神戸須磨シーワールドに並ばずに入る

2024年7月12日金曜日 15:42
神戸須磨シーワールドは、神戸市須磨区にある2024年6月にオープンしたばかりの水族館。2023年5月に惜しまれつつ閉園した、神戸市立須磨海浜水族園の跡地に建っている。西日本で唯一のシャチの展示が最大の目玉だ。度々テレビでも紹介されるなど話題のスポットだけに、平日でも開館前から長蛇の列ができている。だけど、混雑を避けて入場する方法があると知ったので、試してみたよ。

行列に並ぶ必要が無いなら開館10分前くらいに駐車場に着けばいいかなと、9時前に出発。第二神明を須磨ICで下りたら、渋滞を回避すべく千森川筋線を通って国道2号線へ。東進し、若宮橋より手前の交差点にて右折。それから駐車場への案内に従いさらに右折し、須磨海浜公園駐車場ゲートに続くレーンへ。立体駐車場ができたので、陽射しを避けられるようになった。駐車場から歩道橋を渡って、神戸須磨シーワールドホテルの前を通ると、神戸須磨シーワールドのメインゲートから続く長い長い列が見えてきた。

行列を尻目に僕らが向かったのは、「SUMA COLLECTIONスマ コレクション」。こちらは無料エリアで、須磨海浜水族園(スマスイ)で飼育されていた淡水魚の一部が展示されている。それらはあとでゆっくり観賞するとして。

「SUMA COLLECTION」の奥にも、神戸須磨シーワールドの入場ゲートがあるのだ。ほとんど知られていないためか、この通りガラガラ。開館5分前だったけど、予めネットで購入しておいた「10時入館」の入場チケットのQRコードを改札の読取機にかざすと、ゲートが開いた。

その先は神戸須磨シーワールドの「アクアライブ」。1階は「トロピカルライフ」と銘打たれており、最奥にある「外洋」は大水槽になっている。思惑通り全然人がいない!

水槽がオーバーハングした形になっているので、目の前に立つと、まるで自分も海の中にいるかのように感じられる。この工夫は素晴らしい。とても穏やかな気分になったよ。

次は、入口近くまで戻って3階へのエスカレーターへ。さっき通ったばかりの所なのに、どこを歩けば良いのか迷った。ウワサには聞いていたけど、なるほど確かに動線がわかりにくい。

上がった先は「ロッキーライフ」、海獣がメインのエリアだ。まずはアシカのスイーッとした泳ぎを見る。

それからアザラシの鰭脚を使った泳ぎ方と比較。顔つきが何ともいえず可愛い。嫁の希望を聞いてこちらを優先したんだけど、僕も癒された。

その隣がウミガメ。ゆったりと優雅に泳ぐ姿に、時間を忘れそうになる。ここは僕が特に見たかったんだよね。

「アクアライブ」から他の館へ行くには、3階の連絡通路を通るしかない。1階の無料エリアへ出てしまうと、再入場不可だ(ホテル宿泊者は除く)。動線の悪さはこの点にもあると思う。
連絡通路で「ドルフィンスタディアム」へと渡ったら、エスカレーターに乗って2階、さらに自動ドアの中のエスカレーターで1階へ。

「ドルフィンスタディアム」1階の「ドルフィンホール」では、バンドウイルカを間近で見ることができる。10時15分時点で10組ほどの客が水槽の前に張り付いていたが、まだまだ余裕があった。
スマスイ含めこれまでに何度もイルカを見たことはあったけど、ちゃんと観察したのは初めてかもしれない。優しそうな目つきだよなぁ。ここも嫁が見たいと言っていた所。人が少ないうちに見られて良かった。

さて、最優先で回りたかった場所はひとまずこなせた。ショーの座席を確保に行くとしようか。「ドルフィンスタディアム」を出て「シーワールドプラザ」のシャチのモニュメントの前で記念撮影をしたら、「オルカスタディアム」へ。
争奪戦が激しいというレストラン「ブルーオーシャン」の整理券は、案の定無くなっていた。7月31日からは事前予約が開始されるというし、この混乱ももうじき治まるだろう。

10時25分、「オルカスタディアム」への入場はすんなり。中央前側の水かぶり席はほぼ埋まっているものの、中央の通路より後ろ側や両サイドには空席が目立つ。濡れたくないしショーが見られれば良いので、僕たちは最上段の席に座った。
座席は代表者ひとりが残っていればキープOKというルール。荷物だけ置くのはNGだ。というわけで、嫁と代わりばんこにシャチのプールに近づくことにした。

シャチを生で観るのは、生まれて初めて。動物のドキュメンタリー番組で、獰猛な性質や知能の高さを知ってはいたけど、実際目にしてみると可愛らしく思えるのだから、不思議なもんだ。挨拶するかのように、こちらを向いてくれたのが嬉しい。
ショーの開始まで、まだ1時間もある。ショー終わりは混雑が予想されるから、今のうちにお土産でも物色してきたらどうか?と嫁に提案。賛成してくれた嫁は、良いものがあったら買ってくるね、と1階にあるミュージアムショップ「ブルーフラッグ」へ行った。その間、シャチの母娘が泳ぐのをぼんやり眺めて待つ。こうしていれば飽きないね。しばらくして、ラングドシャなどを持った嫁が帰ってきた。有料の紙袋も、海の生き物のシルエットが描かれていて良いデザイン。

それでもなお30分以上暇をつぶす必要があった。今度は僕が、軽食でも調達しようと座席裏手のテイクアウトフード「ポートダイナー」へ。11時開店の5分前にも関わらず、10名ほど並んでいる人がいた。レジカウンターが2か所あり、回転は割と早い。程なく順番が回ってきた。人気のシャチソフトクリームは、溶けるのが早いらしいのだけど、この日は曇り空。大丈夫だろうと踏んで、それでも保険をかけてカップで購入。それと少しでも見栄えするものをとカラフルポテトを。足早に席に戻り、シャチソフトは溶ける前に写真を撮れた。カラフルポテトのほうは、味には期待していなかったんだけど、もちもち食感で思いの外美味しい。フードはどちらもアタリだな。

11時30分になると、いよいよオルカ(シャチ)ショーの始まりだ。海上から飛び出しバッシャーンと水飛沫を上げたり、胸ビレをパタパタと振ったり、吻から水を吹いたり、トレーナーさんを吻で押して一緒に泳いだりと、2頭のシャチが様々なパフォーマンスを繰り広げる。芸に成功してトレーナーさんの元へ戻ると、なでて褒められたりして、その信頼関係を窺わせた。

ショーのクライマックスは、吊るされたボールに向かってのルーピングキック。ところがまさかの空振りで、歓声がため息に変わったのが可笑しかった。そりゃあ失敗する時もあるよね。そんなことより、5mの巨体が高々とジャンプして、宙返りまでするというド迫力!スゴいわ!

オルカショーのあとは、混み合っているのを覚悟のうえで、再び「アクアライブ」へ。「ドルフィンスタディアム」の外階段で3階へ上り、連絡通路を伝って「アクアライブ」に入る。「ローカルライフ」エリアへ向かうと、想定した通りの大混雑。「ドルフィンスタディアム」は約1500人、「オルカスタディアム」は約2500人の収容といい、それらが一斉に動き出すのだから「アクアライブ」が混むのは当たり前。各ミュージアムショップも同様だろう。

「ローカルライフ」は、六甲水系の河川の上流から河口の汽水域、そして瀬戸内海までを再現した展示になっている。それ自体は良いと思うんだけど、水槽の前が人で埋め尽くされ、順番待ちしないと何も見えやしない。通路が狭いので、それを待つのも一苦労だ。
どうにか水槽にたどり着き、「中流」ではオイカワの婚姻色を確かめることができた。鮮やかなエメラルドグリーンが見られるのは5~6月らしいけど、個体差があって結構色が残っているのもいた。日本の淡水魚にも、こんなに奇麗な色をした魚がいるんだなぁ。

通路伝いに歩いていくと、いつの間にか2階に。そこには「アマモ」の大水槽。アマモは水深の浅い海底に生える海草(海藻ではない)の一種で、小魚たちの棲み処にもなっている。眺めていると、色んな種類のお魚を見ることができた。ここ、好きだなぁ。

「里海」ではイカナゴの大群が。兵庫県民には釘煮で馴染み深いお魚。しかし普段食べているのよりデカい。

目線を下に向けると、砂の中に埋まっているイカナゴを見つけられる。死んでいると勘違いする人もいたけど、これは冬眠ならぬ夏眠。暑さが苦手なため、冷たい砂の中で眠るそうだ。こうした生態を観察できるのは良い点。

イカナゴの横にはタコもいるんだけど、人気があってとても見られそうにない。がんばる気になれないので飛ばす。「クラゲライフ」はこれまた人気があるうえに、行き止まりになっているので、特に難儀した場所。進む人と戻る人の動線がぶつかり、身動きが取れない瞬間があった。クラゲは嫁が大好きだから、なんとか彼女を守りながら水槽の前を確保した。

続いてのエリアは「トロピカルライフ」。ラグーンを再現しており、人工の波まで打ち寄せる。自然の浜辺を切り取ったような景色は、むしろここにしかもはや青い海が存在しないディストピアのような感じでシュール。

「礁湖」はトロピカルフィッシュの宝庫。ずっと見ていたくなるような美しさだ。施設自体が新しいからか、水槽がとにかく奇麗なのも大きい。

「ロッキーライフ」は朝と打って変わって人混みの山。最初にゆっくり見ておいて良かったとつくづく。

3階を飛ばして4階屋上に出ると、マゼランペンギンが水中を羽ばたく姿が見られた。おなかが可愛い。陸上部では、羽づくろいをしたり、巣を模した小屋で休んだりしていた。

人酔いしそうになりながらもどうにか巡れたので、最後に「SUMA COLLECTION」へ。ピラルクの鱗の鮮やかさに気づいたり、レッドテールキャットフィッシュを嫁が可愛いと言ったり、47歳の高齢ロングノーズガー“ガーじぃ”を探したり、ヘラチョウザメを追いかけたりと、こちらは人もまばらで寛げた。お魚たちの動きもゆっくりしていて、ホッとする。
13時過ぎ、疲れ切ってしまう前に水族館を後にした。

須磨シーのランチ事情は、飲食物持ち込み禁止だが、レストラン「ブルーオーシャン」が狭き門、フードコート「ワーフ」が代わりに大行列のため、「シーワールドプラザ」に出ているキッチンカー頼みという有様。
下調べしておいたので、僕たちは昼過ぎで切り上げて、予約しておいたレストランへ向かったのだ。それが須磨離宮公園隣の『LE UNルアン 神戸迎賓館』。旧神明の側道沿いにあって少々アクセスしにくいのだけど、大正モダニズムあふれる洋館にて、高いホスピタリティーと美味しいフレンチが堪能できる。
結婚8周年のディナーで一度利用したことがあって、また行きたいねって話をしていたんだよ。門を通ると、すぐにスタッフさんが駐車場の位置を案内してくれた。今回は気軽なハーフコースランチ。ふっくらとした鱸のヴァプール、デザートのフロマージュが特に美味しかったぁ。それに、落ち着いて食事ができることの有り難さよ。あとにここでご飯が食べられるって決まっていたから、人混みにも何とか耐えられたのはあるからね。

というわけで、久しぶりにホットなスポットへおでかけしたね。須磨シー入場の要点と注意事項をまとめておこう。
・事前に入場チケットを購入しておく
・「SUMA COLLECTION」内にある入口からも入れる(メインゲートの行列に並ばなくて良い)
・「アクアライブ」を空いている状態で見られる代わりにスタディアムの良い席の確保は困難になる

須磨シー自体に思ったこととしては、ショーありきの水族館だなと。建物の構成からしてシャチとイルカのショースタディアムがメインで、特にシャチはショーか激戦のレストランからしか見ることもかなわない。スタディアム以外の展示は、一つひとつは素晴らしいものの小粒感が否めず、何より狭い通路で案内は最小限、ショー直後の混雑必至と、構造的な欠陥を抱えている。
肝心のシャチのショーも、個人的にはそこまで感動しなかったな。一見の価値はあったけど。イルカショーを今回時間の都合でパスしたので、もう少し空いてきたらまた行こうかな~くらい。混んでいるときにわざわざ足を運ぶほどではないというのが、正直な感想。

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