近つ飛鳥博物館で夢中になって遊んだ

2019年11月23日土曜日 13:59

大阪府南河内郡みなみかわちぐん河南町かなんちょうにある、近つ飛鳥ちかつあすか博物館で遊んできた!大仙古墳の復原模型が最大の見所なんだけど、周囲のジオラマが、古墳に石棺運ぶとか木を切り出すとか鹿を狩るとか、集落の入口に兵士が立っているとか市場が賑わっているとか、古墳時代の生活再現が半端ない!情報密度が物凄くて、大満足だったよ。

神戸空港に帰ってきたら、雨はほとんど止んでいた。自宅には戻らず、翌日のために大阪へ。目星を付けておいたコインパーキングに無事に車を置き、夕食に向かった。
この日の夕食は、堺市にある『イタリアン酒場 Bitteビッテ』。外観も内装も可愛い、カジュアルながら落ち着いたお店だった。パスタやピッツァだけでお茶を濁すなんちゃってが多いなか、可愛い雰囲気とは裏腹に、ここはちゃんとしたイタリアン。ラザニアが食べられるとは思わなかった。何を注文しても美味しい。なのに、便秘の反動が来て具合を悪くしてしまい、食べ残した料理があるのが、本当に申し訳なかった。機会があるなら、是非もう一度行きたい。
おなかを押さえながら、スーパーホテル堺マリティマにチェックイン。しばらくして体調は快復した。

ゆっくりしっかり睡眠を取って、翌朝はのんびりと活動開始。10時過ぎに、堺中央線沿いのスタバでブランチにした。半端な時間だから店内もまったりしているし、落ち着くわぁ。
そこから南阪奈道経由で河南町へ。途中から、この先に博物館なんてあるの?と疑いたくなるような、センターラインのない路に変わる。古墳群がそばにあるような所だから、不便な立地なんだろう。
広い駐車場が結構埋まっていた。何かあるのかな。


近つ飛鳥博物館。実にユニークな建物をしている。試しに最上段まで上ってみたけど、意外なほど眺望がなかった。
でも、雲ひとつない快晴で陽光が暖かく、ピクニックするには良い場所だなぁと。実際、お弁当を広げているファミリーがいた。
ところで、“近つ飛鳥”は古事記の履中りちゅう記に出てくる。
隼人はやとを斬って、明日あすになってから上ったので、その地を近つ飛鳥と名付けた。大和に着いて、「今日はここで泊まって、明日神宮に参ろう」と言ったので、その地を遠つ飛鳥と名付けた。
難波宮から近い遠い“あす”ってわけね。


館の入口は段の脇にある通路の奥にあった。
そこで写真を撮っていると、リュックを背負ったおじさんに声を掛けられた。展示、見に行かれるんですか、と。肯定すると、招待券をあげるとおっしゃる。1枚で2名まで行けるからと。一瞬躊躇ったけど、好意を有り難く頂戴することにした。僕もあとで行きます、と言い残して彼は去っていった。
縁があって招待券を貰ったものの、1枚持て余していたのかも知れない。そこで、現地で誰かに譲ろうと考えたってとこだろうか。面白い出会いもあるもんだ。

さあ、館内に入ろう。受付の係員さんに招待券を渡し、音声ガイドを借りた。ガイドを再生すると、声のプロではない人が話していると、すぐ判った。嫁が言うには、さっきの係員さんの声じゃないか、って。あり得る。

展示ゾーン1『近つ飛鳥の国際交流』の入口では、石上神宮いそのかみじんぐう七支刀しちしとうや稲荷山古墳出土の鉄剣などの復原模造品がお出迎え。原品も見てみたいものだけど、復原だと刻まれた文字が読みやすい。
ここや一部の展示は撮影禁止だけど、それ以外は撮影OKというのが嬉しい。


四天王寺してんのうじの1/100スケール模型。特徴的な伽藍配置が良く解るし、人物も置かれていて、単純にミニチュアとしても楽しい。


金銅威奈大村骨蔵器こんどういなのおおむらこつぞうきの復原は、表面に文字がビッシリ。古代の文字文化を伝える品だね。本物は四天王寺の所蔵らしい。


ゾーン2『日本古代国家の源流』には、珍しい埴輪がズラリ。まず、なんといっても水鳥形埴輪。複製だけどカワイイ。


それから傘を模した蓋形きぬがさがた埴輪。


盾形に船形に馬形。他にも色々。


衝角付冑しょうかくつきかぶとの模造品は、鳥の羽が付けられていてカッコいい!実物だけが良いってもんではなく、復原品にも違った価値があることを、改めて痛感する。


埋葬時の再現をした、アリ山古墳の副葬庫もそう。勉強になるわぁ。


女子の人物埴輪。古代の衣装や化粧を再現するのに、こういった物を参考にしているんだろうな。なんて考えると興味深い。


そして、いよいよ当博物館を象徴する展示、大仙古墳の1/150スケール模型。古墳の周囲には、古墳の造営や当時の人々の営みを再現したジオラマが広がっており、これが見応えたっぷり!


墳丘を築き堀を穿ち。


石棺を入れ。


被葬者を運び。


石を葺き埴輪を並べる。
場面場面を小さな小さな人形などで展開していて、その精緻さに思わず声を漏らした。かぶりついて、夢中でカメラを向けた。


馬型埴輪とか、これ5mmくらいだよ大きさ……もう意味わからん……このエリアだけでも、ずっと見ていられる。


市場では、野菜をやり取りしているとか、子供が転んでいるとか、どこを見ても芸が細かい。


登り窯は、明滅する赤いライトで火を表現していた。


鳥は空を飛ぶように、何かの線で宙に浮かせてある。


集落の入口を兵士が守護している。


狩猟のシーンもダイナミック。
我を忘れて遊んでいたら、上から嫁にその姿を撮られていた。自分でも、生き生きしているのがわかるもん。
このジオラマを制作した人たちの、執念というかひたむきさに、敬意を表したい。


次にゾーン3『現代科学と文化遺産』で、修羅(木製の運搬具)などを見て、常設展は終了。


続いて特別展示室にて、秋期企画展『ヤマト王権とその拠点 政治拠点と経済拠点』を見学した。記紀にみられる王宮も、考古学的には謎が多い。そこで経済拠点ともいえる集落遺跡から、王権の拠点に迫ろうという試み。面白い企画だけど、まだまだやっぱり難しいテーマだね。今後の調査・研究に期待したい。


最後にミュージアムショップで、企画展の図録と和同開珎レプリカを購入。
受付に人が集まり始めていて、どうやら講演会が開かれるらしい。道理で車が多かったわけだ。
和同開珎は元明天皇の御代に鋳造され始めた貨幣。銀銭と銅銭があり、銀銭は後に廃止されたことは続日本紀に載っている。だけど、使用されている字体の違いで古和同と新和同とがあって、銀銭は古和同しか無い、ってのは知らなかった!しかも出土品から型を取っている。さすが近つ飛鳥博物館オリジナル……本格的。僕にとって和同開珎は、阿閇さまグッズというつもりで買ったんだけどね。

人混みに揉まれた東国から関西に帰ってきて、まったく混雑しない博物館を大満喫。羽を伸ばせたよー!

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