ゆる系古事記作家さんたちの講演会

2019年3月2日土曜日 21:59

奈良県桜井市で行われた『記紀を語る講演会 古代を感じるトーク&ライブ 第8回』を聴いてきた。トークは、松尾たいこ先生・ふわこういちろう先生・小野寺優先生による、『新しい古事記の楽しみ方』をテーマとしたクロストーク。ライブは声優・小山茉美さんの『日本神話 イザナミ語り』。何もかもが楽しみで、大満喫してきたよ!!

普段よりゆっくりホテルで過ごしてから、桜井市方面へ出発。目的地周辺でランチをと考えて見つけたお店に、まずは向かう。『Buono』は食事もできるパン屋さんで、天然酵母のパンが良いらしい。駐車場があるものの、人気店とのことで停められるか心配だったけど、早めに行ったのが幸いしたのか、杞憂に終わった。
パン食べ放題がついたピザとパスタのランチを、それぞれ注文。しかし失敗だった。僕らが悪いのだけど、とにかく量が多い。申し訳なく思いつつ半分ほど残した。

気を取り直して桜井市立図書館へ。こちらも駐車場が懸念だったけど、まだまだ空きがあった。講演会があるけど、駅から近いし、公共交通機関利用の人が多いのかな。
館内に入ると、すぐに受付の場所がわかった。参加券を提示して奥の通路に進むと、物販コーナーが。こちらはあとで見るとして、先に座席を確保しよう。
ランチに予定より時間を取られたことで出遅れたため、最前列とはいかなかったものの、前寄りの中央に座ることができた。
それにしても驚いたのが研修室自体のつくり。ドーム状になっていて、全面に木材を使用した温かみのある空間。てっきり殺風景な会議室みたいな所だと思っていた。こりゃあ講演会会場にうってつけじゃないか。
気持ちが落ち着かないので、あとにするつもりだった買い物を済ませることにする。嫁には座っていてもらい、僕だけで物販コーナーまで戻った。そして迷いなく、本日の出演者お三方の著書を手に取る。で会計を……と思ったら、『わくわく日本書紀すごろく』も置いてるじゃないか。欲しかったんだよコレ。というわけでまとめて購入。大量の本を袋に詰めるのに、係員さん難儀してた。で、その袋には『啓林堂書店』と書いてあるし。道理で、奈良好きの心をくすぐるラインアップを並べているわけだ。
席に戻り講演開始まで待っていると、ステージ向かって右手のスクリーンに、日本書紀で奈良を楽しむPR映像『奈良まほろまん』が流された。これまた古代好きに刺さる内容で、神武東征やら三輪山伝説といったエピソードを、ゆかりの地とともに紹介していく。ただ、伝承地を満喫しまくる親子というのは、やっぱシュールだな。あんな風に楽しみたいけど。


さぁ、いよいよ司会者さんが現れ、出演者の方々を順にお迎えする。事前に聞いていたとおり、ふわさん・たいこさん・優さんが、天平衣装を身にまとい登場。皆さんお似合いで、真ん中に男性、左右に女性と壇上に並ばれたので、スゴク絵になっていた。こういう趣向は良いね!ますます気分が盛り上がる。
最初に、ふわさん・たいこさん・優さんを“ゆる系古事記作家”と紹介されていたのが印象的。言い得て妙だし、主催側の理解あってこその講演会だなって、好感が持てた。
それぞれの自己紹介などに続き、お三方がデザインされたアマテラス・好きな神さま(ふわさんがサルタビコ、たいこさんがアメノウズメ、優さんがアメノコヤネ)をスクリーンに映して比較。ご本人による解説が付いて、それぞれの古事記の解釈の違いまで垣間見えて、面白かったね~。ふわさんのアマテラス、額の飾りや服の柄のモチーフが、まさか岡本太郎氏の太陽の塔とは。
優さんファンとして意表を突かれたのが、好きな神さまで天児屋命アメノコヤネノミコトを挙げたこと。コヤネさんといえば春日大社の御祭神の1柱。小野寺家は藤原氏の後裔なんだって。

会場を見渡すと、お歳を召した方も多いが、小さな女の子や先生方のファンと思しき若者も結構いて、予想以上にバラエティに富んでいた。で、講演のテーマも初心者向けのはずなんだけど、集まった聴衆を見た先生方は、むしろ自分たちより詳しそうに映ったようで。
それに加え、司会者さんの手腕に難があったなぁ。自らも古事記好きということで、初心者に対する配慮が少なかった。この日のためだけにちょっと勉強した程度なら、知らない人目線で先生方に話を振るなどできたかも。まさしく初心者の嫁には、このあたりが疎外感があってツラかったそうだ。
初対面に近い3人でのトークというのも、難しかったんだと思う。2人で盛り上がったとしても、もう1人への配慮を挟む必要があって、なかなかリズムが出ない。それこそ司会者さんの腕の見せ所なんだけど、全員黙ってしまう一幕があったり、時間を持て余して聴衆に質問を募ろうとしてみたり。もうちょっとなんとかなったかもって思うと、もったいないなって。
あと蛇足。天平衣装は素敵なんだけど、手に持ったしゃくさしはがトーク中手持ち無沙汰になってて、ちょっと笑った。

トークをリードされていたのはふわさん。話題が出ると、それを他のお二人にも振るなどして、回されていた。知識面にしても、土台がしっかりしているというか、体系的に話をしてくださった。
たいこさんは(失礼ながら)ド天然な方だった。裏表がないってことなので良い人なんだろうけど、奈良市主催のこの場で京都は禁句ー!ハラハラしたわ。
そして講演会のハイライトは、優さんが「古事記を日本人の常識にしたい」と理想を語ったところ、ふわさん・たいこさんも同意されたこと!常日頃から彼女の目指す方向に共感し、お手伝いしたいと考えている僕にとって、この展開は胸アツ。会場全体も歓迎ムードだったように思う。

クロストークのあとは、声優の小山茉美さんによる『日本神話 イザナミ語り』。天地開闢から国譲りまで、小山さんご自身が翻訳・脚色された古事記を語り聞かせていただけた。
グラディス艦長などでお馴染みの、色気のあるカッコいいお声だけでなく、アラレちゃん風味のスクナビコナとかニルスっぽい少年とか、なんだこの豪華さは!
イザナギがカグツチを、スサノオがオオゲツヒメを、斬ったことなどへの独自解釈はありつつも、丁寧に原文を読まれていることが伝わってきて、遊びじゃない真剣みを感じた。日本神話にいざないたい・広めたいとの思いは、先の古事記作家さんや僕にも共通する。同じ思いを抱いた方って存外多いのかな。心強い。
ただ、内容的には少々退屈。お声がいくら素敵でも、堅い文体で単調なのはちょっとキツい。最後まで起きて聞いたけど。
小山茉美さんといえば、僕にとっては聖闘士星矢のシャイナさん。生で拝見したのは初めてだったけど、プロフ写真から変わらずお美しかったなぁ。

講演会のあとはサイン会。先に買っておいた著書を手に、列に並んだ。
何は無くとも優さんにご挨拶。楽しませていただいた謝意と、天武推しの彼女のために薬師寺の御守をお渡しした。サインと一緒にイラストを添えてくれるというので、トーク中お気に入りだと挙げてらした、コヤネさんをリクエスト。リクエスト受けたの初めてだって。優さんの初コヤネさん頂いちゃった。長居しては迷惑だろうと、ささっと離れた。
次にたいこさんにも、僕の名前入りでサインしていただいたし、握手まで。講演会の感想を伝えるなど軽くお話しして感じたのは、やっぱり清々しいほどに正直な方だなぁと。
他にもたくさんのファンがいたからか、少々お疲れ気味のふわさんからもサインを頂いた。皆さん絵に関するお仕事をなさってるから、サインだけでなくイラスト付きなの、豪華すぎるし可愛すぎる。
小山さんの『イザナミ語り』も販売されていたんだけど、そっちもサイン会あったのかよ!気づいたときにはすでに遅く、完売。作家さんだけかと勝手に思い込んでたよ……。

終わったしホテルに帰るかぁと車を出したところ、優さんから連絡が。時間が空いたとのことなので、ぐるっと戻って図書館の駐車場にて落ち合った。優さんが関係者の方に教えてもらったという喫茶店で、お茶にしようということで、僕の運転で駅前のコインパーキングまで。ところが、件のお店は臨時休業。ならばと駅周辺を探してみるも、どこもシャッターが下りている。
ショッピングモールの中ならどうとでもなるだろうということになり、優さんの宿泊先に近いイオンへ。週末とはいえ、夕方のフードコートはガラガラだった。ゆったりできて都合が良い。ドーナツかじりながら、嫁も交えて講演会や古事記の話などなど。楽しくて、ついつい長々と話し込んでしまった。
最後に優さんを宿泊先に送り届けてお別れ。見えなくなるまで手を振ってくれてた。
運転中にもたくさん喋れたから、お互いの今回の旅行内容やら、Twitterやメールだけでは語り尽せないことやら、実に充実した時間だった。今でこそ友人だけど、今もファンだからね。嬉しいに決まってるじゃないか!

なんだかんだで聴いているこちらも、とても楽しい楽しいひとときを過ごさせてもらった!優さんの天平衣装姿がまた、美しいやら可愛いやら。ふわさん、たいこさんとお三方それぞれ古事記や神さまの解釈が異なっていながら、皆さん向いている方向が同じっていう面白さ、心強さを感じて、なぜだか僕まで嬉しくなったよ。
今回も嫁に付き合ってもらった(いつもありがとう)わけだけど、感じたことを交換し合えるのって素晴らしいね。相手に話してるうちに、自分の気持ちが整理され言語化できていく。

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