平城京天平祭を大満喫

2019年5月3日金曜日 15:31

五人旅最大の目的こそが、平城京天平祭の平城京天平行列!朱雀大路を、天平衣装をまとった奈良時代の歴代天皇と貴族たちが練り歩く、大規模な行列だ。奈良時代が好き、平城京が好き、元明天皇が好きな僕が、心待ちにしていたイベントなのだ。

JR奈良駅西口ロータリーから出る、無料シャトルバスの列に並ぶ。トイレに行ったケンボイさんがなかなか戻らず、若干ヒヤヒヤしつつも、無事バスに乗って祭りの会場へ。
一足先に着いていた駒碧さん、夢跋扈さんと朱雀門ひろばで合流。イベント開始まで時間があるので、復原遣唐使船を観覧しながらハマさんを待った。
説明板を読み感心する駒碧さんとケンボイさん。船内を走り回る夢跋扈さん。どちらも楽しそう。程なくしてハマさんとも落ち合った。
天平うまし館にちょこっと寄ったりもした。遣唐使船解説コーナーからペッパー君がいなくなってたな。

天平祭の始まりを告げる『開門の儀』を見るべく、朱雀門前で場所取り。早めに行ったお陰で最前列を確保できた。
それにしても、今から開門をするはずなのに、すでに開いている……どうするんだろう。と思ったら、10時を目前にして、門が閉じられていく。開けるために閉じるのか……少々滑稽ではある。

すべての門が閉ざされると、司会のアナウンスがあり、衛士えじが隊列を組んで僕らの後方――朱雀大路を進んできた。門の脇からその内側へ消えていく。


それから、太鼓を打つ音を合図に、中・右・左の順に朱雀門が開かれていく。


調べたところ、養老律令の第16編・宮衛令くえいりょうに門の開閉についての条があった。衛士たちの具体的な手順までは誰も見てきたわけじゃないから、どの程度再現できているかはわからない。だけど厳かな雰囲気。
いよいよ祭りが始まるのだと、気持ちが高揚していくのがわかる。


『祝い袋』なるものが配られるとの情報を得ていた僕たちは、儀式が終わるや所定の場所に向かった。各天皇が前を通られるときと、詔を発し全員が「オー」と掛け声をかけた後に、振るためのものだそうだ。厄を払い福を呼ぶんだって。先着200名っていうから、全力でゲットしにいったの。で、全員入手できた。
気になる中身は、古代米だそうだ。何かお祝いの時に普通のお米と混ぜて炊こうかな~。


さぁ、天平行列の前に、奈良グルメを楽しもう。二条大路に東市西市っていう屋台が出ているのだ。
鮎が食べたい!って言ったらみんな行くことに。『鮎屋』さんで順番に買っていくのだけど、お店の方が気を遣って焼きたてをくれた。嬉しい。猫舌の夢跋扈さんは逆に少し置いたほうを求めて、それにも快く応じてくださっていた。メッチャいい人。
イスのあるテーブルは空きを見つけられなかったけど、スタンディングテーブルを確保できた。
ベースができたところで、飲み物も欲しい。僕は『曽爾高原ビール』さんで、駒碧さんは別の所で、ビールを購入。
太陽の下、焼きたての鮎塩焼きを頬張り、ビールをごくごく喉を鳴らして飲む……最っ高!
さらに『平宗』さんで柿の葉寿司を追加。柿の葉寿司初体験の同行者たちが口々に美味しい美味しい言うのを見て、良かったね~ってなった。美味しいけど、驚きはないものだからさ。でもビールとも意外と合うね~。鯖を選ぶ人が多いなか、ハマさんだけは鮭。さすがクマさん。

さらに他のブースへ買いに行った人もいるけど、そろそろ朱雀大路に行かないと、良い位置から行列を見物できなくなる。今回の旅の最大の目的だから、躊躇っている暇はない。先に行きますと告げ、テーブルを離れた。
当初の狙いでは東側に陣取りたかったけど、人垣ができていて、もはやそちらには行けそうにない。やむなく西側、しかしステージに近い場所の2列目を取ることができた。少し出遅れた割には良いポジション。


そして、待ちに待った平城京天平行列!
兵衛隊、雅楽隊、男性百官、幡と、次々にステージ前に集ってくる。アナウンスによると、その後方からは輿こしに乗った元明天皇が、途中から下りて歩いているという。み、見えない。


男性百官が中を向いて頭を垂れると、中央から元明天皇が!!!あああ……感無量……。
元明天皇は第43代天皇。和同開珎鋳造や平城京遷都、古事記・風土記の編纂と、数多くの事績を残した女帝。僕の最推し。中継ぎなんていわせないんだから!


奉翳女孺はとりのにょじゅの衣装が涼やか。
前にいた二人組の女の子が、元明ちゃんカワイイ元明ちゃんカワイイって言っていて、だよね、だよね!と心の中で強く同感しつつ、平然を装う。
一方で元明天皇が女性であることに驚く声が上がり、やっぱ認知度低いよな……と。会場アナウンスで数々の事績についても紹介していたけど、どれほどの観客がちゃんと聞いたのやら。そもそもなぜ元明天皇が主役のイベントなのかすら、理解してもらえたんだろうか。


続いての元正天皇は、第44代で元明天皇の娘。養老律令の制定、日本書紀の完成と、こちらも多大な事績あり。また、日本書紀に続く史書である続日本紀に、美人で聡明と記されている。
だから母も美しかったんだろうなと、勝手に思っている。


聖武天皇は第45代で文武天皇の息子。


衣装がここからぐっと煌びやかに変わったね!装束の変遷も天平行列の見どころ。パンフレットによれば、時代考証がなされているもよう。


光明皇后は聖武天皇の皇后で、藤原不比等と県犬養橘三千代の間に生まれた娘。


孝謙天皇は第46代で聖武天皇の娘。初の女性皇太子となった。
衣装も役の女性もメッチャ可愛い!なのに、なんでここだけピント甘いかな自分!これも勝手な妄想で、孝謙天皇ご本人に対しても可愛いイメージ持ってる。


淳仁天皇は第47代で、天武天皇の皇子である舎人親王の第7皇子。


称徳天皇は第48代で、孝謙天皇の重祚ちょうそ
孝謙と称徳で別の人が演じられているのがいかにもお祭りっぽいけど、華やかでむしろ良い!とっても綺麗な行列だから、淳仁と称徳の間のあれやこれやは忘れて観ようね!


光仁天皇は第49代、天智天皇の皇子である施基皇子の第6皇子。壬申の乱以降続いてきた天武系による皇位継承が、天智系に返ることに。
行列はこの後、女官たちに続き遣唐使節団が来て終了。


平城京天平行列のクライマックスは平城遷都之詔へいじょうせんとのみことのり。女官がさしばをかざして貴人のお顔を隠す。


といってもそこはお祭り、ちゃんとお姿を現してくださる元明天皇。詔書を受け取った少納言が、詔(一部抜粋)を読み上げ、会場全員(には程遠かったけど)で「宜しく都邑を建つべし!」と唱和。『祝い袋』を振り鳴らす。ただ、周りには他に持っている人はいなくて、僕のシャカシャカ振る音だけが響いた。何それ?という視線が刺さる。
この時、玄武幡が目の前に垂れていて、無風だと壇上の元明天皇が見えない状況だったんだよね。それが、風が吹き続けてくれたお陰で、見ることができたの!風を吹かせられる神さまはシナツヒコさまだけじゃないけど、どなたかが僕のために吹かせてくれたのかもって思っちゃう。

儀式を終えると再び行列が、今度は南に向けて練り歩きだした。よし、元明天皇を追っかけよう。礼服らいふくとか冠とか間近で見たいし。
先回りしながら隊列に付いていくと、平城宮いざない館前が終点のようだ。行列が解散したあとも、そこで天平びとたちがわちゃわちゃしていた。あ、もしかしてこれ、記念撮影のチャンスあるかも知れない。近寄るだけ近寄ってみよう。
すると、他の一般客の求めに応じているお三方がいらっしゃるじゃないか。ここは行かねば後悔すると思い、衣装を着た男性にお願いしてみたら、苦笑いしつつも撮っていただけた。ありがとうございます!


元明天皇と命婦のお二人は、ミス奈良改め初代『NARA CITY コンシェルジュ』の方々。嬉しさと謝意を手短に伝え、すぐにその場を離れた。

うほぉ……単独行動でメッチャ堪能してしまった。そろそろみんなと合流しよう。
と歩き出したところ、おばさま二人に呼び止められた。祝い袋の中には何が入っているのか?と。お米らしいと教えると、満足して去っていった。レア物だし気になるわね~。
で、みんなを探そうとしたら、駒碧さんたちも記念撮影列に行くとのこと。ひとまずケンボイさんとは会えた。
しばらくして全員が集まった。ハルさんの位置からじゃ輿から降りるところは見えなかったんじゃないかとか、詔は唱和したか訊くと当然と返ってきたりとか、みんなと一緒にいたほうが楽しかったのかなとも思ったけど、いやいや儀式を間近で見られたから良かったんだと思い直した。
聖武天皇役の方が結構お歳を召していたから、駒碧さんが「歴史が変わる~」って言った(こんなこと言えるのは、勉強しているからこそ)の面白かった。聖武天皇49歳で譲位しているからね。でもそれを言ったら元明天皇だって、即位時点で47歳なので、あんな若いはずもなく。

次は天平衣装体験をしようと決まった。並んでいる人がちょっといて、意外と時間がかかるようだ。
二手に分かれるアイデアが出されたので、一方は並んで待ち、もう片方はリクエストを聞いてブースで食べ物を調達することに。列にはケンボイさんと僕が残り、買い出し組に『にゅうめん亭』の三輪素麺食べたいと伝えた。
ケンボイさんの兄弟も歴史好きだとか雑談しながら待っていると、買い出し組が戻る前に番が回ってきそうになってしまい、一旦最後尾に戻るなどして対応。で、ソフトクリームを頼んだのに列を離れるケンボイさん。いいのか。
そこへ食べ物を携えた三人が戻ってくる。暖かいを通り越して暑いくらいの気温に、溶けだすソフト。待ってられないので、夢跋扈さんの胃袋の中に消えた。僕は僕で、暑いなか熱いにゅうめんを急いですする。

男4名・女1名で事前受付しておいたんだけど、駒碧さんも男性衣装が着たいと。ギリギリ数が足りたので、男女に分かれて着替え。前日の鞠装束同様、着方がわからない。こういうのはスタッフさんにお任せしたほうが、綺麗に着られるに決まっている。四苦八苦しながら自分で着付けている人もいた。
着替え終わったら、互いを見比べてはやいのやいのと感想を言い合う。グループ旅行の醍醐味。

天平衣装で平城京のいちに繰り出そう。当時の市を再現しているエリアがあるのだ。
するとそこには、自前の唐衣装を着た女性がいらっしゃって、ハマさんと夢跋扈さんが食いついていた。
僕らのところには市にいたおじさんがやってきて、手に持っているしゃくの、白いほうと木のほうどちらが位が高いか?白いほうは象牙だとか、持つ向きが上下逆だと言ったあとに、時代的にそれで合っていたわとか、色んな知識を披露してくれた。謎過ぎて面白い。


盤双六ばんすごろくで遊べる所もあった。盤双六はバックギャモンの亜種。ガチで競ってみたかったけど、可愛い先客がいたので断念した。子供相手だから簡易ルールで遊んでいただろうけど、実はあの人、メチャクチャ強かったりして。


その傍らに、無造作に置かれた和同開珎がそれっぽい。こーゆー演出好きだわぁ。

せっかく装束を身にまとったんだから、朱雀門を背景に写真撮りたいよね!というわけで、人の少ない門の北側に回った。
駒碧さんが自転車で通りかかったスタッフさんを呼び止めて、撮っていただいた。近くからと引きでも撮ってくださったんだけど、自分の自転車が写り込んでしまったことを気にされて、そんなお気になさらずとも結構で、感謝感謝ですよと。ほんのひとときでも、人との出会いは良いものだね。


はしゃぐ同行者たち。
そんなこんなで、あっという間に貸出期限が迫ってきた。30分は短すぎたわ。ブースに戻って着替える。

天平祭とは直接関係ないものの、平城宮跡資料館で特別企画展を開催中だとお誘いをかけてみたら、みんな乗ってくれた。では先に、第一次大極殿に展示されている原寸大の高御座たかみくらを見に行こう。


とその前に、今なら第一次大極殿院の南門復元整備工事のようすを見られるので、そちらに寄る。完成が楽しみだ。


足場が高いので、振り返ると宮跡を上から眺めることができた。いつぞや係留された気球に乗るイベントあったけど、これで十分じゃないか。
それにしても暑い。袖をまくって過ごしていたら、かなり日焼けしてきた。どこかでお茶したいって要望も上がった。


近場に喫茶店が無いので、それはさておき大極殿に向かう。
復原された大極殿を初めて訪れる面々が大喜び。何度も来ている僕も嬉しくなる。
復習と、予習にもなるため、改めて高御座を確認しておいた。


そのあと、頑張って西の端まで歩き、平城宮跡資料館へ。
常設展が物凄く見応えがあるので、みんなは順番に回っていた。僕は以前に十分勉強したから、一足先に奥の特別企画展『たかみくら-奈良朝の玉座-』を見学することにした。
そういえば、高御座自体について学んだことはなかったな。「奈良時代の高御座の模型を展示して新天皇のご即位をお祝いする」との趣旨に深く頷いた。10月22日の即位礼正殿の儀で、天皇陛下が着座するのも高御座。良い機会を得られたよ。

展示室を出たところで、隣に休憩所を見つけた。自販機も置いてある。丁度良い、ここで休みながら、みんなを待とう。
見学を終えた面々が一人ひとり集まってきた。楽しいには違いなくとも、さすがに少し疲れているようだ。ホントに好都合な休憩所だ。残りの時間を何に使うかを話し合うこともできた。
祭りはたっぷり満喫できたし、平城宮跡を離れることになる。

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