五色塚古墳に古代の姿をみる
2016年6月18日土曜日
14:30
前方後円墳――学生時分の社会の授業で聞いた単語のなかでも妙に耳に残る、インパクトの強い言葉だ。その実物が兵庫県内にも遺されており、見学できるらしい。
神戸市垂水区にある
週末の朝から元町や三宮でのショッピングに出掛けた。狙ったつもりはなかったが、梅雨の谷間で良く晴れてる。
その日の気分で、明姫幹線から国道2号を経て行くルートを走った。その途上、何気なく見たカーナビの地図に載った『古墳』の文字が目に留まった。そういやここらへんに、兵庫県で一番大きな古墳があるんだっけ。運転を続けながら、試しに嫁に尋ねてみる。買い物が終わったら帰りに古墳に寄ってみないか。嫁は快く行こうと答えてくれた。
最近僕が古代史に惹かれてることと、先日遊んだ公園で、小さいとはいえ二人で円墳をまじまじと見たことで、気持ちが向いたんだと思う。
そんなワケで、義父への誕生日プレゼントなどを無事に選べた帰り道、五色塚古墳に行くことになった。
特に下調べなんかしてなかったので、助手席の嫁に周辺のコインパーキングを探してもらい、とりあえずそこを目指す。山陽垂水駅の西側の道路から線路をくぐり、住宅街の狭い道を進んだら、目的のパーキングに車を停めることができた。
それから徒歩で古墳のほうへ南下していくと、五色塚古墳専用駐車場が見つかった。なんだ、駐車場あるんじゃないか。そこで、嫁をその場で待たせて僕だけ走って戻り、車をこちらまで持っていった。百円損したような気がするけど、駐車場があったことのほうを喜ぼう。
入口を指し示す看板に従い“後円”に沿って歩いていく。……でっかいなぁ。芝生が綺麗で良く手入れされてるのがわかる。
西側に別の墳丘があり、小壺古墳との案内があった。青空の下、芝の緑が気持ち良い。
前方後円のくびれ部付近にある入口にはゲートが設けられており、掲げられた『見学の御案内』によると、管理事務所で入園手続きせよとのこと。入園料は無料だけど、受付だけする必要があるのね。事務所に入ると係員の方が挨拶してくれた。台帳に住んでる市区町村名と人数、駐車場利用台数を記入したらOK。パンフレットと垂水区の広報誌を貰っておいた。
五色塚古墳は国指定史跡で、発掘調査のあと復元工事が行われたそうだ。斜面に葺かれた石、頂上に並べられた円筒埴輪は、4世紀当時の姿を想起するには充分な状態ということ。遥か昔にこれほど巨大で立派な墓が築かれたんだよな。
日本書紀にもこの古墳のこととみられる記事があるそうで、古事記だけでなく、日本書紀の勉強ももう少し頑張ってみようという気にさせてくれた。
葬られた人物については特定されてないものの、瀬戸内海に面した素晴らしい立地、その大きさから相当有力な豪族であったのはまず間違いないだろう。歴史的観点からすればそれほど価値は高くないかも知れないが、課外授業はこういうところでしたら良いんじゃないの。教科書で写真眺めてるより、ここなら古墳というものを体感できる。
それにしても有り難かったのは、階段にしろ頂上のスペースにしろ、しっかり整備されてること。街歩きの服装で行ったから、いつぞやのように雑草生え放題の場所だったら断念するとこだった。
あと意外だったのが、他にもカップルの姿が複数見えたこと。所謂古墳女子とのデートだろうか。マリンピア神戸が目と鼻の先だから、そのついでって線も考えられるな。
“前方”の先から瀬戸内の海を望む。明石海峡大橋やその向こうの淡路島まで見渡せた。眼下には山陽電車のレールがあり、走行する電車も見えた。ここは展望スポットでもあるんだな。
東側のくびれ部には島状土壇が確認できた。祭祀を執り行う重要な場所だったと考えられてるそうだ。
入口にあった案内には、反対側にもマウンドがあったように描かれてたけど、その位置には事務所が建ってる。復元しなかったのかできなかったのか、わかんないな。
入口のある方向から全体を撮影しようとすると、どうしても奥のマンションが入ってしまう。そこで反対側に回り込んでみた。すると、被さる物は橋だけで気にならない。
明石海峡大橋との、巨大建造物の共演はなんともエキサイティング。マンションが視界に入ると邪魔に感じるのに、この違いはなんだ。俗っぽいか否かかな。あくまで僕個人の捉え方だけど。
自分で思ってた以上に僕は古墳見学を楽しんだ。気持ちを言語化するって難しいけど、たぶん、単純に大きなものを見たことと、見晴らしの良さ、かつて習った事柄を復元された物を通して体で感じることができたこと、思わぬ拾い物をしたという感覚、そういう色んなことが混ざり合って嬉しかったんだ。
1時間足らずの滞在。嫁も景色などを楽しんだようだった。しかしこんな短時間で日焼けするとは、油断した。最近は紫外線強いのかな~。