京博国宝展1期で雪舟に魅了された

2017年10月13日金曜日 22:03

京都国立博物館の開館120周年記念特別展覧会『国宝』。出品される物が、あれも、これも、それも、教科書などで見聞きした逸品ばかり。開催を知ったその日から、ずっと心待ちにしていた。京都に行くのに他の観光には目もくれず、日帰りで行ってきたよ。

出発は昼下がり。降ったり止んだりの不安定な空模様だったけど、荷物になるので傘は持たずに出た。駐車場に悩まされるのも嫌なので、電車移動を選択。在来線で西明石駅まで行き、そこから京都までは新幹線で。
京都駅から外に出ると、小雨がぱらついていた。歩いて行ける距離なんだが、傘を買うのは馬鹿らしい。ということでタクシー。MKなのにやたら気さくに話しかけてくるドライバーさんで、面白かった。
3年ぶりの京博。チケットは事前に購入済み。売り場付近は多少人だかりができているものの、待ち時間なしでゲートをくぐる。そのままスイスイと会場の平成知新館へ。


エレベーターで3階に上がり、まずは書跡の室。入口はやはり混雑してる。でも想定より少ないし、空いてる展示から回ればかなりスムースに鑑賞できる。
この日のために用意した単眼鏡が早速活躍してくれた。僕が選んだのはVixenのマルチモノキュラー4×12。1つを嫁と交代して使ったんだけど、結果的に正解。覗いてる間は視界を奪われるので、もう一人が周囲に注意を向けることで、安全に使うことができた。
藤原為家の筆という『土左日記』や、『古今和歌集』、『万葉集』など、運筆の美しさを間近に観られた。書の内容を知っていれば、もっと楽しめるだろうになぁ。それだけが口惜しい。
考古の室では、なんといっても新潟県笹山遺跡出土の『火焔型土器』。これほど細やかな装飾が縄文時代に作られたこと、そしてそれが現代にもほぼ完全な姿で残っていること。観れば観るほどに驚く。そこに“在る”だけでスゴい。
『荒神谷遺跡出土品』は島根でゆったり観たことあるので飛ばす。土偶の通称、『縄文の女神』は良いとして『縄文のビーナス』ってどうなの。

2階に下りて、仏画、六道と地獄を回り、いよいよ中世の雪舟の室に向かう。
雪舟の国宝6件が1室に集結という、展示1期2期最大のハイライト!それはそれは大変貴重な機会なのかも知れないが、僕の心を捉えて離さなかったのは『天橋立図』のただ1点。近寄って単眼鏡で細部まで見つめ、引いて全体を眺め、しばらく夢中になった。なんと形容したら良いのか……筆遣いの迫力だろうか。とにかく圧倒されたのだ。元々、天橋立と籠神社はいつか旅行するつもりだったけど、智恩寺や成相寺にも足を運んでみたくなったよ。

続いての近世絵画の室にあるのも、大きな見所。俵屋宗達たわらやそうたつの『風神雷神図屏風』だ!
風神雷神といえばコレというほど有名な絵だけど、風神雷神図は世の中に他にもいっぱいある。ごく簡単に勉強したところによると、宗達のそれが特徴的なのは、一般に青で描かれる風神を緑、赤で描かれる雷神を白に変え、表情は憤怒ではなくコミカルに、服装もゆるゆると、元来とはまったく異なる姿であること。また、両端に配した構図は扇絵師である彼らしいもの。あまり目立たないが、雲にはたらし込みという技術が用いられている。
そんな御託はともかくとしても、“本物”とはこうも魅力溢れるものなのか。写真やデジタルコピーでは到底再現できない色彩、存在感。その場をなかなか離れ難かった。
知名度抜群の作品だけど、ふっと人が前から消える瞬間があって、そしたら風神雷神を二人占めよ。ボソッと嫁が、「風邪ひいてまんねん」と。うん、お約束だね。

中国絵画はさらりと流して1階に下りる。
広い彫刻の室で最も印象に残ったのが、『銅板法華説相図どうばんほっけせつそうず』。無数の点があって、その一つひとつが仏!彫った人の信心深さのなせる業なのか、凄まじい執念を感じた。そばにいた男性グループも、僕と同じことに驚嘆してた。結構若いのに、口ぶりからワクワクしてるのが伝わってきたから、珍しいなぁと。
金工も楽しみにしていた室。『赤韋威鎧あかかわおどしよろい』はとにかくカッコいい!武者頑駄無ガンダムを思い出す世代。10世紀の『剣 無銘 附 黒漆宝剣拵けん むめい つけたり くろうるしほうけんこしらえ』は、古代の剣でありながらとても端麗。日本刀の実物見たのも初めてだけど、『太刀 銘 備前国友成造たち めい びぜんのくにともなりぞう』は、地鉄じがねがどうとか刃文はもんがどうとかは解らないけど、美しいということだけは確か。刀剣にハマる女性の気持ちが理解できる。や、僕も審神者ダケドネ。
最後の漆工の室は豪華絢爛。『時雨螺鈿鞍しぐれらでんくら』にしろ『婚礼調度類(徳川光友夫人千代姫所用)』にしろ、目が眩むような贅沢品ばかり。権力者は時にえげつないもの作らせるね。

全体的に混雑してはいたものの、思ったより余裕を持って鑑賞できた。興味のないものを飛ばしたのもあるけど、観たいものを観たいだけ観て、1時間半ちょっと。こんなに早く回れるとは。
あんまり大きな声では言いたくないけど、こんな過疎ブログだから大丈夫だろう、平日の16時以降に入るのが良いと思う。朝イチの開館前から並ぶと、気合入った方々ばかりでかえって混むんじゃないか。

ミュージアムショップのグッズは、風神雷神図がかなり幅を利かせてた。ちょっと偏り過ぎ。チケットホルダーを毎回探してるんだけど、なかなかピンとくるのがないな。


館の外に出ると、綺麗な夕焼けが。雨間に自然の美まで拝めるとは嬉しい。
ご飯食べて帰ろうと思い、タクシーを拾って『千登利亭』へ。店名を知らなくても、住所見せたら正確に行ける、さすが京都のタクシードライバー。
花輪が置いてあるなと思いつつ引き戸を開けて中に入ると、新しい木の香り。改装したんだ。いつの間にか『千登利亭公式サイト』もできてたし、大将頑張ってるんだなぁ。
この店は3度目なんだけど、3分の3で若狭セットを注文。ただこの日は運転しないのをいいことに、冷酒を付けた。絶品の鯖寿司を摘まみながら、酒を呑む。四十を前にして、だいぶ粋なことができるようになってきたかな。
駅までも流しのタクシーを捕まえられた。普段そんなこと無理な場所に住んでるから、京都スゲーってなる。
帰りの新幹線の切符を買い、土産を物色し、ちょっとお茶してから帰宅。なんて素晴らしい一日なんだ。

くにのたから、メチャクチャ堪能したよ。3期も行くから!

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