ホイッスラー回顧展
2014年10月10日金曜日
23:58
昼食を挟んで、続いては京都国立近代美術館へ。京都市美術館の向かいで、平安神宮にも程近い。
こちらで開催されてるホイッスラー展が目当てだ。ジェームズ・マクニール・ホイッスラーは19世紀後半を代表する画家・版画家……らしい。らしいというのは、そもそもこの画家のことを知らなくて、ただテレビで展覧会の紹介してたときに見た絵を、嫁が気に入って観に行きたいと言ったから。僕も絵を観るのは嫌いじゃないので、丁度鳥獣戯画展も京都でやってるし、ハシゴして巡るか~と。
結論から言うと、行って良かった。充実してた。
昔の西洋画って、宗教的な寓話とか教訓めいた絵ばかりで好きになれないんだけど、この人は絵画における純粋な視覚的効果を追求してて、純粋に美しいか否かで観られる作品ばかり。そこに共感できたし、何より綺麗だった。
黒い服を着た人の背景をより濃い黒で塗ったりと、敢えて近似色を隣り合わせに描くというあたり、難しいことやってるな~と思った。人物画別、風景画別に年代順に展示されてたから、写実的な描き方に始まり、より色の調和に軸を移した所謂印象派的な作品、ジャポニズムといって和柄の花瓶や団扇や扇子、和服などの日本の小物を取り入れたり、浮世絵の構図を参考にした作品群と、その変遷がよく解ったけど、色彩の妙を追求していくさまは一貫してるように感じられた。
印象派といえば、クロード・モネとも親交があったそうだ。知ってる名前が出てくると、少し親しみが湧いてくる。
エッチング版画は精緻でメチャメチャ細かい。思い切り顔を近づけて観ると、より凄さが判る。10センチ角程度の小さな作品も多かった。
全部で130点を超える展示数に、もうおなかいっぱい。回ってる間は集中してるから気にならないんだけど、終わる頃には結構くたくたに疲れてた。そりゃ当たり前だよね、目と頭を使いながら1,2時間立ちっ放しなんだから。
たくさんあったなかで僕が一番好きなのは、『アナベル・リー』。水色のシースルーを纏った女性の油絵で、透けた布の感じと透明感のある肌がとても美しかった。図録買おうかと考えたくらいだけど、サンプルを開いてみたら、写真だとあの微妙な色合いが全部潰れててガッカリ。あれは油彩だからこそ出せる色なんだなぁ。「だから本物の絵を観に行く価値がある」とは嫁の談。ごもっとも。
ホイッスラーって世間一般での知名度はそんなにないはず。ウチの実家で訊いても嫁の実家で訊いても、誰も知らなかった。それでも、平日の昼にしては結構な人たちが訪れてた。美術ファンってそれなりにいるんだな~。
鳥獣人物戯画ともなれば、僕の母も弟も知ってたけど、嫁の実家で話したときは、ピンときてない顔されて、アレ?ってなった。自分では常識だと思ってることが、必ずしも通用するワケではないってことだろうケド。
話が逸れた。
京都市美術館でやってた展示も嫁は気になるそうだけど、やめておいた。
一日に巡る美術は2箇所が限界。これ超えるとしんどい。そんなことも学んだ気がする。