飛鳥資料館で飛鳥観光を予習

2017年12月2日土曜日 22:00
奈良文化財研究所飛鳥資料館は、飛鳥地域の歴史と文化を伝える展示施設。飛鳥宮復元模型もここにある。
推古天皇の豊浦宮とゆらのみやから始まり、天武天皇の飛鳥浄御原宮あすかのきよみはらのみやに至るまでの約百年間、飛鳥はこの国の中心地、すなわち飛鳥時代があった。古代の歴史を語るうえで避けては通れないエリア。訪れる前に予習をしよう。


桧原神社を詣でて時刻は14時過ぎ。まだ時間がある。それならばと予定を繰り上げ、飛鳥資料館に行くことに。ところがカーナビを盲信して、前を通過してしまった。道をぐるっと回って戻るも、小さな駐車場が満車。これは想定外だった。だけど丁度一台出たので、無事に着くことができた。運が良いのか悪いのか。やれやれ。


入口に秋期特別展『高松塚古墳を掘る』開催中とあった。サイトで確認したはずなのに、すっかり忘れてた。会期終了間際で人が多いのかな。


僕たちは初来館だから、まず常設展示から回る。
その一番のお目当てが、1/500スケールの飛鳥宮復元模型。説明パネルには、「発掘調査成果に基づくが、大部分は未発掘地であり大胆な想像を加えて推定復原した。」とある点に留意したい。
想像を含んでいるにせよ、こうして立体的に可視化された古代飛鳥のようすは、実に理解しやすい。天武の宮殿である飛鳥浄御原宮の周囲に、川原寺や現在より巨大な伽藍の飛鳥寺が立ち並び、その合間を飛鳥川が縫うように流れる。


床や壁面には現代の航空写真が貼られている。この工夫は面白い。


視点を変えて、甘樫丘あまかしのおか方面から飛鳥寺や飛鳥宮を見下ろしてみる。寺院は小さく、宮は史跡だけとなったが、甘樫丘は現存する。そこからの景色はきっとこんな風だったんだろう。これを脳裏に焼き付けておいて、実物の上に投影してみようじゃないか。


その他には、石人像や古墳などからの出土品、山田寺にスポットを当てた展示があった。特に山田寺に関しては、東回廊の残された部材からそれを再現するなど、企画者の執念にも似た情熱を感じた。いつかどこかの博物館で見た仏頭も陳列されていた。
それにしても、停まってた車の数の割には、中はガラガラだな。じっくり観賞できて結構だけどね。

続いて地階に降りて特別展へ。
高松塚古墳といえば、“飛鳥美人”でその名が通る石室の壁画が有名。副題に『解明された築造方法』と銘打っており、内容は少々マニアック。


地震痕跡の型取り。


墳丘の土層をはぎ取った標本。
こうした地質学的な研究資料が大きな面積を占めていた。貴重なことは重々解るけど、そこまで興味持てないなぁ。

ただ、築造方法に関しては、当時の技術水準を推し量るうえで参考になった。最近、歴史を趣味で勉強してて、出来事から人物だけでなく、生活レベルなども気になるようになってきてて。パネル解説が有り難い。


実寸大の石室模型は、靴を脱げば内部に入ることができた。寛いでみせて、嫁の笑いを誘いにいくアホな僕。


でも体験として感興を催すだけでなく、気づきもあった。被葬者は死んでから納められるので、被葬者の気持ちにはなり得ないが、こんな石室を用意した側の気持ちには、近づけた思いがした。彩り豊かな壁画で囲み、安らかに眠ってほしい……そんな、葬られた人を大切にしている姿勢がみえた。その人が誰なのか、蘇りを期待したのか、それは判らない。ただ、妙に心地よい空間のように感じたんだよね。


飛鳥資料館には展示室だけでなく、無料で入れる庭園もある。そこには飛鳥の石像レプリカや、移築復元された古墳も。
夕陽を浴びた紅葉と須弥山石しゅみせんせきのコラボが綺麗だったな~。

飛鳥観光のメインエリアから離れ、明日香村の北の隅に位置する資料館だけど、その前後は問わないまでも、立ち寄ったほうが得られるものが増えると思うね。


歩き回って展示で学んで、体も頭もクタクタ。ホテルにチェックインしたあと、『奈良めし 板焚屋』で飲んだあをによしビールがメッチャ美味しかったぁ。
翌日はいよいよ飛鳥巡りだ。

サイト内検索