花水土香さんの壬申のランチセットと杏仁

2022年6月27日月曜日 17:04

奈良県高市郡高取町にある点心カフェ『花水土香はなみづか』さん。2年ぶり4度目の訪問となった今回は、要予約の飲茶ランチセットが目当て。なんといっても、壬申の乱じんしんのらんをテーマにしていると聞いては、古代史ファンとして見逃せない。そもそも此度の旅行のきっかけが、『花水土香』さんのランチが食べたい!なのだ。で、せっかく高市郡方面に行くならと、旅程を組んだ次第。

下調べしていたスポットをすべて巡り終えたところで、12時半過ぎ。計ったわけではなかったけど、良い頃合いだ。ただあまりの暑さに参って、しばらく車内の冷房を浴びて、汗が引くのを待った。それから国道169号線を南下して、お店の専用駐車場へ。

朗らかなご主人のお出迎えを受けて、検温・手指消毒。空いていたので、窓際のカウンターに座った。ここ、好きなんだよね、二人とも。
奥の席ではトークに花が咲いていて、何やら楽しげなようす。良い雰囲気だなぁ。


日本書紀に、
天武天皇元年(672)六月甲申(24日)、是日、発途入東国。
とあるように旧暦の6月は、大海人皇子が吉野を出発し東国に入ったという、壬申の乱じんしんのらんが始まった月。また、
(同年)秋七月庚寅朔辛卯(2日)、恐其衆与近江師難別、以赤色著衣上。
と続き、大海人軍が近江軍と見分けがつかなくなることを恐れて、赤いきれを衣服の上に付けさせたともある。
お目当ての飲茶ランチセットのメインは、腸粉という米粉できた皮に餡を入れてタレをかけた点心。エビの腸粉がまさに、大海人皇子軍カラー!赤い野菜パウダーを皮に練り込んであるんだそうだ。つるんとした皮を噛むと、ぷりっとしたエビの口当たり。ふわっとエビの風味が口いっぱいに広がって、美味し-い!白いほうは牛肉の腸粉で、吉野産の原木椎茸の香りがまた、鼻を抜けていく。タレは吉野の宮滝醤油がベースとのことで、餡の味をより引き立ててくれる。


手包み水餃子のスープは、やさしいのにしっかりした味で、疲れたカラダに染みる……この、心と体が喜ぶ点心が、『花水土香』さんの好きなところだなぁ。
ちまきも蓮の葉に包まれているから、開いた瞬間に湯気とともに薫香が立ち昇って、具材の鴨肉や栗と合わさって鼻腔をくすぐるんだよ。
えらべる台湾茶は、吉野つながりで吉野郡大淀産の嘉兵衛番茶をチョイス。香ばしさとホッとする味で、どの点心とも合う。

嫁もニッコニコで綺麗に平らげたあと、ちょっとだけ甘いもの欲しいなと思い、追加で注文。


それがこの、うさぎの杏仁ブラマンジェ。もう絶品!一口頬張っただけで、思わず目を見開いた。食べなれている杏仁豆腐に、近いようでまるで違う。南杏と北杏という2種類をブレンドしているからなのか、深みのある味わい!添えられている桃膠タオジャオソースは、グミのようなゼリーのような面白い食感で、サッパリとしたレモン味が、濃厚な甘さの杏仁とマッチする!なにこれメッチャ美味しい!!


おまけに見た目もこんなにかわいいんだよ……もう無敵じゃん。月替わりのランチセットと異なり、うさぎの杏仁ブラマンジェはレギュラーメニュー。今まで頼まなかったの、もったいないことしてたわ~!興奮気味に語る僕に、嫁も全面的に首肯してくれた。
他にもお気に入りのデザートあるし、ランチだけでなくもっとカフェ利用に行こう。


お会計の際に、お礼と感想を伝える。この時間も好き。あんまりダラダラするとご迷惑になるから、さっと切り上げるけど。古代史テーマに反応してくれる数少ない一人だと、しろみさんに言っていただけたの、嬉しかったな。そして相変わらず店主ご夫婦のやり取りに、ほかほかする。
思い返せば、初めて花水土香さんの点心ランチを頂いたときのテーマが、「壬申の乱前夜」だった。もう6年も前のこと。昨年はお店には行かず、中華菓子やイチゴの通販を利用させてもらっていた。細いけど長くお付き合いいただいていて、ご縁に感謝だよ。

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