明石海峡大橋クルーズで五色塚古墳を望む試み

2023年3月11日土曜日 15:00

明石海峡大橋クルーズは、兵庫県淡路市の岩屋港から出発し、世界最大級のつり橋・明石海峡大橋をくぐるのが、一番の見どころの遊覧船。
それだけでも十分ワクワクするけど、ということは五色塚古墳ごしきづかこふんを海上から望めるんじゃないか!そう思いついたので、行ってみた!

なぜそんなことを思いついたのかというと、『日本書紀』神功皇后摂政元年二月条に、
時麛坂王・忍熊王~中略~乃詳為天皇作陵、詣播磨興山陵於赤石。仍編船絚于淡路島、運其島石而造之。
(その時にカゴサカ・オシクマという仲哀天皇の御子が、そこで偽って天皇のために陵を造る真似をして、播磨に行き山陵を明石に立てることとした。それから船団を編成して淡路島に渡し、その島の石を運んで造った)
とあり、明石に造ったという偽の御陵は、五色塚古墳を意識したものと思われる。被葬者として僕は、神戸市垂水区の海神社等を考慮し、明石国造と考えているけど。
それはさておき、明石の巨大な前方後円墳は、古代から良く知られていた存在だったことが窺われるんだよね。明石海峡を航行する船からも、石葺きの異様な人工物は、ひときわ目を引いたに違いない。
現在はホテルやマンションが建ち並び、海岸の様子は随分変わっているけど、以前墳丘に登ったとき、海原や淡路島が見渡せたから、反対に海の上からも見えるはず。だったら古代人の感覚を、疑似体験したい!と。


乗船者専用無料駐車場に早々と着いてしまい、出航時刻の30分前までにチケットを発券する必要があったのも余裕で済ませ、空き時間に神社巡りをしていたら、意外とギリギリになった。
ちなみに、駐車場から乗船場までは15分ほど離れているけど、無料シャトルバスが運行されている。最近運動不足気味の僕らは、歩いていった。
乗船場は、2012年に航路が廃止された『たこフェリー』跡地。そこを、鳴門海峡でうずしおクルーズを運行している会社が利用して2021年に始めたのが、明石海峡大橋クルーズのようだ。疫禍の真っ只中に開業したんだね。まだ新しいから、テレビのニュースで初めて知ったよ。


乗るのは、江戸時代の蒸気帆船「咸臨丸かんりんまる」を再現したデザインの船。うずしおクルーズと同型じゃないかな。勝海舟ファンには嬉しいのかもしれない。
手指消毒してチケットのバーコードを読み取ってもらったら、船内へ。前の人に続いてアッパーデッキまで上がった。


僕たちを乗せた船は11時に出港。これから75分間のクルージングだ。
快晴の空の下、海上の風がちょっと冷たいけど、オープンデッキで陽射しを浴びていると暖かく、とても気持ちが良い。
乗船客はそんなに多くなく、割とゆったりできた。


そうして、いきなりハイライトが訪れる。明石海峡大橋へどんどん近づいていく。今までに見たことのない方向からの情景。橋上を走る車まで見える。


船が橋の真下に入ると、マストが橋の底にぶつかりそうなほどだ。さらに、そのまま橋の下を平行に進む。これは面白い。
明石海峡大橋を見上げるだけなら、松帆アンカレイジパークからも可能。だけど、航海しながらではまた違った魅力がある。迫力がある。


橋伝いに北進しているということは、対岸が近づいているということ。あの辺りに五色塚古墳があるはず!肉眼では捉えきれないけど!あそこに!


あとで写真を拡大して確認すると、緑色の船の上方に、バッチリ納まっていた。前方部がほとんど潰れているけど、後円部がこんもりと。もっと近くを通ったら、当然もっと大きく裸眼でも判るだろうけど、角度的に前方後円墳の全容は掴みにくそうだね。周囲の建物を想像で消してみても、古墳の大きさに思ったより圧倒する力を感じない。遠かったのと、大型建造物に対する慣れがあるせいなんだろうか。体感できたからこその感想ではあるけど。
なんだか、かえって古代の人に見てどう感じたか訊いてみたくなったな。


ニッチな楽しみ方をしたあとは、素直に景色を愛でよう。船上ガイドさんが淡路島のローカル情報などを案内してくれるので、それらを目で追っているだけでも、充実した時間が過ごせる。
これは、淡路市江崎に立つ石造りの江埼灯台。帰路のほうが近づいたけど、引きで眺めるのも良い。


HELLO KITTY SMILE』のバカでかいキティさんの頭。秋から春にかけては海苔網があるため、少し離れた所から。


こちらもキティさん関連の『AWAJI HELLO KITTY APPLE LAND』のリンゴ。遠目にはトマトみたい。
他にも、アンダーデッキに下りて丸窓から波しぶきを覗いたり、瀬戸内の穏やかな海面を眺望したり。

船に乗ることって自分たちにとっては非日常なんだなぁ。心地よい。
あっという間の1時間。や~、満喫した~!

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