する。食文化に革新をもたらしたことだけでなく、その生き方に感奮した。
あと感じたのは、スタッフたちの接客レベルの高さ。一人ひとりが、日清食品の広告塔である自覚と誇りを持ってるんだと思う。素直に凄いわ。


翌日早速食べてみた手作りチキンラーメンは、市販の物よりあっさりでやさしい素朴な味。誕生したときの風味に近いのかな。

感銘を受けたり、自分で作ったり、学びになったり、色んな意味で面白い!偶然が偶然を呼び、素晴らしい経験に巡り会えたよ。

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