佐川美術館のアルフォンス・ミュシャ展
2017年9月22日金曜日
12:46
失礼ながら、僕のアルフォンス・ミュシャに対するイメージは、アニメオタク(自分含む)にも響く画風のグラフィックデザイナー。対して嫁は、画集を持っているほどの大ファン。その彼の特別展覧会が滋賀で開催中と知り、会期ギリギリに行ってきたよ。ゆったり鑑賞できて満腹!
定番になりつつある前泊は、スーパーホテル滋賀草津国道1号沿で。無料の広い駐車場が有り難かった。遅い到着だったので、ホテルの部屋にて、コンビニで適当に買い集めたつまみとお酒で晩酌。たまにはこういうのも悪くない。
翌日、ゆっくり朝食を食べてから、車で20分ほどの美術館へ。
琵琶湖大橋の近く、湖の東側に位置する佐川美術館。こちらも駐車場が無料。
『アルフォンス・ミュシャ展 麗しきアール・ヌーヴォー』の人気はさすがというか、金曜日の開館前だというのに、他にも車数台とバスでやって来た人たちとで、そこそこに賑わってた。
9時半にシャッターが上がった。同時に開いた券売所でチケットを購入し、展示室へ向かう。自分たちの前を歩くのは、片手で足りる人数。平日の朝イチに行って良かったぁ。
設立母体が企業だけあって、建築そのものからして凝ってる。空間の取り方が贅沢だわ。
展示室内は、平日ならなんと撮影可能。ただしスマホのみ。
せっかくなので、嫁の好きな『黄道十二宮』で記念写真を撮った。
ミュシャの出世作、女優サラ・ベルナール主演の舞台『ジスモンダ』のポスター。アメリカンツアーバージョンと並んでの展示は大変貴重なのだとか。同室にその縮版画も飾られており、観せ方の巧みさに唸らされる。
装飾パネルの、左が『桜草』で右が『羽根』。
こうした連作を、2点ないし4点の配置も考えて陳列されていた。お陰でミュシャ初心者の自分にも、作品のテーマがすんなり入ってきた。
デザイナーとしての凄味を見せつけられたのが、『装飾資料集』。花であれ鳥であれ昆虫であれ、リズムよくパターンを繰り返せば模様になるということ。言葉にするのは容易だけど、描写はムチャクチャ微細でとても真似できない。
ミュシャの作品を語るうえで外せないという挿絵。書籍を開いたりあるいは表紙を展覧してあった。額縁に入れられた物ばかりでなく、背表紙までこうして立体的に観られるのは嬉しい。
日本神話好きとして目に留まったのが、『書籍「舞台衣装」から抜粋、イザナギのみこととイザナミのみことの舞台衣装』。時代考証なんぞガン無視って感じなんだけど、なかなか興味深い意匠が施されてる。
アール・ヌーヴォー(新しい芸術)といわれてもピンとこないけど、ミュシャの魅力はとても良く解った気がする。
流れる髪の毛や花弁の一枚一枚、アクセサリーの鎖の輪まで一つひとつ精細に一切誤魔化しなしに描く一方で、大胆に肌や服のスペースを取る。半端ないデッサン力の上に成り立つ、抜群のセンス。華麗な女性像に託された寓意画は、計算し尽された美しさだった!
作品以外で印象に残ったのが、「芸術のための芸術ではなく、大衆のための芸術でありたい」というミュシャの矜持。宣伝ポスターやチョコレートの缶、香水のラベルに至るまで、彼の心がそうあり続けたことが伝わるし、どれほどの人気者だったかもまた飲み込めた。
ミュシャの絵ってやっぱいいわぁ……。影響される人が多いのも、改めて頷ける。
それらを、人垣に阻まれることなく、自分たちのペースで回れたし、ミュージアムショップでグッズをただ眺めるのも楽しかった。
流麗なイラストの数々に魅せられて、至福のひととき。