長屋王の祠と鹿だまり
2019年8月2日金曜日
22:32
長屋王は、奈良時代、左大臣にまで登り詰めながら、藤原氏の反感を買い、無実の罪で自殺に追い込まれた、悲劇の皇族。邸宅跡には現在商業施設が建ち、その片隅の祠にお祀りされている。
“鹿だまり”は、奈良国立博物館前の芝生に、たくさんの鹿が集まる現象の通称。
思い付きで遊びに行った奈良を、夕方からでも満喫してきたよ。
キツい11連勤のあとに休みが取れた金曜日。遊びたい気持ちがむくむく湧いてくる。前日まで、そんな気持ちさえ起こらなかったのに。天気予報に猛暑日になると言われると、出かけるのをちょっと躊躇うけど、軽率に奈良行きたい。
行きたい気持ちに素直になってみよう。気になるホテルがあって調べてみたら、当日空室あり。これはもう行けってことだろう。というわけで、なんの計画もなく出発!
昼下がり、阪神高速が混んでいるのか、カーナビの案内は中国道から近畿道を経由して、東大阪から阪神高速に少しだけ入って第二阪奈道という、ちょっと遠回りなルート。知らない路を走るのは楽しいけどね。
最初の目的地は奈良市役所。せっかく平日に行くのなら、改めて平城京復元模型が見たくて。裏手にあるコインパーキングに車を置いて、庁舎内に入った。何度見ても凄い。
近くには長屋王邸跡もある。今はミ・ナーラが建っている。
その建物の西側に回ると、搬入口。長屋王正殿跡の碑を見つけた。こんな場所、誰が訪れるんだよ……と言いたくなる。
そこからさらに西に進むと、長屋王の祠がひっそりと佇んでいた。ここ、知らなかったらまず辿り着けないよ。是非ともお参りしたかったので、僕は嬉しい。二礼二拍手一礼。
少し茶色くなってきているけど、榊が供えてあった。寂しい所だけど、定期的に誰かがお世話しているんだね。そう考えると、救われた思いがした。
念願叶って気分が良くなったので、チャンスセンターでサマージャンボを買ってから、ホテル近くのコインパーキングへ。
今回は定宿ではなく、セトレならまち。神戸のほうを利用して好印象だったから、奈良にも新しくできたのを知り、泊まってみたくなったのだ。
座ってチェックインできたのは良いけど、駐車場についてきちんと案内してほしかったな。結局提携していない所に停めたままになった。
部屋に荷物を置いたら、すぐに外出。猿沢池の北側を歩いていると、名勝奈良公園の時計台近くに小鹿ちゃんがいた。見ていたら、「ぴぃ~」って鳴いて、播磨国風土記に書いていたことは本当だったんだ!って感動した。メッチャ可愛い。鹿の鳴き声、初めて聞いたんだもん。
向かったのは『ことのまあかり』さん。奈良で、寄れる時には寄りたいお店。削氷が大人気で特に夏場は混雑するそうだけど、17時を回ったとあってか、すんなり席に通された。
もちろん削氷を注文する。いちびこと迷った挙句、長屋王(はちみつ練乳)を選択。さっきご挨拶もしてきたしね。外が暑かったから、なおのこと冷たくて美味しい。
それと、漫画『あをによし、それもよし』とコラボした『蘇れもよし』も。古代チーズの
気づけば座席がかなり埋まっていた。たまたまお客さんが引いたタイミングに来れたのかな、幸運だった。
店主の生駒さんが『ならら』という雑誌に連載を始めたそうなので、それも買って出ることにした。
すると、当の生駒さんと偶然ばったり。いやはや犬も歩けば棒に当たるというか、噂をすれば影というか。お会いできて嬉しかったぁ。
次は、SNSで話題のスポット。夕映えの猿沢池を眺めつつ、奈良国立博物館まで歩いた。鹿がたくさん集まってる所があるんだよ、って嫁に説明しても、いやいや言っても知れてるでしょ?と、まるで前フリみたいな反応。で、実際に近づいていって、徐々にその数がハッキリ見えてくると、ええ~!?って。驚いてもらえると、連れていった甲斐があるよ。
それがこの“鹿だまり”!博物館前の芝生に密集して座り込む、鹿、鹿、鹿。ざっと数えても4、5百頭はいる。ここに着くまで、普段ならあちこちにいるはずの鹿たちの姿が、公園から消えていたのも納得の数。
換気口から吹き出る冷気で涼んでいるのではないか、と言われている。だけど、到底その恩恵にあずかれないような、離れた場所にもいっぱい。強いていうなら、砂地を避けて、芝生の上を選んでいるというくらい。
とにかく凄い数。前足を前に投げ出して座っているのも複数いて、こんな風に寛いだ鹿を見るのも初めてだ。
観光客たちもしきりにシャッターを切っていた。
面白いものを見て満足したら、ホテルに戻ってディナー。大和野菜に大和ポーク、奈良ならではの食材を生かしたコース料理の数々は、どれも美味。
部屋で食休みをしたあと、屋上の星宙テラスに行ってみた。意外と電灯の光が明るく、星は夏の大三角だけが見える。
フリードリンクとして小さな瓶ビールが置いてあった。夏の夜空を眺めながらビール……最高。
そのうちに夜目が利いてきたから、興福寺の五重塔が浮かび上がってエモい。夕方恐ろしく蒸し暑かったのに、この時間は涼しくて心地よい。
「あをによし
無計画でもこれだけ遊べるもんだね。奈良には行きたい所、見たい物が、まだまだある。行動を起こしたのが遅くても、メチャクチャ楽しかった!好きな所に行って、と言ってくれた嫁に感謝。