辻川山公園と七種山と神前山
2022年10月23日日曜日
20:17
兵庫県神崎郡福崎町の名産といえば、もちむぎ。麺やパスタ、パンなどで食べることができるようで、これは味わいたい。辻川山公園の妖怪たちも有名だ。風土記スポットもあるし、行ってみることにした。
市川町から南下して、福崎町は辻川山公園の駐車場へ。周辺には観光車用駐車場が点在しているのだけど、停めたいと思っていた所に停められた。
お昼には少し早いので、公園をぶらぶら。
まずは神崎郡歴史民俗資料館。レトロモダンな建物は明治期の建築で、神東・神西郡役所を移築したものらしい。この雰囲気、嫁が好きそうだなと思って案内した。
内部は近現代の生活用具などの民俗資料の展示が中心で、僕にはあまり興味が持てない分野だった。
続いて柳田国男の生家。こちらも街道沿いからの移築。
柳田国男といえば、日本民俗学の創始者で、日本神話関連の論文や書籍でも度々参考文献として引用されるなど、偉大な研究成果を残された方だ。だからお名前にはとても馴染みがある。ただ、ご本人の著書にはほとんど触れたことがない。なんとも微妙の距離感。
辻川山公園の名物・妖怪の像。中でも一番目立つ存在が、河童のガジロウ。兄のガタロウもそばにいる。柳田国男の著書『故郷七十年』の「駒ヶ岩の河太郎」の段に、
辻川あたりでは河童はガタロというが、随分いたずらをするものであった。云々とあり、川遊びをしていて尻を抜かれる(溺れ死ぬ)子供がいるのは、河童・ガタロの仕業だというわけだろう。兄弟の像は、この一節がモチーフになっている。
15分おきに池の中から顔を出すので、時間が近づくとだんだん人が集まってくる。散々メディアに取り上げられていて何度か見たことがあったけど、実物はやはりグロテスク。だがそこがいい。幼児が大真面目に泣き出すのも無理はない、リアルな造形。
レストランがオープンしたところで、『もちむぎのやかた』へ。色んなメニューがあって迷ったけど、二人とも銀の馬車道御膳を選んだ。もちむぎ麺に、もちむぎひろうす、もちむぎご飯、デザートにはもちむぎプリンと、もちむぎ尽くしなのが決め手。もちむぎとは“もち性”の大麦の総称で、粘り気が強くもちもちした食感が特徴だ。もちむぎ麺は、そばのようなうどんのような、不思議な味わい。もちむぎプリンは言われないともちむぎが入っていると気づかないかもしれないけど、独特の香ばしい風味がして、これがもちむぎなのかなと。どれも美味~!
昔、友人と訪れたことがあって、その時にももちむぎ麺を食べたはずなのに、まるで味の印象が残っていない。だから今度こそ記憶に留めようと食してみたんだけど、なんだよ、美味しいじゃないか。
会計を済ませてレストランを出ると、行列ができていた。早めに行って正解だったね。
他にも数多くいる妖怪の中で、個人的に気に入ったのが、油すまし。油差しを傾けて出てきているけど、出ないと傾けられないはずという、どこがスタートなのかわからないデザインが好きだなぁ。素晴らしい。
ギミックのある妖怪はガタロ以外にもいる。それが妖怪小屋の逆さ天狗。こちらも、時間になると小屋から出てきて、空中を滑走する。不規則に前後に動くさまが、なかなかシュール。ちょっとしゃべりもして、しょうもなくて脱力しちゃう。かえっておかしい。
それから旧辻川郵便局。大正期の建築で、淡いグリーンの色と相まって可愛らしい。1階はブックカフェは、残念ながら臨時休業中だった。
今は郵便局として機能していないこの建物の前に、郵便車がやってきてポストの投函物を取集していった。偶然面白い光景を見られたな。
公園を離れ、あとは福崎町の風土記ゆかりの地に寄ろう。まず
七種山の麓に鎮座する一之宮神社。『兵庫県神社誌』には古老聞書として、
七種にありしも参拝不便のため~中略~現在地に遷座せり。と、七種神社との関係を思わせる言い伝えが。
兵庫県神社庁のサイトでは主祭神をオオクニヌシとしているものの、播磨国風土記に、
とあり、御祭神も不詳といえる。奈具佐山 。ヒノキが生えている。その地名由来はわからない。
それでも、拝殿には絵馬がたくさん奉納されていたし、本殿が桧皮葺のように見えたので、土地で篤く敬われていることがわかるんだよね。
次も山で、
とある。神前 と名付けたわけは、イワ(伊和大神)の御子・タケイワシキ(建石敷命)が、山使 の村の神前山にいらっしゃる。そこで、神がいらっしゃることによって名とした。
二之宮神社にはタケイワシキ大神がおわします。神前山には、タケイワシキが降臨したという磐座があるらしい。登山する気は(以下略)。
こちらも、拝殿の絵馬と大きな注連縄が目立つ。
思っていた以上に楽しめたなぁ。話題になるだけのことはあるんだね。僕もこれからオススメしていこ。