上立神岩まで沼島半周

2016年5月12日木曜日 13:45
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沼島の沿岸域には奇岩が多く、その神秘的な姿形からか、神話の舞台になぞらえられる。なかでも上立神岩かみたてがみいわは沼島のシンボリックな存在で、イザナギとイザナミが天から降り立った地とも、2柱が回って婚姻を結んだ天御柱アメノミハシラともいわれる。
おのころ神社から上立神岩まで島内半周の所要時間は1時間少々。

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おのころ神社をあとにして、その裏手に続く山道を行く。上立神岩に向かうには港からの最短ルートもあるんだけど、展望の良い地点があるというので、ぐるっと沼島を半周することにしたのだ。
しかしこれが結構なハイキングになった。空中写真を事前に確認して想定してた事態ではあったし、傾斜も普段の登山に比べたら全然大したことないんだけど、最近人が歩いたような形跡が無い。草は伸び放題だし朽ちた道標は地面に落ちてるし、コンパス持参したほうが良かったかと、一瞬考えたくらいだ。山歩きに慣れてなかったら、躊躇しそうな道なのは確か。
それでも道は明瞭なので、クモの巣を振り払い、雑草を掻き分け、突き進んだ。

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途中、何箇所か東屋がある表記が存在したが、メインの道沿いではなく脇道に逸れる必要があり、そちらへの道は輪を掛けて草が生い茂っており、わざわざ寄ろうという気を起こさせなかった。お弁当用意できてたら東屋で食べても良いかなと考えてたけど、結果的には持ってきてなくて正解だったかも。

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稜線伝いに歩いてアップダウンを繰り返し、おのころ神社から20分、視界が開けた。空と海以外は草木しか目に入らず、自分たちが山の中腹にいるのが良く判る。ここだけ見てると遭難でもしたような感じだ。
文句言わずに付いてきてくれる嫁に感謝。彼女は優雅に日傘を差してるけど、およそ似つかわしくない状況なのが、なんだかおかしいやら安心するやら。

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しばらくして、ようやくひとつ目の奇岩を見ることができた。青磯あおいそといって青い石でできてるらしい。
この沼島の南端まで来ると、紀伊水道が広々として展望が良い。

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海がメチャクチャ綺麗なエメラルドグリーン。これにはテンションが上がった。

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続いて見えたのが平バエ。“バエ”とは岩を意味するそうだ。

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その近くの岸壁には釣竿を垂れた人の姿が。どうやってあんなところへ……釣り人根性恐るべし。

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まだ少し距離はあるけど、上立神岩をちょこっと見ることもできた。遥か遠くには紀伊山地が薄っすら。なかなかの眺めだ。

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それから程なくして、沼島港からの直行ルートとぶつかった。ここまで誰とも出会わなかった。僕らが遠回りしてる間に、他の観光客はもう見てしまったのかな。
傍らに道標と案内板が立てられてたので確認すると、案内板のほうは表面がほとんど剥げ落ちており、役目を果たしてなかった。山中で見掛けた折れた道標といい、もうちょっと整備したほうが良いような。

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あとひと息。最後の上り坂を上り切ると、再び海が見えた。簡単な休憩所と上立神岩についての立派な案内も設置されてる。
一刻も早く実物を見たい僕は、もうすぐそこだし大丈夫だろうと、まだ周囲を撮影してた嫁を置いて急坂を一気に下った。

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海岸まで下って東を向くと、上立神岩がそこに。そうでなくてもこの目で観てみたかったのに、長時間歩いて焦らされただけに、感動もひとしお。神話の舞台を眼前にするというのは、神社を参拝する以上に胸に込み上げるものがある。しばし見惚れていた。

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高さおよそ30メートル。自然がつくり出した奇岩としても、人知を超えた力が働いたように感じる。
記念に嫁の広角カメラを借りて自撮り。自分だけで撮るセルフィーに対し、二人で撮るのはカップリーというらしいね。

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ついそちらにばかり目が行ってしまうが、反対側にはアミダバエがある。このあたりに阿弥陀如来が現れたとかなんとか。
話は逸れるけど、沼島は小さな島だけどたくさん神社仏閣がある。昔から霊験あらたかな土地として信仰されてきたんだろうな。
平日の正午過ぎということもあってか、僕たちしかいなかったから、気の済むまでこの景色を独占することができた。一組のカップルと行き違ったのがさて戻ろうという頃だったのだから、幸運だ。

帰りは港までの最短コースを選んだ。途上に小学校と中学校があるため、あちこちに飛び出し坊やが置かれてたんだけど、某猫型ロボット風のカラーリングになってたりと、かなり遊んでるのが印象に残った。
余談ついでにもうひとつ。住宅はほぼ港周辺に密集しているため、自家用車が要らない島だという話だが、実際は軽トラなどが何台か走ってた。想像してたのとちょっと違った。

沼島ターミナルセンターにはたった30分で戻れた。この近さを考えると、あの眺望のためにプラス1時間というのは、体力の無い人にはオススメできないな。僕は歩いて良かったと思ってるし、嫁も楽しかったと言ってくれたケド。彼女がだいぶ健脚になったことが嬉しい。
淡路島に戻る船内では、帰りに擦れ違ったカップルや男性の姿があった。唯一の交通手段だから、一緒になるのは当然かな。

沼島は面積が3平方キロメートルにも満たない小さな島だけど、素晴らしい見所のある場所だった。できればもっとお金を落としていきたかったけど、木曜日って開いてない施設も多かったんだよね。それが心残りといえば心残り。

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