梅雨に濡れた薬師寺の蓮
2020年7月11日土曜日
11:49
雨上がりの薬師寺で濡れた蓮の花たちもまた、趣があって素敵だったよ。
ホテルを後にした僕らは、降雨ということで室内で楽しめる場所に行くことにした。
それが平城宮跡資料館のミニ展示『古代のいのり -疫病退散!』。ただ、駐車場に着く頃には雨は上がったんだけどね。
マスクを着けて、入館するときに検温されて、消毒液で手指消毒をする。どこへ行くにもこれが当たり前なんだなぁ。
展示内容としても、天然痘が流行した天平時代、感染予防として、食器を使い捨てにしたかも知れないこと、新しい生活様式として、食器を小型のものにして大皿での盛り付けを避けたかも知れないことなど、現代にも通じることが多かった。歴史を、ただの文字の羅列ではなく、実感を伴って受け止められる日が来るなんてね……。
せっかく雨がやんだことだし、薬師寺に行ってみよう。オンライン講座を受けて印象がぐっと変わった、お薬師さんを拝みたかったんだよね。
道を間違えたのでコインパーキングに駐車し、南門をくぐる。受付では、雨の中のお参りありがとうございますと言われてしまった。こちらこそ、こんな時でも拝観させていただいてありがとうございます、だよ。
境内の人影はまばら。土曜日であっても観光客が減っている上、天候も良くないから余計にだろうな。
何はなくとも金堂の薬師如来を。三十二相といって、『観仏三昧海経』などが説く仏のもつ32の優れた身体的特徴の1つに、
拝観者が少ないとはいえ、熱心に祈る人が多いように感じたのは、気のせいじゃないと思う。
それから、ちょっと引いて全体を見渡したり、裏に回って台座や床を見たりして、金堂全体に思いを巡らす。薬師寺金堂は、瑠璃光浄土をこの世に発現させたようなものと、考えて良いみたいなんだよね。法隆寺金堂が仏像と壁画によって極楽浄土を表現したように、あるいは空海が仏の世界をバーチャル体験できるように立体曼荼羅を作り上げたように、ここもまた、特別な空間だったんだ。
大講堂の弥勒三尊像に手を合わせたあとは、仏足石を拝する。今までまともに見てなかったのに、知識を持つと変わるもんだ。信仰の奥深さに思いをいたしながら、その文様とじっくり向き合った。
大講堂の裏手、鐘楼の前にはたくさんの蓮の花。そっか、そういやこの時季は咲かせているんだった。
しかも、雨に濡れた表情がなおのこと良くて、うっとり。
雨水の溜まった葉にさえも風情がある。
蓮越しの東塔や金堂も素晴らしい!この風景は薬師寺ならでは。狙ってなかったから、思いがけなく美しい光景に出会えて嬉しいね~。嫁もあれこれ角度を変えては、楽しそうにカメラを構えていた。
最後に、東院堂で聖観世音菩薩像にご挨拶。自分たち以外誰もいないお堂で、静かに合掌した。いつお参りしてもここは良いね。
そうそう、薬師寺参詣したら、『寿吉屋』さんで薬師味噌買って帰るのが恒例になりつつあるんだけど、ごぼうの奈良漬けもメッチャ美味しかったぁ。