2025年8月24日日曜日
12:28

姫路市立水族館は、大型水槽やカラフルな熱帯魚こそないものの、播磨地方の身近な生き物を展示し、模型や鳴き声、匂いなどの工夫を通して、子供から大人まで五感で楽しみながら学べる体験型の水族館。
播磨に長年住んでながら一度も行ったことがなかった。でも、想像以上に充実していてビックリしたよ!
お盆を過ぎても相変わらずの酷暑。とはいえ、たまにはおでかけしたい気分になる。こんな時には近場の屋内施設がぴったりだ。というわけで、姫路市立水族館へ。嫁は小学生以来で、リニューアル後は初めて。僕に至っては完全に初訪問だ。

最寄りの手柄山山頂駐車場(緑の相談所前)に、9時過ぎに到着。ここから姫路市街を一望できるとは聞いていたけど、なるほどホントに見晴らしが良い。なんて景色を楽しんでいたら、「何かお探しですか」と男性に声をかけられた。ボランティアか何かの方だろうか。ここは姫路城と新幹線を一枚に収められる撮影スポットで、鉄道ファンもよく訪れるそうだ。ただ、姫路城付近はフェンスがやや高めで車両の顔がほとんど隠れてしまう。向こうのスリラー塔の屋上ならもう少し俯瞰で撮れるので、マニアはそちらに行くんだとか。僕らはそこまで熱心ではないので、ここで十分満足。

お礼を言って水族館の建物に入り、階段で1階へ。短い時間でじんわり汗をかいたから、中の涼しさが心地よい。券売機は各種キャッシュレス決済に対応している。入館料大人ひとり600円は安い。

入場ゲート付近の天井には魚や亀をかたどった飾りが吊るされていて、賑やかな雰囲気。

入口でチケットにスタンプを押してもらったら、まずは新館へ。「はりまの里地」と題されたエリアでは、ため池や田んぼ、川の下流から上流にかけての淡水生物が、壁一面に展示されている。

一つひとつの水槽は小ぶりながら、環境が丁寧に再現され、アオサギなどの模型なども配されていた。普段見慣れているため池の水面下には、こんな世界が広がっているんだなぁ。それに、小さな魚が群れて泳ぐ姿を眺めているだけでも結構楽しい。
川の水槽は30分ごとに水面が下がり、魚の遡上が観察できる仕組みになっているらしい。残念ながら時間が合わず見られなかったけど、面白い工夫だよね。

2階へのスロープでは、壁のデザインが目を引いた。鳥のシルエットの中に野鳥の写真、タガメの中に水生昆虫、カエルに爬虫類・両生類といった具合に、親しみがわく構成だ。ここだけじゃなく、全体的に手作り感があって温かみを感じる。

「身近な生き物・はりまの水生昆虫」コーナーでは、タガメやヤゴなどが展示されていた。驚いたのは、コガタノゲンゴロウが絶滅の心配をされていること。おいおい、僕が子供の頃には当たり前のようにそこらにいたじゃないか……わずか数十年で姿を消しかけているんだ。こうした現実を突きつけられると、環境変化の恐ろしさが身に染みてわかる。

日本動物園水族館協会では、希少になった淡水魚を繁殖させて種の保存に取り組んでいるそうで、当館が担当している魚も紹介されていた。テーマがテーマだけに、展示されていたのはレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)や準レッドリストに載る種ばかり。小さくとも多彩な姿かたちをした魚たちに感心すると同時に、その多様性が危機に瀕している事実に考えさせられる。
そして、これら「希少な淡水魚」と向かい合わせに在来の生態系を脅かす「外国から来た生き物」が展示されているのに気づく。配置の仕方がエグいよ、ひめすいさん。

奥の「水族館ギャラリー」では、企画展「ここが知りたい!外来生物の本当の問題」が開催されていた。この夏休み限定の展示だけど、ここまでの流れの先にあるだけに、自然と引き込まれる。
大半は文字と写真だけど、興味深く見て回れた。国内外来種なんていうのもあるのね。たとえば、本来北海道に生息していないはずのトノサマガエルを放すと問題になるという。言われてみれば当然のことだけど、改めて学ぶと納得感がある。嫁も同じように感じたようで、二人で深く頷いた。

新館を見終えたら、一旦出口から出て隣のモノレール展示室へ。姫路モノレールは、1966年の姫路大博覧会中央会場へのアクセス手段として開業した交通機関だ。当時の雰囲気を再現したプラットホームには、乗車体験ができる実物車両のほか、広告看板、運転時刻表などが並び、昭和レトロな趣き。「御座候」の広告もあり、馴染みのある姫路の銘菓ながら、当時のデザインはなかなか味わい深いものがあるね。

姫路博中央会場のジオラマもあり、モノレール模型が走行する凝った造りになっている。手柄山平和公園はこの会場跡地に整備されたものなんだよね。

再び1階に下りて水族館に再入場し、連絡通路を歩いて本館へ。これほどアップダウンのある山上の水族館は珍しい。

本館1階には「ウミガメプール」と「ペンギン・淡水プール」が並ぶ。ちょうどにわか雨が降り出し、水面を叩きつけていたけど、フンボルトペンギンたちは何食わぬ顔。こんな光景もそうそう見る機会がないな。観察を続けていると、口を空に向かって開け、「アー!」と鳴いた。その大きな声に思わず少しビックリした。

嫁が特に楽しみにしてたのはヌートリア。僕は野生の姿を何度も見かけたことがあり、写真に撮って嫁に見せたこともある。それでぜひ会いたいと言っていたんだよね。大型のネズミの仲間で、確かに愛くるしい仕草を見せる。ただし特定外来生物に指定され、身近な所では姫路城の石垣を崩落させる恐れもある、いわゆる害獣だ。とはいえヌーちゃん自身には何の罪もない。人間が身勝手な都合で持ち込んだ結果に過ぎないのだ。
11時からはエサやりタイム。夢中で野菜にかじりつく姿がとてもキュートだ。飼育員さんによれば、館に来て2年になるが、年齢は不詳。エサの好みもハッキリしているそうで、どうやら一番好きなのはカボチャのようす。最初の一切れは岩場で食べ、二つ目からは水に浸して食べていたけど、これも本人なりのこだわりなんだろう。次に好むのはサツマイモで、他の野菜には目もくれずに取りに向かう。その姿に嫁と二人で大笑い。見物客が徐々に引いていくなか、僕らは30分近くも見つめ続けた。嫁が満足してくれて嬉しい。
ところで、ヌートリアをわざわざ展示している水族館は珍しい。同じ齧歯類のカピバラに似ているため、通り過ぎる子供たちが一様に間違えていた。カピバラはもっと大きくて、尻尾がほとんどないよ。

最後は「播磨灘大水槽」。食卓に上るような魚がたくさん泳ぎ、
牡蠣の養殖を模した演出になっている。これぞ播磨の海という感じの水槽だ。
こうしてゆっくり見て回ったら、気づけば3時間近く滞在していた。それだけ内容が充実していたということだね。
派手さはないけど見応えたっぷり。遠方から訪れるほどではないかもしれないけど、近場にあれば何度も通いたくなる居心地の良さだ。魚たちにまた会いたくなったら、気軽にふらっと立ち寄ろう。