離島 沼島のおのころ神社

2016年5月12日木曜日 11:23
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淡路島の離島、沼島ぬしまは日本神話とのゆかりが深く、日本初の夫婦神が最初につくったとされる『オノゴロ島』の最有力候補地である。そこにその2柱を祀ったおのころ神社もある。日本神話、とりわけイザナギ、イザナミが好きな僕としては、是非とも訪れたかった島だ。

たまには旅行に記念日を絡めても良かろうと思い至り、嫁の誕生日祝いを兼ねた計画を立案した。近場の行きたい場所として沼島が残ってたので、そこに軽く寄ったあと、温泉大好きな彼女のために淡路島の温泉宿で一泊し、翌日は徳島の美術館に行くというプラン。
精力的に観光地を巡るより、ゆっくりするのが目的だけど、離島行きの船便の時間を考慮すると、そんなにのんびり出発はできない。それでもいつもよりは遅めの7時半に自宅を出た。

沼島で食事処を探すとなると難しそうなので、お弁当を買って持っていこうと考えた。そこで淡路ハイウェイオアシスに寄ったんだけど、着くのが早過ぎてまだ開いてなかった。渋滞発生も加味してたのに、高速がスイスイ流れてたからなぁ。
開くまで待つのも時間の無駄だし、サービスエリアのほうを覗いてみることに。しかしめぼしいものが無く、仕方なくお弁当は諦めた。ただのお弁当ではなく、ご当地ものが食べたかったんだよね。

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結局、土生港には予定より1時間ほど早く到着。そこに沼島汽船の灘ターミナルセンターがあり、駐車場も完備されてた。
それにしても良く晴れて天候に恵まれた。宿を予約する以上、天気は選べないからなぁ、ホント良かった。
気持ちが良いので、暇に任せてあたりを散歩したり撮影したり。円いターミナルの建物の外壁には、ほぼ一周ぐるりと一定間隔でツバメの巣が作られてた。よほどツバメには都合の良い場所なんだろうか。中の待合所には沼島の地図なんかもあり、数は少ないけれど自分たちと同じような観光客のほか、地元に帰るといった感じの人もいた。
出航15分前くらいになると切符が売られ始めたので、僕らは往復券を購入。

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船舶はまあまあの大きさ。もっと小さいのを想像してたから安心した。
のりばに向かうと、近くに郵便車が付けられてて船に荷物を積み込んでるようだった。こういうの見掛けると、今から行くのは離島なんだなって思う。
船に乗り込み前のほうの席に座る。前方の壁にテレビが掛けられており、NHK徳島が付いてた。あれ、ここ一応兵庫県なんだけど。
座席数に対して客はまばら。船内は静かだ。
出港すると、わずか10分で沼島に着いた。短い時間だったけど、久しぶりに船に揺られてちょっと楽しかった。

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沼島ターミナルからは、まっすぐおのころ神社を目指す。一緒に船を下りた人たちは、いつの間にか周囲からいなくなってた。目的地が異なるようだ。歩いててすれ違うのは、釣り人と思しき集団が目立つ。
地元のご老人方が屯して井戸端会議をしてる風景は、実にのどか。島に流れる時間がゆっくりに感じられる。
神社の入口までは、そこここに案内板が掲げられててそれほど迷わなかった。

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ただ、その入口が多少わかりにくい。間違える人がいるというのも頷ける話だ。
石段を上ると、その先は未舗装の山道。スニーカー履いてきたのは正解。嫁も船に乗る前に履き替えてきてて準備万端。そこから5分ほどで神社前に着いた。

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“自ずから凝る”で自凝おのころ神社。イザナギとイザナミが天浮橋アメノウキハシに立って、天津神アマツカミから授かった天沼矛アメノヌボコで混沌とした海をかき混ぜて、矛から滴り落ちたものが積もって成ったのが、オノゴロ島。

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高く延びる階段はまるで天まで届くよう。新緑の木漏れ日が美しい。この雰囲気、好きだな。

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階段を上り鳥居の前で一礼。

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それから拝殿で鈴を鳴らし、お参りした。オノゴロ島とされる島にある神社でイザナギ、イザナミに挨拶できるなんて、感慨深い。
拝殿の中には、その2柱が沼矛を持つようすを描いた絵が2枚奉納されてた。社殿のつくりがかなり簡素なので、その絵画がより際立つ。神社建築らしさがなく、ここまでがらんどうの社も珍しい。
だが良いのだ。拝礼できる場所があればそれで。

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拝殿の奥には千木と鰹木の載った建物があった。本殿……なんだろうか。この山全体が神奈備と聞いてたから、本殿はないものと思ってたんだけど。

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そばにイザナギとイザナミの石像もあった。こちらも天沼矛を手にしてる。
拝殿の傍らにあった石碑によると、2002年に老朽化した拝殿と石段が修復され、この石像も建立されたそうだ。道理で全体的に新しいように見えるワケだ。でも、島民の方々や信者の浄財で行われたってのが素敵だね。

山の中にひっそりとたたずむ神社。日本神話ファンとして気軽に参拝したのだけど、とても清々しい思いがしたよ。

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