大塚国際美術館 世界の名画と記念撮影

2016年5月13日金曜日 19:01
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本物はひとつも無いのに日本で最も人気があり、一日過ごせる、場合によっては一日じゃ足りない。そんな話を聞いた美術館が徳島県鳴門市に存在する。
大塚国際美術館は、陶板名画という世界中の名画を特殊技術でオリジナル作品と同じ大きさに複製された陶板だけの美術館。館内は地下3階から地上2階まであり、展示数は千点以上、鑑賞ルートの距離は4キロにも及ぶ。劣化しにくい材質の複製画ばかりということで、写真撮影OKというのも大きな特徴だろう。
これで3100円というのが、高いか安いか。僕は充分にその価値があると思う。

沼島と温泉が主目的だったから、泊まった翌日どうするか検討する必要があった。地図を眺めてると、県は跨ぐけど大塚国際美術館が近いじゃないか。名前を見て思い出したけど、ここは二人とも興味があった場所だ。これでプランがほぼ完成した次第。
うずの丘でランチを済ませたら、大鳴門橋を渡り、美術館の駐車場へ。駐車場からは無料のシャトルバスの送迎があった。
予め前売券を用意してた僕らは、すぐに館内へ。すると、長い長いエスカレーターが眼前に現れた。3階分くらいはありそう。
それを昇った先で館内マップを手に入れたら、鑑賞開始。平日だというのに結構混雑してるな。

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まず向かったのはシスティーナホール。この美術館は環境展示と系統展示の大きく2つに分類され、環境展示は環境空間をまるごと再現してあるという。
で、その現物を観て驚嘆した!『システィーナ礼拝堂』がそっくりそのままそこに広がってる。ミケランジェロによる天井画や壁画で全面埋め尽くされた空間は、圧巻の一言。一場面ずつじっくり鑑賞してたら、このホールだけで日が暮れそう。

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せっかくなので自撮りしたり記念撮影に興じた。着いていきなり楽しい。そして見上げてばかりで首が痛い。
続いて順不同に環境展示を観て回った。システィーナホールほどの迫力はないにしても、どこも凄い再現度。といっても本物見たことないんだけど、壁画の剥がれ具合とか、実物がどういう状態なのか容易に察することができるレベルで、どれほど本物を忠実に模しているかは想像に難くない。

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印象深かったのはエル・グレコの部屋。作品自体知らないけど、とにかく圧倒された。自分が知らない世界の名画に出会えるのも、ここの良さかも。

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観光地によくある顔出しパネルは『最後の晩餐』。
嫁がやってみるというので見ていると、他にも顔を出せる人物があるのに、迷わずユダを選んだ。しかも、銀貨の入った袋を握る右手も再現。さすがミッション系スクール卒業生、色々解ってるなぁと笑ってしまった。

続いて系統展示を巡る。
ギリシャの壷絵とかアレクサンダー・モザイクとか、学生時代に歴史の教科書で見たことのある作品がズラリ。あの頃にこんな場所で勉強できてたら、頭への入り方もまるで違っただろうな。あちこちで見掛けた修学旅行や遠足の現役学生たちがちょっぴり羨ましい。
『わが唯一の望みの(「一角獣を従えた貴婦人」より)』を観て敏感に反応した僕はガノタ。そういや今テレビシリーズ化して放映中だっけ。OVA借りて観たからそっちはチェックしてないけど。
館内の床には順番に回るための矢印が記されてる。だけど、初めのうちは上手く使えなくてバラバラに非効率な歩き方をしていた。それでも地下2階に上がる頃には、要領が掴めてきた。

カルロ・クリヴェッリなど様々な画家の『受胎告知』ばかりを集めた部屋があったのは、この美術館ならでは。聖書の解釈で、画家によってこれだけ色んなバリエーションができるんだってことを、嫁が簡単に解説してくれた。宗教画ってどうも馴染めなくて毛嫌いしてたんだけど、こうして比べると面白いもんだ。
ラファエロの『アテネの学堂』も授業で習ったな~。眠ってた記憶が刺激される。

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世界で最も有名な美術作品、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』と並んでの記念写真。同じポーズ取れば良かった、と嫁はあとから悔やんでた。
『聖マタイの召命』は僕が観たかった絵のひとつ。カラヴァッジョいいよねなんて、嫁と好みが一致した。普段美術の話なんかしないから、これも貴重な機会を得たといえる。

2フロア歩いて少し疲れた。そこへ丁度目の前に『カフェ・ド・ジヴェルニー』があったので、休憩することに。
レジカウンターで注文したら、番号だけ貰ってテラス席へ出た。番号呼出システムとかがあるワケでもないのにどうやって運んでくるのかな~と思ってたら、店員さんがテラスまで出てきて「何番のお客様」と呼び掛けてくれた。

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モネの『睡蓮 緑のハーモニー』を表現したという『モネのパンケーキ』は、まず見た目がカワイイ。フルーツいっぱいで味もまずまず、甘さが程よい。
一緒に頼んだすだちスカッシュは、徳島県の特産物すだちの酸味が利いて、メッチャさっぱりした。想定以上に酸っぱい、でも美味しい。
ゆっくり休めたところで鑑賞再開。すぐ隣のモネの『大睡蓮』は環境展示だ。燦々と降り注ぐ陽光の下で名画を観るのは、とても新鮮な体験。

ひとつ上がって地下1階。バロックを過ぎて近代まで来ると、さらに知ってる作品が増えてくる。
大勢の人がカメラを向けてる所があって何かと思ったら、ミレーの『落ち穂拾い』。人々の動きを観察すると、どれがメジャーなのか良く判る。

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ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』では記念写真を嫁にお願いした。ちょっと嬉しい。

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嫁も大好きなルノワールの『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』と一緒に。
あと面白かったのが、ゴッホの『ヒマワリ』のなかでも所謂“芦屋のヒマワリ”と呼ばれる作品近くに、それを扱った名探偵コナンの映画のポスターがあったこと。狙ってるな~。
見上げるほど間近で観られたジャック=ルイ・ダヴィッドの『皇帝ナポレオン一世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠』は迫力の大きさ。ホント、次々と著名な作品が現れる。

現代のフロアに入るとブラックやピカソなどのキュビズムが並ぶ。ブラックは結構好きなんだけど、僕のお気に入りは展示されてなかった。
それからだまし絵などのテーマ展示を巡り、終了。

数字は頭では解ってたけど、実際に千点を超える作品を巡ると、その多さと濃さは凄まじいものがあった。もう、おなかいっぱい……。
興味の無い作品は遠慮なく飛ばせばいいのよ、とは嫁の至言。ごもっとも。それでも休憩含めて4時間掛かったんだからね。濃厚な時間だった。
人気の高さの理由を肌で感じた。これはスゴイよ。

まったくの余談だけど、美術館の向かいには大塚製薬の潮騒荘なる館があった。なんか見覚えあると思ったら、ホテルの部屋から遠くに見えた建物じゃないか。これから行く場所のあたりが見えてたのね。

ミュージアムショップでお土産――意外と消え物の種類が少なくて悩んだ末にタルト――を買ったら、帰路に就いた。
二日間、充実した時間を過ごせたし、嫁にも喜んでもらえたよ。

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