吉野歴史資料館と宮滝

2018年6月2日土曜日 13:52

宮滝みやたきは奈良県吉野郡吉野町にある、天武天皇や、とりわけ持統天皇が愛した景勝地。ここでいう滝とは”滝つ瀬(水が激しく流れる瀬)”のことを差す。古代の歴史ロマン溢れる風光明媚な土地へ、行ってきたよ。


秘境のような神社を参拝したあとは一路、吉野町へ。
まず向かったのが吉野歴史資料館。土日祝日は事前申し込みなしで入館できるし、駐車場も小さいけど完備されている。


敷地には万葉歌碑や宮滝遺跡周辺図などがあった。

受付でひとり2百円を払って館内へと入り、大きなエレベーターで2階へ上がる。
展示室には縄文・弥生から飛鳥・奈良時代と、宮滝遺跡の出土品などが並ぶ。正午過ぎということもあってか、中には誰もいない。スタッフすら不在。嫁と二人、ゆったり見学できたからいいけど。


飛鳥時代の宮滝といえば、吉野宮よしののみや。吉野宮は、大海人皇子おおあまのみこ(のちの天武天皇)が壬申じんしんの乱を起こした時の出発点。
決起する大海人と、当時を想う持統天皇を、紙人形と音声で解説してくれるコーナーがあった。子供にも理解できそうな内容で、初学者には有り難い。


吉野宮の1/100スケール復元模型。宮跡の資料館などに行けばよく見かけるものだけど、毎度嬉しくなっちゃう。
吉野宮は斉明さいめい天皇が造営し、天武や持統などが度々行幸していた離宮だ。奈良時代に入ってからは、元正げんしょうや聖武も。

ひと通り予習が済んだところで、実地へ向かおう。


資料館から徒歩5分、持統朝の吉野宮南端とされる地点に到着。その南側は何もない緑地だけど、縄文土器などが出土した場所だ。


道沿いに少し西に進んでから南の狭い路地へ入ると、5月にニュースにもなった『宮滝遺跡第69次発掘調査』の現地。近隣3か所に吉野町教育委員会の案内が貼ってあったし、同じ物を資料館で貰えた。丁寧で、こういうのホント有り難いよ。


埋め戻されていることなど百も承知。それでも、ここに奈良時代の離宮があったんだと、思いを馳せるだけで胸がいっぱいになる。想像力で、正殿を目の前に浮かび上がらせるんだ。それがロマンってものだろうと思ってる。


さっきの道に戻ってさらに西進すると、史跡の記念碑。最近は、こうした石碑見るだけでも気分が上がる。


今度は東南方向にある橋へ。県道39号五條吉野線沿いにも、記念碑が立てられていた。


柴橋から望む吉野川は息を吞む美しさ!ゴツゴツした岩やぶつかる水流の荒々しさと、青い淵の静けさとが相まって、なんとも神秘的な光景じゃないか。


翡翠色と白色のコントラストに惹かれる。この感動する気持ちは、今も昔も変わらないのだろうな……持統天皇たちも、感じたかも知れないんだよね。


橋を渡って西へ行くと、宮滝展望台がある。角度を変えて眺めても、やっぱり綺麗。


県道39号線を北上し伊勢街道に沿ってちょっと東に行けば、もうひとつの石碑を確認できる。吉野離宮顕彰碑だ。

何もない空き地を見せられて喜ぶのは歴史ファンだけだろうけど、宮滝の景色は誰の目にも美しいはず。嫁もお気に召したみたいだった。僕も大満足。や~……いいねぇ。

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