兵庫陶芸美術館の特別展デミタスカップの愉しみ

2023年8月20日日曜日 15:34

兵庫陶芸美術館は兵庫県丹波篠山市にある美術館。付近は丹波焼の産地として知られる。
ここで特別展「デミタスカップの愉しみ」が開かれていることを偶然知り、面白そうなので行ってみたよ。

前日、偶然博物館で見かけたポスターに惹かれた展覧会だけど、結構前から全国巡回しているんだね。それでも巡り合えたのだから、興味があるなら行かないとね。
せっかくなので、開館時間に合わせて出立。一般道路でも有料道路でも所要時間がほとんど変わらないので、試しにカーナビでエコルートを探索してみた。燃料消費と有料道路料金をトータルで節約するルートとのことで、今回は大正解。結果的に信号の少ない路となり、とても快適なドライブになった。
道すがら地名で気づいたのが、別の用事でこの辺りを訪れたことがあるなぁと。兵庫陶芸美術館は虚空蔵山こくぞうさんの麓に位置する。2015年にJR藍本駅からハイキングで登った山じゃないか。
美術館へ近づいていくと、あちこちに窯元が建っていた。まさに丹波焼の里の中にあるんだな。なお、丹波焼は丹波立杭焼ともいい、越前・瀬戸・常滑・信楽・備前とともに中世から現在まで生産が続く日本六古窯ろっこようの一つに数えられる。

到着はバッチリ9時半前。第一駐車場のエントランス棟に近い位置に停められた。
開館数分前にも関わらずチケットブースは開けてくれていた。イオンカードの提示で割引になったのも、地味に嬉しい。
エントランス棟をエレベーターで3階に上がり、渡り廊下を通って展示棟へ向かっていると、開館アナウンスが聞こえてきた。


「デミタスカップの愉しみ」第1展示室に一番乗り。写真撮影OK。どこから回っても良いのだけど、展示説明の右肩に小さく番号が振られているのに気づいて、なるべく順番通りに見ていくことにした。


デミタス(demitasse)はフランス語で、半分の(demi)コーヒーカップ(tasse)という意味らしい。濃いコーヒーを飲むための小型のカップ。


東洋から西洋にもたらされた喫茶文化は、テーブルウェアの確立に貢献し、コーヒー文化の浸透に伴って、デミタスの多彩なデザインが誕生したという。


文化発祥の地である中国趣味の「シノワズリ」や、日本趣味の「ジャポニスム」に加え、日本の窯元が輸出したカップと、東洋的なモチーフが多いのが興味深い。


イマリ(伊万里)写しだって。日本の文化が影響を与えたって聞くと、なんだか誇らしいね。


そこから「アール・ヌーヴォー」、「アール・デコ」と続いていき、文化史的な流れと美術史的な流れの二つが重なり合っているようで、実に面白い。


どれも精緻な意匠が施されており、圧巻。


デザイン全振りのユニークな品もたくさんあって、もはや笑いが込み上げるレベル。


もはや食器としての役割を果たしていないようで、観賞用としか思えないね。メッチャ可愛いけど。

嫁と二人、じっくり見て回っていたら、だんだん観客が増えてきた。そしてどんどん追い抜かれていく。丹波篠山観光のついでに寄っただけで、あまり興味がないのに連れてこられたという感じの人も割といる。大混雑とまではいかないものの、順序を工夫する必要が出てきた。
そのあと常設展も見て、結局2時間近くかかった。それだけ充実していた。
嫁も満足したようで、図録を買おうと思ったのになんと売り切れ。よほど好評のようだ。


さて丁度昼どき、とりあえずエントランス棟2階に『ダイニングカフェ 虚空蔵』があるらしいので、行くだけ行ってみた。ら、案の定ウェイティング列が長い。普段ここまで混まないのかな、店員さんも殺気立っていて怖い。近いんだし、ご飯は帰宅してからでいいか。
ついでに、展望デッキからちょっとだけ眺めてみる。良い景色だけど、じっとしていると暑い。帰ろう。

色んな知らない世界があるもんだなぁ。カップひとつ取っても、奥深い。

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