長屋王家木簡と万燈籠
2020年11月14日土曜日
23:30
大阪まで出たら奈良すぐそこじゃないかってことで、平城宮跡資料館まで『地下の正倉院展』を観に行った。テーマが『長屋王家木簡』ということで、こちらも見過ごせない。
阿倍野ICから阪神高速に乗って、西船場JCTで第二阪奈道方面へ。その先は慣れたもの。
しかし、平城宮跡資料館の駐車場がまさかの満車。丁度出る車があったから助かったけど、面食らったな。何かあるの!?ってなった。
入館にあたり、手指の消毒と検温。これにもだいぶ慣れてきた。常設展示を通り抜けて、企画展示に直行。展示室内はそんなに混んでいないから、駐車場を埋める車に乗っていた人たちは、いったいどこへ消えたんだ。
秋期特別展『地下の正倉院展 -長屋王家木簡-』は、長屋王家木簡1669点が国の重要文化財に指定されることを記念し、企画されたとのこと。この木簡群は当時を読み解く上で貴重な史料で、むしろ今まで重文になっていなかったことに驚いた。
長屋王は奈良時代の皇族で、左大臣にまで昇り政権の中枢を担った人物。妻が阿閇ちゃんの娘・吉備ちゃんということもあり、僕にとっても強い興味のある方。YouTubeの『なぶんけんチャンネル』で見所紹介もされていて、とても楽しみにしていた展示だ。
木簡は、文化財保護の観点から、2週間までしか展示されないため、本展は3期に分かれており、この日はもう3期目を迎えていた。有名な木簡は1・2期に出ていたけど、3期も凄いものが。
最初に目を引いたのが、長屋王の命令を伝える手紙の木簡。大きな文字で1行の物を良く見るから、びっしりと文字の書かれたこの品は、それだけでも面白い。
書かれている内容から読み取れること以外にも、長さや太さ、上下の削り方、穴を開ける位置、墨の濃淡といった、活字ではない実物の木簡だからこそ味わえる要素を、間近で堪能させてもらった。やっぱり長屋王家木簡は特別だよ。
続いて、奈良市役所の東寺林連絡所近くのコインパーキングまで移動。ちょっと疲れたので、休憩しようと猿沢池のほとりのスタバに向かうも、大混雑のもよう。ならばと、以前寄りそびれていた、興福寺東金堂の日光・月光菩薩を拝んでから、奈良公園バスターミナルのほうに行ったら、ここも長蛇の列。座席の確保を嫁にお願いし、店の外まで続く行列の最後尾に付いた。ちょっと時間がかかったけど、屋外のイスで他の人と離れた位置でゆっくりできたから、良しとしよう。嫁を休ませることもできたし。
18時が迫ってきたところで、春日大社へと向かった。御本殿夜間特別参拝と
表参道を目指して南下し、一之鳥居まで行くと、なんと通行止め。案内に従って大宮通まで北上するハメになり、無駄に歩いたことに。ぐるっと北側から回っていって、それから国宝殿方向へ向かい、二之鳥居に出る。こういう道も、知っていたからさくさく歩いていけたけど、案内が少なく、悩みながら進んでいる観光客をたくさん抜いたよ。
祓戸神社を参拝し身を清め、着到殿あたりまで行くと、ここでも大行列が。回廊内に人が密集しないよう、人数制限でも設けているのだろうか。後ろの予定はないし、ここまで来たら並んで待とう。前の人と間隔を取りつつ、少しずつ進む列に付いていく。すると、宮司さんがやってこられて、特に制限はしておらず順番に案内していると、教えてくださった。それを聞いて安心。
ようやく受付で拝観料を納め、灯りのともった灯籠が並ぶ回廊へ。期待した通りの美しい光景。前がつかえていてゆっくりしか進めなかったけど、それも東回廊から中門にかけてだけだった。中門まで辿り着けたら、御本殿を向いて拝礼。
中門さえ過ぎてしまえば、人もまばら。のびのびと観賞できた。
約千基の釣燈籠、ひとつとして同じ物がないそれらに火が灯っている。
藤浪之屋も良いけど、夜の闇に浮かぶ燈籠の仄明るい光は幻想的で、ホント綺麗……こんな暗い中御本殿をお参りするの、なんだか神さまに悪い気もしたね。夜分に失礼しました~って。
藤の花の意匠が好きだなぁ。鹿のシルエットのも可愛かった。
綺麗なものを見せられたし、嫁にも喜んでもらえたかな。
最後に、猿沢池の夜景に寄り道。奈良の夜を歩くってあんまり経験なかったから、こんなのも良いかなって。
色んな形の美と歴史を満喫した一日。息苦しい世の中だけど、晴れやかな気持ちになれたよ。