ことのまあかりで飛鳥鍋に舌鼓

2019年3月2日土曜日 08:01

『奈良の雑貨とカフェBAR ことのまあかり』は近鉄奈良駅近くにある、奈良好き・古代好きが集うお店。冬期は鍋料理も提供している。
いつか行きたいと思い続け、ようやく機会を得た。もっと早く行けば良かったよ!何もかもが素敵過ぎた。

唐招提寺からいつものコインパーキングまで行って車を停め、いつものホテルにチェックインしてひと息。予約時間が迫ったら、三条通り商店街を東進。

『ことのまあかり』は小西さくら通り商店街の中、東向商店街へと続く横丁にある。1階に婦人服店『CARNAVAL』の入った建屋の2階だ。ちょっとわかりにくいので、マップを頼りにして到着。
しかしシャッターが閉まっていた。当日の営業時間確認してなかったなと思いつつ佇んでいると、女性がやって来て店開きを始めた。え、もしかして、予約した僕らのためだけに開けてくださってる……?
すぐに上がることが躊躇われたので、数分待ってから階上へ。


お店に入ったら、まずは雑貨を物色。古事記などの日本神話や古代史が好きな人間に、刺さりまくるグッズがズラリ!
『古事記女神暦』卓上カレンダーはこの日発売。なんという巡り合わせか。天岩戸クリアファイルはアマテラスさまが顕れるギミックが面白い。さらに、『大人のためのビジュアル古事記』は上村恭子先生のサイン入り!全部購入してホクホク顔の僕。
買い物が済んだところで予約している旨を店員さんに伝えた。先にそれを言いなさいよと嫁に叱られた。うん、僕が間違ってた。

席に通され料理の準備を待つ間、店内を見渡す。すると気づくのが、そこかしこに長岡良子先生などの古代史マンガが置かれ、壁には奈良時代の架空の新聞が貼られていること。この、空間づくりの徹底ぶりよ……凄い。
あとで店員さんに聞いたところ、『作宝桜新聞さほろうしんぶん』という続日本紀などを参考にしたパロディ新聞で、長屋王さん推しの方が書かれているそうだ。『日本書紀編纂』などが見出しに躍っていて、思わず食い入るように読んでしまった。


などと喜んでいる間に、料理に出来上がった。僕たちが予約したのは飛鳥鍋あすかなべ
飛鳥鍋とは、鶏肉と野菜を煮込んだ牛乳鍋のこと。これが美味しいの!このお店のは味噌が入ったしっかり目のお味で、お酒が進む進む。


置いているお酒がまた面白くて、歴史上の人物名を冠した銘柄や、神話・奈良にゆかりのある名前ばかり。『鎌足桜』に『いるか』、『さらら』、『大伴家持』、『このはなさくや』、『玄武』。飲み比べセットがあったので、嫁と二人で計6種を試すことができた。
メニューには違うのが載っていたのだけど、切らしていて代わりに入ったのが、その内の『家持』。大吟醸はやっぱ旨いわぁ。
中臣鎌足と蘇我入鹿といえば、乙巳の変で誅した側と誅された側。僕は、誰とでも相性が良さそうな鎌足のほうが好き(あくまで日本酒と料理の話)。飛鳥鍋と組み合わせるなら、『さらら』が気に入った。追加で頼んだ焼酎『不比等』のロックは、パンチがあってこれも好み。


箸休めにと注文したおつまみセットは、須恵器すえきと呼ばれる土器に入って供された。中身はと鴨肉と栗で、どこまでも古代食!こんなの気分が高ぶらないはずがない。蘇は古代チーズなんだけど、こんな味なんだね……やっぱりお酒と合う。
締めに食べた飛鳥鍋の雑炊がまた美味しいの。牛乳が前に出てきても、ご飯とマッチするから不思議。雑炊なのにお酒飲めるし(飲んでばっか)。

店員さんも感じの良い方だったなぁ。適度に放っておいてくれるし、一方で振れば雑談にも応じてくださったし。
店主の生駒さんからの「ハルさんによろしく」との言伝も預かってくださっていた。この日はお会いできなかったけど、こういうのって嬉しい。

吉野の出張店舗でグッズ見たときもときめきが止まらなくなったけど、本店は輪をかけて素敵だね。嫁も満足そうに笑っていた。好きなものと美味しいものに囲まれて、幸せな時間。ごちそうさまでした!

楽しくて、すぐにはホテルに戻りたくなくて、余韻を味わいたい。かといってもうお酒は飲めないので、このあと駅前のスタバでお茶した。二人ともずっとニコニコしてたな。

さてオマケ。
2018年10月に落慶した興福寺中金堂ちゅうこんどう。まだ見たことなかったので、誰もいないときに静かに眺めたい。そこで翌朝、嫁をホテルに残し、独り夜明けとともに見に行ってきた。
活動を始めたカラスたちが我が物顔の三条通りを歩き、興福寺へ。日の出まで、ぼんやりしたり辺りを散歩したり。
足音と気配を感じて振り向くと、鹿さんだった、なんてことも。で、目が合ったと思ったら全力で駆けていった。いや、近づいてきたの君のほうじゃないか。
南円堂には、早朝から何人か参拝に訪れていた。日課なんだろうな。


三笠の山から陽が昇り、猿沢池に反射する。ゆっくりと中金堂にも光が当たり、金色の鴟尾しびが輝きだす。そう、こんな光景が見たかったんだ!
スケジュールの都合で中は拝観できないから、また今度ね。

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