売沼神社と八上姫公園
2021年7月22日木曜日
17:48
鳥取道鳥取ICまで戻り、鳥取南ICで下りたら、国道53号を南下。途中、『とうふちくわの里 ちむら』ってお店があって、めっちゃ気になったけど素通りした。いつか改めて食べてみたいな。それから河原橋で千代川を渡って、南に折れたら道なりに進み、八上姫公園の駐車場に到着。舗装されていないが十分広い。配達屋さんの車が休憩のために停まっているほかは、誰もいなかった。
まずは売沼神社へ。夏の鎮守の森は、蚊が多い。嫁には車で待ってもらって、独りで行ってくることにする。
入口の鳥居はかなり新しそうだ。裏側の奉納日を確認しておけばよかったな。
その先で、『ARでめぐる八上比売ゆかりの地』なんてポスターを見かけた。地域としてヤカミヒメを推しているのがよくわかる。
拝殿前の狛犬は、こちらも出雲式構え型。奥にも小っこい狛犬が。
拝殿にてお参り。御祭神はヤカミヒメとされる。神話では、因幡から遠く出雲にまで噂が届くほどの美女。オオクニヌシがウサギを助けたのは、ヤカミヒメに会いに行く途中の出来事だ。ウサギの予言通り、ヤカミヒメは八十神ではなくオオクニヌシを選び、2柱は結ばれる――というのが顛末。
ところが困ったことに、売沼神社がこの曳田にある神社で合っているのか、さらに御祭神がヤカミヒメなのか、どうもハッキリしないんだよね。
『因幡民談記』の「著名神社の事」の段で、延喜式神名帳にある「売沼神社」を含む50座について、
国中を尋ねたが明らかに知っている人がいなかった。とある。「曳田」条には、ただ、
ニシノビ天王とあるのみ。「兔宮」条には、
八上姫の社も当国にあるはずだが、どこにあるか判らない。と。江戸初期の頃には、売沼神社もヤカミヒメを祀る神社も不詳となっているのだ。なんてこった。
ただ、因幡国に
なお、「売沼」の読みとして、延喜式の九條家本には「ヒメヌ」と記されており、『因幡志』では「売の上の比の字が欠落したか」として、元は「比売沼」と推測されている。ヒメと読むなら、なるほど女神を祀る神社だと考えてもおかしくない。
どちらにしても、合っているとも違っているとも、言い切れないね。八上郡に他にヤカミヒメを祀る神社が無いというなら、ここでお会いできると信じたい。
本殿の南北に小祠が1つずつ。いずれも御祭神を示すものは無かった。
それにしても、境内の雰囲気がとても良い。静かで、清々しい。太い杉の木も生えていた。こういう空気、好きだなぁ。
社殿の脇を流れる
車の中の嫁を呼び、八上姫公園は一緒に回る。
まず、オオクニヌシとヤカミヒメの石像。わかりやすいオブジェがあるのって、やっぱ嬉しい。
この公園一番の見所は、『紙芝居「八上姫」の小径』。古くからこの地方に伝えられた伝承に創作を加えた物語が、13個の石に取り付けられており、いってみれば石の紙芝居。
しかも、地元出身の漫画家・藤原芳秀氏による画が超美麗。こんなハイクオリティの紙芝居が見られるとは思わなかったから、二人ともビックリ。
文も“因幡のしろうさぎ神話”の続きが語られていて、周辺の地名由来を織り交ぜながら展開し、スゴク面白かった。あとは、どこまでが伝承でどこからが創作か、知りたいところだなぁ。
物語上紛れもない悪役なんだけど、悪意を感じるヤソガミたちの描かれ方には、声を出して笑ってしまった。
最後に、
帰途に就く前に、道の駅清流茶屋かわはらに立ち寄った。行きに案内が出ていて気になっていたし、公園からも近かったからね。ここのマスコットキャラという“はぁ兎ちゃん”と、ヤカミヒメ繋がりで島根の湯の川温泉の“やがみちゃん”のスタンドパネルが、ひときわ目を引く。他にも命兎と姫兎の石像など、土産物屋や飲食店以外にも趣向があって、面白い所だった。道の駅、楽しい。
神社や神話ゆかりの地を巡ると、充実感がある。暑かったけど、混雑しないから安心だし。他愛のない話をしながら走るドライブも良い。や~、楽しかった!